JR日高線転換バス運行開始で苫小牧―えりも間に「特急とまも号」を新設

2021年4月1日付でJR日高本線(鵡川駅―様似駅間)が廃止されるのに伴い、4月1日に運行スタートとなる転換バスの時刻表等が発表されています。苫小牧―えりも間に特急とまも号が新設されるほか、停留所や登下校バスが新設されます。

道南バスとジェイ・アール北海道バスが運行

JR日高本線のうち鵡川駅より先、様似駅までは長らく不通状態となっており、列車代行バスが運行されてきました。しかしこのたびの鉄路廃止により、転換バス「日高地域広域公共バス」が運行開始されることになりました。

主に苫小牧―静内は道南バス、静内―えりもはジェイ・アール北海道バス

運行を担うのは、道南バス株式会社とジェイ・アール北海道バス株式会社の2社。主に静内から苫小牧方面を道南バス、静内からえりも方面をジェイ・アール北海道バスが運行します。これまでも日高地域のバス運行を行ってきた2社が鉄路廃止後のバス運行を担当することになりました。

転換バスでどう変わるのか

ジェイ・アール北海道バスのバス車両

新たなバスは、通学や通院に配慮したルート・時刻表を設定。さらに、苫小牧への利便性向上がうたわれています。

直行便に「特急とまも号」の新設

目玉となるのが、「特急とまも号」の新設です。「苫小牧」と「えりも」の文字をとって命名された、ジェイ・アール北海道バスが運行する予約制の直行便で、苫小牧―えりも間を1日1往復します。

この直行便は、列車を乗り継いでいた当時とほぼ同じ所要時間である3時間50分で苫小牧とえりも間を結びます。JRで最大でも様似までだった区間において、えりも町まで直行するバス路線は新たな取り組みになります。

特急便のため、停車する停留所はわずかです(様似、浦河町役場、三石総合町民センター、静内、新冠、厚賀橋、沼ノ端駅北口、職訓センター通(苫小牧イオン)、王子総合病院前)。厚賀橋から苫小牧間は日高自動車道を経由するため途中停車はありません。

上り(苫小牧行き)はえりもを5:30に出発し、苫小牧駅に9:20到着。下り(えりも行き)は苫小牧駅を14:00に出発し、えりもに17:50に到着。上り(苫小牧行き)は厚賀までが乗車のみ、苫小牧市内は下車のみ、下り(えりも行き)はその逆になります。長時間になるため、途中の静内で10分間のトイレ休憩があります。

特急便では、「特急ひだか優駿号」(新千歳空港―浦河、予約制)が道南バスによる運行を終了し、4月3日からジェイ・アール北海道バスに引き継がれます(土日祝日のみ運行)。道南バスの「特急ひだか号」(日高ターミナル―苫小牧駅前)は3月31日をもって運行を終了します。

高速便(予約制)では、ジェイ・アール北海道バスの「高速えりも号」(えりも―札幌)、「高速ひろおサンタ号」(広尾―浦河―札幌)、道南バスの「高速ペガサス号」(浦河―静内―札幌)は一部変更はあるものの運転継続されます。

停留所の新設

列車代行バス時代の停留所

停留所が合計10カ所増設されます。主な新設停留所としては、苫小牧市内に沼ノ端駅北口、新冠町に新冠農協前、新ひだか町三石に西端生活館、浦河町に常磐通・浦河小学校・大通4丁目・新緑橋・緑町の5つです。路線変更に伴う新設です。

このほか、停留所名称を変更する箇所が多数あります。特に「富川駅前」など駅前の名称が付いていた停留所の名称が変更されます。また、「役場前」を「浦河町役場」として地名を冠するほか、「支庁前」が「日高振興局前」になるなど現在の名称に合わせます。

登下校バス(急行便・快速便)の新設

沿線高校(富川高校(日高町)、静内高校(新ひだか町)、浦河高校(浦河町)の高校生の通学で列車(列車代行バス)の利用が多いため、登校バスと下校バスが6便新設されることになっています。また、既存路線バスが富川高校へ乗り入れます。

ジェイ・アール北海道バスが運行するのは、荻伏→静内高校の普通便(平日のみ)の新設のほか、朝の様似→静内→静内高校(平日のみ)、および夕方の静内→えりも間(毎日)に急行便が運行されます。

一方、道南バスは、朝と夕に静内→苫小牧駅前に快速便を2本運行するほか、朝の下りに静内高校行きが設定されます。平取→鵡川駅前に通学のための朝の便が設定されます。

道南バスのバス車両

利便性向上

列車代行バスでは、鵡川駅―苫小牧駅間は列車への乗り換えが必要でしたが、今後道南バスでは苫小牧までの直行バスの運転が多くなります。

ジェイ・アール北海道バス日勝線は、広尾・えりも・様似・浦河を中心に運行していましたが、このたびの編成では静内まで直通運転をすることになります。

このほかにも細かい点で変更がありますが、ようやく100㎞を超える日高路の長大区間におけるバス路線の編成が固まり、4月1日から運行を開始します。