紋別市の氷海展望塔「オホーツクタワー」の楽しみ方―カフェやミニ水族館も

オホーツク海に面する紋別市のガリヤゾーンにある観光施設群の一つに「オホーツクタワー」があります。実はこれ、世界初の氷海海中展望塔なんです。軽食を楽しみながら流氷を見渡せる展望台から、ミニ水族館が設置されている海底階まで、見どころが満載。オホーツクタワー担当者の村井克詞さんに案内していただき、その楽しみ方をご紹介します。

オホーツクタワーへの行き方(クリオネプロムナード)

海岸から約1キロ沖、流氷砕氷観光船ガリンコ号乗場付近から伸びる紋別港第3防波堤(約910メートル)、通称「クリオネプロムナード」(約515メートル)の先端付近の海上に、氷海展望塔「オホーツクタワー」は建っています。

オホーツクタワーは1996年(平成8年)、海洋科学観測研究施設と観光施設の機能を併せ持つ建物として完成。高さは海上38.5メートル、海底7.5メートル。オホーツク・ガリンコタワー株式会社が運営しています。

多くの利用者は、ガリンコ号乗場「海洋交流館『もんべつ海の駅』」とオホーツクタワー入口とを結ぶ「無料送迎バス」を利用します(約3分)。あっという間に到着するので、便利です。

一方、タワー入口まで連絡路「クリオネプロムナード」を徒歩で行くこともできます(約10分)。実はこの散策路は、海を見ながら歩くことのできる、知られざるスポット。しかも、潮の満ち引きを利用してあざらしの鳴き声を再現している「トッカリの笛」というお楽しみもあります。夜間にはライトアップされます。

オホーツクタワーの構造

1階エントランス

無料送迎バス降車場に到着したら、エレベーターで「クリオネプロムナード」歩行者通路の上の階層に上がります。続いてブリッジ「渡海橋」を渡って氷海展望塔エントランスに入ります。ここがオホーツクタワーの1階となります。

フロアウインドウから下を見る

ちなみに、このブリッジの路面には展望窓(フロアウインドウ)が設けられていて、足元の海と流氷を見ることができます。1階のはずなのに、かなりの高さです(海面から14メートルの高さがあります)。

オホーツクタワーは、1階のエントランス、2階の映像・展示ホール、3階の展望室・カフェ、海底階の海底洞窟(ミニ水族館)で構成されます。各階はエレベーターで結ばれています。それぞれの階層の見どころを紹介します。

3階「展望室」

3階展望室(提供)

3階は360度見渡せる展望室。海面から24メートルあり、天気が良ければ水平線まで約18キロを一望することができます。ぐるりとガラス窓で囲まれ、4方向には室外に出られる展望テラスが設けられています。取材日はマイナス7.5度くらいでした。風が強く、寒いので防寒着は必須です。

展望デッキ
流氷砕氷観光船ガリンコ号Ⅱ

タイミングが良ければ、流氷砕氷観光船ガリンコ号が真下を通るのを見られます。冬の流氷は毎日間近に見られるわけではなく、流氷のサイズなども様々です。毎回来るたびに違った風景を見せてくれるのも流氷の魅力の一つ。「私も毎年流氷に会いたくて紋別に住み着いてしまった」と、村井さんは笑顔を見せます。

ガラス窓で囲まれた展望室

無料の双眼鏡も設置されています。アザラシなど、野生の生物を観察できるのもここならでは。この日は、オオワシとオジロワシの両方が姿を見せました(共に絶滅危惧種指定)。「黒っぽくて肩が白いのがオオワシ、茶色っぽいのがオジロワシ」と村井さんが解説してくれました。

3階「カフェ」

提供メニューにはホタテステーキ、じゃがバタースープなどがあった

3階では海を見ながらカフェタイムを楽しむことができます。「ホタテを整形してステーキ上にしたものが人気商品なんですよね」と村井さん。喫茶スペースでは、じゃがバタースープ、ぷりぷりのホタテのステーキ、流氷塩サイダーを楽しむことができました(2019年2月現在)。

カフェ「companio」のワッフル(提供)

2021年7月1日、喫茶スペースはリニューアルされ、カフェ「companio(カンパニオ)」が誕生しました(ラテン語でパンを分け合う人々に由来し、大切なものを分け合える場所にしたいとの願いが込められている)。

ガリンコ号とオホーツク海を見ながらカフェタイムを(提供)

カフェでは、隣町の滝上町産の小麦粉きたほなみ、興部町産の牛乳からつくられたホエー(乳清)、カナダ産メープルシュガーなどを混ぜ込んだ焼き立てのワッフルがおすすめ。他にも、ハンドドリップで淹れるコーヒー、紅茶、北海道産甜菜糖の自家製シロップを隠し味に使ったバナナジュースなどを提供しています。

2021年8月7日には、市内の飲食店「S-BASE」による夜間営業が始まりました。お酒など約30種類のメニューを提供します。

2階「映像・展示ホール」

展示スペース

2階の映像ホールでは、4作品を上映する北海道初の常設展示の4Dシアター「オホーツクシアター(4D-King)」、360度ぐるりと張られたスクリーンに映像を映し出す3D映像ホールがあります。オホーツクタワーができるまでの映像展示もあります。

流氷観測レーダーの仕組みを学ぶ

流氷情報の展示スペースでは、展望室から陸上方面に見える紋別のシンボル「巨大カニ爪」モニュメント、そしてかつて存在した「鮭」モニュメント。その両方が流氷に浮かべていた頃の貴重な写真も見ることができます。

これが海に浮かぶ幻の鮭とカニ爪オブジェ

紋別名物「巨大カニ爪オブジェ」はかつて流氷の上に浮かべていた?

「オホーツクラボ」コーナーは記念写真コーナー。手袋が用意されていて、流氷を持って記念撮影できる体験コーナーとなっています。夏でも流氷と会って記念写真を撮れるのが魅力です。

流氷を手に記念撮影

1階「エントランス」

1階はエントランスですが、そのほか売店、キッズエリアがあります。

キッズエリアには「ミニガリンコ」「ガリンコ滑り台」と「ボールプール」があります。「ミニガリンコ」は、ガリンコ号Ⅱがアザラシや巨大カニ爪モニュメントの周りに敷かれたレール上を3周するという、子供向けのアトラクション(200円)。備え付けの帽子と制服を着用して、船長になりきって遊びましょう。

海底階「海底洞窟」

ミニ水族館

流氷の海の底に行ってみましょう。海底階は水深7.5メートルで、直径23メートルのスペースにミニ水族館が設けられています。

ミニ水族館は海底の洞窟をイメージした造形になっています。種々の魚介類を観察できる水槽が幾つも設けられています。オオカミウオ、タコなど、海の生物を観察できます。

幾つもの水槽が置かれている
チョウザメ餌パク水槽

楽しみ方の一つに、餌やり体験があります。チョウザメの「餌パク水槽」では、餌(100円)を与えると、吸い付くように食べる様子を観察できます。

タッチプールでウニを知ろう

「タッチプール」ではヒトデ、ナマコ、ウニを触ることができるので、ウニの足や口を観察してみましょう。「実はウニは雑食性なので、とっかりセンターで余った魚をカットしてウニに与えている」と村井さん。海の世界はまだまだ知らないこともあるものです。

日本最大級の水中観察窓

周囲の壁には、1×2メートル・厚さ12センチの大型観察窓、1×1メートル・厚さ9センチの観察窓の二種類の窓が設けられており、これは水中観察窓としては日本最大級。流氷が来るオホーツク海の海の中を直接観察できる世界唯一の施設です。

「海の中が緑色に濁って見えるが、海が汚くて濁っているわけではなく、植物プランクトンが多く栄養たっぷりのスープのような状態。オキアミなど動物プランクトンが集まって食べていく」と村井さんは説明します。過去にはゴマフアザラシやトドが顔を見せることもあったといいます。

巨大クリオネに捕食されてみないか?

流氷洞窟クリオネ水槽では、流氷の天使クリオネを間近に見ることができます。

人気なのは、(ご飯を食べる時の)バッカルコーンを広げたクリオネのオブジェと一緒に撮影できるコーナー。「捕食されてみないかということで設置した。バッカルコーンされましょう」と村井さん。青や白などの光で幻想的に照らされるので、SNS映えにぴったりです。

幻想的な水族館

流氷の海を上から下から両方見られる世界唯一の施設

以上、オホーツクタワーの楽しみ方を紹介しました。オホーツクタワーの魅力は何といっても、オホーツク海の海の中にいるかのような感覚になれること。3階の展望塔で流氷を上から見て、海底階で流氷の海を下から見るサンドイッチ方式が楽しめる施設はここだけです。

流氷のことも学べて、十分楽しめる展示内容になっていますので、ぜひ遊びに行ってみてくださいね。

【バスタビ北海道で訪れました】路線バスで冬の道北を走る!オホーツク紋別を目指して道の駅巡りの旅

【注意】オホーツクスカイタワーとは別物ですのでご注意ください。

所在地紋別市海洋公園
電話0158-24-8000
開館時間10時~17時
入館料※2021年7月1日に無料化しました!
1~3階:無料
海底階:大人500円、小中学生250円、幼児無料
年間パスポートあり
4Dシアター料金:300円
公式サイトhttps://o-tower.co.jp/