なぜ外された!? 函館夜景が「世界新三大夜景」に入らず

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イタリア・ナポリ、中国・香港に並び、世界三大夜景の一つとして定着してきた函館山からの函館夜景だが、2012年10月に選定された「世界新三大夜景」に函館夜景は入ることはできなかった。代わって、香港、モナコ、長崎が世界新三大夜景となった。

世界新三大夜景は、一般社団法人夜景観光コンベンション・ビューローが、2012年10月5日に開催した「夜景サミット2012 in 長崎」で認定した。なぜそれら3カ所が新三大夜景にふさわしいかというと、夜景を俯瞰できる視点が分散し異なる表情を観賞できることや、大規模な光のショー、多方向からの俯瞰的な夜景観賞といった理由が挙げられていた。では、函館夜景はなぜ世界新三大夜景から外れたのだろうか。

世界新三大夜景の基準は11項目とした。2012年5月に日本全国の3500人の夜景観賞士にアンケート、それを元に約120カ所を厳選し調査した。基準とした11項目は以下の通りであった。

・対象となる都市を象徴する俯瞰的夜景が存在していること
・鑑賞できる俯瞰的夜景に対してアプローチ可能な複数の視点場が存在していること
・これら複数の視点場は対岸・対山等に分散し、それぞれが異なる表情を創出していること
・視点場が整備され、安全性やバリアフリーが確保されていること
・視点場へのアクセスが整備され、充実していること
・対象となる都市において、夜間の観光的魅力を高めるライトアップがあること
・複数の視点場において、夜間の鑑賞時間が比較的長く設定されていること
・対象となる都市において、複数の夜景種類が混在し、鑑賞可能なこと
・行政や地域団体、民間企業が夜景に対する観光的取り組みを行っていること
・対象となる都市において、歴史的及び文化的夜間イベントがあること
・国際的な観光への取り組みに積極性を持っていること

基準となる項目を見てみると、夜景の魅力はもちろん、夜景観光への取り組みが必要だったこと、夜景観光ポイントが複数あることが条件となっていることが分かる。函館夜景は5月の第一次ノミネートで選ばれた120カ所に残り、7月の第二次ノミネート18か所にも残ったが、8月の最終ノミネート6カ所に残ることはできなかった。

理由は11項目の中に見出すことができる。視点場、つまり観賞ポイントが複数なく、函館山山頂に限定されてしまうこと、複数の夜景種類が定着していない、といったところに理由がある。そもそもこの11項目の基準が本当に美しい夜景の選定条件としてふさわしいのかという意見もあるが、決定が覆ることはない。

世界三大夜景は、1950年~60年代ごろに旅行会社が決めたとされる説が有力であって、これまで函館夜景は世界一・日本一の夜景とされてきた。今回新たに認定された世界新三大夜景に函館が入らなかったことは残念であるが、函館山からの函館夜景は今夜も美しく輝き、訪れた人々を感動させている。