札幌駅の隣にあるJR函館本線 苗穂駅周辺が大きく様変わりしました。JR苗穂駅の移転に始まり、苗穂駅北口開発によって広場・空中歩廊・商業施設が誕生。がらりと変わった苗穂駅の今をお伝えします。
JR苗穂駅が札幌方向に約300メートル移転新築
JR苗穂駅は、1910年(明治43年)5月16日に官設鉄道の駅として開業しました。1935年(昭和10年)10月には、2代目駅舎(木造2階建て・延床面積約510平方メートル)に建て替えられました。
しかし、JR苗穂駅の北側には広大なJR北海道苗穂運転所があるなどして南北分断が生じており、都心から東に2~3㎞という距離にありながら適切な土地利用更新が図られてこなかった地域です。そこで札幌市は「苗穂駅周辺地区まちづくり事業」を計画。2013年8月にJR北海道と協定を締結し、苗穂駅周辺の再開発が着工されるに至りました。
まず、苗穂駅を札幌駅側に約300メートル移転新築することに。2016年頃から線路の配線を変更する工事が始まり、旧駅舎が営業する横で新駅舎の建築が進められました。
3代目となる新駅舎は地上駅からバリアフリー対応の橋上駅舎に(JR北海道施設、鉄骨造り2階建て、延床面積約1440平方メートル、2面2線、ホーム延長135メートル(6両編成対応)×幅員6~9メートル)。セブンイレブンが入っています。
エスカレーターとエレベーターが付属する3階建ての自由通路「苗穂駅前広場連絡歩道」(札幌市施設、延長約130メートル・有効幅員6メートル)を設けて、南北の行き来の点で利便性を向上させました。随所にレンガの壁面が見られる美しい連絡歩道になりました。
こうして移転新築した苗穂駅は、2018年11月17日(土)に開業。札幌市の自由通路も同日供用開始となりました。新駅開業後の2019年6月には、2代目駅舎やホームの解体工事が行われ、空き地となりました。築83年の歴史ある木造駅舎は、こうして終焉を迎えました。
苗穂駅北口の開発でアリオ札幌と直結
移転した苗穂駅の南北には、それぞれ駅前広場を整備(札幌市施設)。北3条通に南口駅前広場(約5000平方メートル)、苗穂駅連絡通を整備して北口駅前広場(約3800平方メートル)を設けました。苗穂駅を移転することにより、これまで難しかった北口が誕生したのです。その工事は現在進行中です。
北口は「苗穂駅北口開発」(苗穂ステーションパークプロジェクト)として、大京、住友不動産、JR北海道の民間3社が共同で大規模な整備事業を進めています。
北口には巨大な「サッポロガーデンパーク」があり、サッポロビール園、サッポロビール博物館、アリオ札幌などがあります。これまで距離的には近い位置にありながらアクセスが良くなかった商業・観光施設とは、苗穂駅移転と駅北口ができたことで利便性が格段にアップしました。
JR北海道社員研修センターがあった場所を更地にし、北口駅前広場からアリオ札幌に向かって斜めに伸びる「苗穂駅北通」を新設。東側には、医療法人社団我汝会さっぽろ病院が札幌市東区から新築移転する予定です。
一方、西側には駅の自由通路から商業業務施設(北洋銀行東苗穂支店が3月15日に移転開業)を経てアリオ札幌へ直結する「空中歩廊」(全長約200メートル)を2021年3月4日に供用開始(アリオ札幌2階との接続時期は未定)。雨や雪の影響なく移動することができるようになりました。また、駅北口横には地上27階建ての分譲マンションが建設され、空中歩廊と連結されます。
駅北口には「集いの広場」「交流の広場」「憩いの広場」が空中歩廊に沿って設けられています。
苗穂駅南口にも空中歩廊を設置
一方、苗穂駅南口の東西も、長期にわたる再開発が進められています。こちらは「北3東11周辺地区市街地再開発事業」と呼ばれています。
従来は青空駐車場や倉庫群があった地域であり、駅の移転により駅前の再整備が必要な地域となっています。再開発により、駅南口の両側に高層マンション(ツインタワー)を建設。商業・医療施設、駐車場なども新設し、それぞれを空中歩廊で直結する計画です。
移転により大きく様変わりした苗穂駅前。今後の整備でどう変わっていくのか、苗穂駅周辺に注目です。