北海道釧路を舞台にした映画「ホテルローヤル」が2020年11月13日に公開されます。原作は累計発行部数100万部を超える桜木紫乃さんの直木賞受賞作。ロケはオール北海道で、釧路、札幌、小樽などで行われました。
公開に先立つ10月19日、出演者の波瑠さん、安田顕さん、原作者の桜木紫乃さん、監督の武正晴さん(リモート)が出席しての北海道凱旋報告会(記者会見)が札幌市内で行われました。
釧路湿原を望む高台のラブホテルが舞台
「ホテルローヤル」は、釧路市出身で江別市在住の作家、桜木紫乃さんの直木賞受賞作『ホテルローヤル』が原作です。これまでに累計100万部以上が発行されました。桜木さんの実家だったラブホテルを舞台にした七編の連作小説を、現代と過去を交錯させ、一つの物語へと大胆に映像化しました。
場所は、釧路湿原を望む高台のラブホテル「ホテルローヤル」。主人公の雅代は美大受験に失敗し、居心地の悪さを感じながら、家業であるホテルを手伝うことに。父・大吉に代わり半ば諦めるように継いだホテルには、非日常を求めて様々な人が訪れます。そんな中、一室で心中事件が起こり、ホテルはマスコミの標的に。さらに大吉が病に倒れ、雅代はホテルと「自分の人生」に初めて向き合っていく、というストーリー。
主人公でホテル経営者の一人娘の雅代を波瑠さん、父・大吉を安田顕さんが演じました。共演に松山ケンイチさん、余貴美子さん、原扶貴子さん、夏川結衣さん、伊藤沙莉さん、岡山天音さんら実力派俳優陣が名を連ねます。メガホンを取るのは、「全裸監督」で一躍話題となった武正晴さんです。
ロケは札幌・釧路を中心に行われ、室内での撮影なども札幌市内にセットを組み立てて、まさにオール北海道で撮影されました。北海道が生んだベストセラー作家の原作を北海道で作り上げたという、まさにご当地映画として道民に楽しんで頂ける内容となっています。
直木賞受賞から7年で映像化
記者会見で原作者の桜木紫乃さんは、「直木賞受賞から7年、ようやくお届けできた。(映画化の話を頂いたとき)新しい表現者が新しいホテルローヤルを見せてくれるんだと期待しワクワクしていた。原作はただのきっかけと思っているので、監督におまかせしますと言って、一切の要求はしなかった。私が書かなかった行間を映画にしていただいた」と武監督を絶賛。
その武監督は「できるだけ原作のエッセンスを取り入れ、どれだけ損なわずに映画にできるか考えた。北海道で撮影するというのが目的だった、特に釧路。映画はよく『1スジ2抜け3動作』といわれる。スジという素晴らしい原作を頂いて、抜けの北海道釧路の美しい風景を頂いて、素晴らしい俳優たちを迎えて映画を作れたことを誇りに思っています。後押しよろしくお願いします」。
主演の波瑠さんは、「7年前、本を買って読んだのを覚えている。印象に残っていた作品だったので、お話を頂いた時ありがたく受けさせていただいた。主人公の雅代は主張がなかなか見えてこないキャラクターでセリフに『・・・・・・』が多く、下手したら突っ立ってるだけになってしまうという不安があった。でも、普遍的にあるものを多く見つけられたらと思いながら、皆さんに助けられながら演じられた」と振り返りました。
父・大吉を演じた安田顕さんは、「随分前から原作の桜木紫乃さんから映画化したらぜひ出てくださいねとラブコールを頂いていた」と話しました。
道民なら共感できる部分も―山親爺のCM、やきそば弁当・・・・・・
本作は、北海道民なら共感できる部分が随所に散りばめられているのも見どころの一つです。ロケは2019年5月20日~6月12日の約3週間にわたって行われました。
波瑠さんは、「最初の一週間が釧路、その後札幌でした。撮影スケジュールを見て、夜ご飯で外食できるのはいつだろうと楽しみにしていた。あと(札幌新名物)シメパフェをしてみた。何回も来てるけど食べたことなくて、ようやく行けました。御飯のあとだから入らないものですね」と笑いました。
安田顕さんは、「馴染みある千秋庵の山親爺のCMが2回出てくる。時代は変わっても同じCMが流れてくるというところに嬉しさを感じた。北海道は広いじゃないですか。札幌から釧路まで何時間かかるんだと。北海道の人間ですらなかなか行かない。すごい移動時間かけて撮影に行ったのはすごいですよね。THE北海道という美しい景色、釧路湿原が日常の風景として出てくるのは嬉しくなりますよね」と、映画の見所を語りました。
やきそば弁当がひっそりと隠れて用意されていたり、札幌スタイル認証製品が小道具に使用されていたりと、細かいところにも注目してもらいたい映画です。
父・大吉役の安田顕さんについて桜木紫乃さんは、「迫真の演技と感じたのは怒鳴るシーン。北海道あるあるで、親戚に一人はこういう人いたでしょ?」と、北海道出身の安田顕さんのネイティブの演技を絶賛しました。
映画「ホテルローヤル」の見どころについて波瑠さんは、「主人公の雅代は自分の生まれた環境に疑問を持っていて、同時に嫌悪感を抱いていて、葛藤した思春期の時代を経て女将になっていく。でも自分の置かれた状況にうんざりしてしまって、結局はその状況をどうにかするために行動を起こせない自分にうんざりしている。一人の女の子が初めて自分の人生を肯定できて、自分の足で自分の色で人生を作っていきたいと思う瞬間が作品にある。その姿を見届けていただけたら」と話します。
安田顕さんは「それぞれのエピソードが切ない、でもあったかくなる」。桜木紫乃さんは「改めて映像になって、積極的に逃げるということが前向きと同義語だったんだな、これが映像に教えられたことの一つ」と語っています。
観た後にちょっと楽になれる、生き方を学べる映画「ホテルローヤル」は、2020年11月13日より、札幌シネマフロンティア、ユナイテッド・シネマ札幌、サツゲキほか全道の劇場で公開となります。
ロケ地マップが完成
札幌フィルムコミッション(一般財団法人さっぽろ産業振興財団)は2020年10月19日、映画「ホテルローヤル」のロケ地マップ(A3サイズ2つ折り・8,000部発行)が完成、市内観光案内所やロケ地各所、市内民間店舗等で配布すると発表しました。
同コミッションは準備段階から札幌市内のロケ地の提案・調整・ロケハン帯同・撮影立ち会い・ボランティアスタッフや市内専門学校インターン生の手配を行い、公開までの連携プロモーションなど全面的に支援しました。
札幌市内ではHTB創成スクエアスタジオと紅櫻公園で、ホテルの部屋、事務所、主人公の部屋のセットを組み立てて撮影。北海道青少年会館コンパス、北海道開拓の村、ふるさとの散歩道でも撮影が行われました。
札幌市のロケ地
紅櫻公園(札幌市南区)
雅代の部屋は、普段一般公開されていない紅葉館で特別に撮影。ホテルの事務室はホールで撮影された。
ふるさとの散歩道(札幌市南区)
川沿にある真駒内公園と藻南公園を繋ぐ遊歩道。ミコが迷い込んだ森の撮影が行われた。ヒグマの目撃情報がある中で、万全の対策をとって撮影したんだとか。
北海道青少年会館コンパス(札幌市南区)
ホテルのボイラー室の撮影はここで行われた。
北海道開拓の村(札幌市厚別区)
友近さん唯一の登場シーンが撮影された。
HTB創成スクエアスタジオ(札幌市中央区)
ホテルローヤルの一室は、札幌で初となる大掛かりなセット撮影として行われた。
釧路市のロケ地
釧路港(釧路市)
ミコの旦那が働く漁港のシーンが撮影された。
和商市場(釧路市)
雅代がみかんを買う八百屋のシーンが撮影された。
釧路市内の商店街(釧路市)
大吉がみかんを買いに走る商店街のシーン。釧路を代表する百貨店、丸三鶴屋は1996年に閉店しているため看板のみ登場。丸三鶴屋のロケは、実際は滝川市内のスマイルビルで行われた。
幣舞橋(釧路市)
雅代が車で渡る橋のシーンが撮影された。
その他のロケ地
市立札幌病院(札幌市)、中舘荘(札幌市)、花園 水晶堂(小樽市)、バッキンガム、シャンポール(釧路郡釧路町)
ホテルローヤルルームが札幌市内のホテルに誕生
札幌市の宿泊施設「札幌エクセルホテル東急」(札幌市中央区南8条西5丁目420番地)は、映画「ホテルローヤル」とコラボレーションした映画鑑賞券付き客室「ホテルローヤルルーム」(エクセルビューフロア デラックスツインルーム)を2020年11月1日(日)~22日(日)に販売します。
本企画のために原作者の桜木紫乃先生が書いたウェルカムメッセージ(持ち帰り可能)、ベッドサイドに撮影で使用された絵コンテを展示、窓際には主演の波瑠さんが演じる雅代が描いた絵画を展示するなど、「ホテルローヤル」の世界観を楽しむことができます。
映画予告編
「ホテルローヤル」映画情報
波瑠
松山ケンイチ
余貴美子 原扶貴子 伊藤沙莉 岡山天音
正名僕蔵 内田慈 冨手麻妙 丞威 稲葉友
斎藤歩 友 近 / 夏川結衣
安田顕
原作:桜木紫乃『ホテルローヤル』(集英社文庫刊)
監督:武正晴 脚本:清水友佳子
音楽:富貴晴美 主題歌:Leola「白いページの中に」(Sony Music Labels Inc.)
製作幹事:メ~テレ ファントム・フィルム
製作プロダクション:ダブ
配給・宣伝:ファントム・フィルム
©桜木紫乃/集英社 ©2020映画「ホテルローヤル」製作委員会
公式サイト