源流は満州の家庭料理！？芦別名物「ガタタン」を調査しました！

芦別市に行くとよく見かけるのが「ガタタン」という言葉。さらに気にして見てみると「芦別名物」とも書いてあります。「ガタタン」とはいったい何なのでしょうか？　実際に調査してきました。（※トップ写真はガタタンラーメン）

ひとりの人が満州から芦別へ伝えた味

まずは芦別市役所へ。商工観光課の野間文之係長に詳しく教えていただきました。

ガタタンとは、ひと言で説明するととろみがついた塩味の具だくさんのスープのこと。鶏がらや豚骨などのスープに豚肉、イカ、白菜、ニンジン、タケノコ、シイタケ、山菜、小麦粉を練っただんごなど10種類以上の具を入れ、とろみをつけ溶き卵を加えたものです。

戦後、満州から芦別に引き揚げてきた村井豊後之亮（むらいぶんごのすけ）さんが、満州の家庭料理をヒントに創作し、芦別市内で開店した中華料理店「幸楽」で提供したのがはじまりでした。

▼ガタタンを考案した村井豊後之亮さん（写真提供：芦別市）

小麦粉を練った団子を入れ、野菜などと一緒に煮た満州の家庭料理「疙瘩汤（または疙瘩湯、読みはガータタン）」を参考したから名称を「ガタタン」にしたのだとか。ちなみに漢字では「含多湯」と書きます。

あっさり塩味でボリューム満点のガタタンは、寒い日に暖を取るためや酔い覚ましなど、当時の炭鉱マンをはじめ多くの人に愛され、芦別市内の飲食店のメニューとして広まっていきました。

「芦別だけで食べられているガタタンが世間に広まったのはご当地グルメブームがきっかけですね。芦別市の郷土料理として、各地のイベントやメディアに取り上げられる機会が増えたことで多くの人に知られるようになったのです」（野間さん）

▼芦別市役所商工観光課の野間さん

今では「ガタタン」をアレンジした「ガタタンラーメン」や「ガタタンチャーハン」なども考案され、複数の店舗で人気のメニューとなっているのです。

▼「ガタタン」から派生したアレンジメニュー「ガタタンチャーハン」

アレンジメニューも豊富な「ガタタン」

ここで代表的な「ガタタン」を紹介しておきましょう。

きんたろう

中華料理だった「ガタタン」ですが、油をたくさん使って作られていました。そこで、油を少なめにして和風の出汁も利かせて作られたのがこちらの「ガタタン」です。これだけの量で350円というリーズナブルさ。鍋を持って買いに来られる地元の方も多いのだとか。焼き餅入りや白玉入り、チーズ入りなどもあります。また「ガタタンうどん」や「ガタタンスープカレー」などアレンジメニューが豊富なのもこのお店の特徴です。

▼じんわりと体に染みわたるような滋味深い味わい。かなり濃厚なとろみもクセになりそう

▼お好み焼きとガタタンをセットで注文する人も多い

ラ・フルール

芦別市観光物産センターの2階にあるレストラン「ラ・フルール」。こちらでは「ガタタン」をアレンジしたメニューが2種類あります。まずは「ガタタンラーメン」920円。たくさんの野菜と共にエビやホタテやイカも入っていて豪華です。

▼ミニチャーハン、ミニ牛丼、ミニあさり丼とのセットも可能（1,200円）

もうひとつは「ガタタン炒飯」920円。具材はガタタンラーメンとほぼ同じですが、炒飯の上に乗ったふわふわ卵がいいアクセントになっています。

▼天津飯とも餡かけ炒飯とも異なる独特な味わい

▼広くて見晴らしのいい店内

「ガタタン」という言葉の響きのユニークさに惹かれて芦別市にまで来ましたが、意外や意外、とても優しい味わいの郷土料理に出会えました。野菜たっぷりで栄養も満点、芦別市民は風邪を引いた時に「ガタタン」を食べることが多いというのも頷けます。

もし自分の住む町の郷土料理だったら、元気になりたい時には食べたくなること間違いなし。「ガタタン」を食べられる店はほかにもたくさんあるので、芦別市に行った際には食べ比べをしてみるのも楽しいかもしれません。

その他「ガタタン」メニューが食べられるお店

新宝来軒

ガタタン、シーフードガタタン、ガタタンラーメン、ガタタンチャーハンなどが食べられます。

のみくい処　かきくけこ

ガタタンラーメン、ガタタンクッパ、石焼ガタタン、ガタタンスープなどが食べられます。

多楽腹亭

ガタタンラーメン、ガタタンクッパ、石焼ガタタン、ガタタン焼きそば、ガタタンスープなどが食べられます。

ムーンライト

ガタタンラーメンが食べられます。

居酒屋かくれんぼ

ガタタンが食べられます。

宝華飯店

ガタタンやガタタンラーメンが食べられます。

※2017年4月19日：一部営業店舗の営業時間に誤りがありました。お詫びし訂正いたします。-編集部