札幌駅総合開発株式会社は2021年3月19日、JR札幌駅直結で運営する商業施設「パセオ（PASEO）」（札幌市北区北6条西2～4丁目）を2022年9月30日（金）に営業を終了すると発表しました。北海道新幹線 札幌駅の工事に伴うもの。約33年の歴史に幕を下ろします。
北海道新幹線の工事に伴う営業終了
札幌駅総合開発によると、2030年度末開業予定の「北海道新幹線（新函館北斗駅―札幌駅間）札幌駅部工事に伴い高架下施設が支障を受ける」ため。
具体的には、「新幹線高架橋工事や耐震補強工事などにより、2022年12月以降パセオ施設内全域に亘り工事の影響を受けることから営業を継続することは困難との判断に至りました」とし、それに先立つ9月末日をもって、パセオの営業を終了することになりました。
3月10日にJR北海道は「2022年秋に営業を終了し、段階的に工事を進め、3～6年程度休館する」、「なるべく早期の営業再開を検討」すると発表していましたが、休業ではなく営業終了ということになります。
札幌駅では2022年春から2029年冬にかけて新幹線札幌駅の工事が行われる予定。これには、JRタワーと札幌駅との間に在来線と一体化する北海道新幹線高架橋の新設と耐震化工事（～2026年まで）、在来線と新幹線の乗り換え跨線橋の新設工事（～2029年まで）が含まれています。北海道新幹線高架橋部（現・在来線1番線）直下と在来線8～11番線直下に存在するパセオ内の主要設備（空調、電気、冷暖房、防災等）を撤去するため、営業継続が困難になるとのことです。
約33年に及ぶパセオの歴史
1989年に先行オープン
パセオは、札幌駅付近高架化が部分開業（1988年）した翌年、1989年7月14日に一次開業し、1990年11月24日にグランドオープンしました。パセオの名称はスペイン語の「散歩道」に由来しています。
オープン当初は209店舗（物販160＋飲食33＋サービス16）で、札幌ステーション開発株式会社（1987年設立）が運営していました（2005年に経営統合し現会社）。7エリアに分割されており、1階は「Factory Land」「Hearty Land」「Miz Land」、地下1階は「Pleasure Land」「Beautiful Land」「Adventure Land」「World Mixing Land」となっており、地下1階中央部に「水の広場」がありました。
開業20年で大規模リニューアル
札幌駅前通地下歩行空間（チカホ）開通とパセオ開業20年にあわせて行われた、2010年6月から1年半にわたる大規模なリニューアル（工事費約30億円）で、地下1階のウエストアベニューとイーストアベニューを境界線として中央部の「paseo CENTER」（JR札幌駅改札口があるので地下1階のみ）、西側の「paseo WEST」（1階・地下1階）、東側の「paseo EAST」（1階・地下1階）の3エリアに大別されました。
2011年4月29日に80店舗（新規22店舗）、同9月10日に48店舗（新規23店舗）、11月12日に46店舗（新規39店舗）がそれぞれオープンし、ロゴマークも一新。通路幅を狭くしたことで店舗面積が拡大、190店舗から198店舗体制になりました。
当時の新店舗の内訳はレディス・シューズ・雑貨など主に若い人向けであり、第一次オープン12店舗、第二次オープン18店舗、第三次オープン22店舗、合計52店舗は道内初登場。中でも9月10日にオープンした道内初進出の「リラックマストア」は列ができるなど大盛況でした。
「水の広場」だった場所には「テルミヌス広場」（ラテン語で駅の語源）を開設。壁面に彫刻家五十嵐威暢氏のアートを設置し、光・音の演出が加わる憩いの場に生まれ変わりました。
詳しくは･･････
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【動画】映像で見るパセオ
現在、「paseo WEST」は飲食店が多く、「paseo EAST」にはファッション・ビューティーなどの専門店が多い傾向にあります。売場面積18,404平方メートル・193店舗（2020年3月末現在）で、売上高は約203億円（2019年度実績）。
JRタワースクエアの一角を担うパセオが営業終了するだけでなく、エスタの建て替えも濃厚です。札幌駅周辺の再開発で大きく様変わりすることになりそうです。
パセオギャラリー
