星野リゾートは2021年9月8日(水)、北海道に今冬開業する3ホテルについて正式発表しました。胆振管内白老町には温泉旅館「界 ポロト」(カイ ポロト)、札幌市中央区すすきのに都市観光ホテル「星野リゾート OMO3札幌すすきの」(おもすりーさっぽろすすきの)、小樽市に都市観光ホテル「星野リゾート OMO5小樽」 (おもふぁいぶおたる)がそれぞれ誕生します。
北海道でのスケールメリットを生かした展開へ
星野リゾートは現在、上川管内占冠村トマムに「星野リゾート トマム」(リゾナーレトマム、トマム ザ・タワー、トマム スキー場)、旭川市に都市観光ホテル「星野リゾート OMO7旭川」(おもせぶんあさひかわ)を展開しています。
また、同社は2020年にWBF社と連携。再生を目指す道内5施設(WBF札幌中央、WBFフォーステイ札幌、WBFグランデ旭川、WBF函館 海神の湯、WBF釧路)が加わって、全2,267室で北海道最大規模のグループになりました。「スケールメリットを生かして北海道事業を定着させていきたい」と星野リゾート代表 星野 佳路(ほしの よしはる)さんは意欲的です。
白老町に温泉旅館「界 ポロト」誕生
同社にとって北海道初となる温泉を有する宿泊施設、北海道初となる「界」ブランドを2022年1月14日、白老町に開業します。予約開始は2021年10月を予定しています。
全国18カ所に点在する「界」ブランドは、「王道なのに、あたらしい。」がテーマの小規模の高級温泉旅館。「界 ポロト」は同社が白老町と2018年6月28日に締結したパートナーシップ協定書に基づくもので、19施設目となります。
総支配人の遠藤美里さんによると、「界 ポロト」はポロト湖や民族共生象徴空間(ウポポイ)に隣接する立地です。42室すべての客室からポロト湖の自然を生かした雄大な景観が楽しめるほか、北海道遺産モール泉の源泉をひく温泉も楽しめます。また、新千歳空港や札幌からのアクセスの良さ、アイヌ文化が根付く場所であることもポイントです。
「界 ポロト」のコンセプトは「ポロト湖の懐にひたる、とんがり湯小屋の宿」。設計は、建築家の中村拓志氏。アイヌのポロトコタンから着想を得て、湖面にアイヌ文化の建築特徴で 丸太組みの三脚構造であるケトゥンニを基本構造とした湯小屋が佇みます。客室内も、白樺をモチーフにしたり、壁紙やクッションなど至る所にアイヌ文化から着想を得たりしたデザインを用いています。
大浴場は「△湯(さんかくのゆ)」で、宿泊者限定。「とんがり湯小屋」の中にあり、露天風呂、内風呂を備えます。ポロト湖にせり出した露天風呂からはポロト湖の風景を眺めることができ、内湯には源泉かけ流しの「あつ湯」と「ぬる湯」の2つの湯船を設けます。
宿泊者以外も利用できる大浴場は「〇湯(まるのゆ)」。洞窟の中にいるかのような空間で温泉を楽しめます。内風呂のドーム天井の頂上部には丸い穴が開いており、柔らかな光が差し込みます。
所在地は白老郡白老町若草町1-1018-1。敷地面積は9,339平方メートル、建築面積は2,021平方メートル、延べ床面積は4,951平方メートルで、地上4階建ての客室棟と地上1階建ての温浴棟で構成されます。2020年5月15日に着工し、2021年10月14日の竣工を目指しています。
札幌市中央区に「星野リゾート OMO3札幌すすきの」誕生
「星野リゾート OMO」ブランドは「寝るだけでは終わらせない、旅のテンションをあげる都市観光ホテル」をコンセプトに、2018年4月に「星野リゾート OMO7旭川」(237室)の開業をもって誕生した新ブランドです。
「OMO」のうしろにある数字は、サービスの幅を示しており、7はフルサービスホテル、5はブティックホテル、3はベーシックホテル、1はカプセルホテルとなります。旭川は、見どころ満載の旭山動物園やご当地グルメのはしごで出会う旬の味覚など、この地に伝わる新旧カルチャーを想いの限り遊びつくす都市観光のためのフルサービスホテルとして営業しています。
「星野リゾート OMO3札幌すすきの」は2021年冬に開業。コンセプトは「幸せな夜更かし」で、「つい夜更かししてしまうくらい、すすきのの豊かな食を楽しんでほしい」との想いが込められています。
札幌の繁華街すすきのには、歴史あるお店や個性的なお店など飲食店が約3500店あり、国内外の観光客に人気の観光地です。総支配人の羽毛田実さんは、「旅行客の札幌滞在中の目的や楽しみでダントツトップなのは美味しいもの。再訪理由でも同じ。高い食のニーズがあるので、それに応えたい。美味しいものに囲まれ、仲間と食卓を囲む、すすきのの夜を楽しんでほしい」と話します。
OMOレンジャーと巡るツアーとして、すすきのを満喫する「すすきのはしご酒ツアー」を計画しています。時期によって変わることもありますが、例えば、老舗料亭「杉ノ目」でいくらの仕込み作業を見学し、いくらのしょうゆ漬けを使った日替わりの一品を地酒とともに楽しめます。札幌最古の炉端焼き店「ウタリ」ではホッケ、キンキ、イカなどの海鮮焼きを楽しめます。最後は、和食の料理長が特別にプロデュースするシメパフェで締めます。このほかにも「THE NIKKA BAR」を楽しむツアーも展開する予定です。
同施設の所在地は札幌市中央区南五条西6丁目14-1で、地上1~13階建て、全226室。
小樽市に「星野リゾート OMO5小樽」誕生
札幌と同時期に小樽にも「OMO」ブランドのホテルが誕生します。「星野リゾート OMO5小樽」で、2021年冬に開業予定です。コンセプトは「ソーラン、目覚めの港町」。港町小樽の知られざる歴史や文化、食の魅力を発信する予定です。
所在地は小樽市色内1-6-31。全92室で、北館と南館の2棟で構成されます。重厚感ある旧小樽商工会議所(1933年建築、市指定歴史的建造物)をリノベーションしたレトロな南館は、地上1~3階建てで、カフェ、バーを中心としたスペースが入ります。一方、機能性とデザインを追求した北館は地上1~7階建てで、大浴場とサウナ、OMOベースとなります。
OMOベースでは、お土産を買うのにぴったりなアトリエやガラス工房、街の寿司屋の本日のネタなど、街歩きを楽しめるような情報を掲載した「ご近所マップ」を設置。ご近所ガイドOMOレンジャーが小樽の知られざるスポットや文化を案内するツアーを展開予定です。
総支配人の姫野一社さんによると、例えば、市民生活に根差す朝市が点在している小樽において、ホテルから徒歩圏内にある鱗友朝市(りんゆうあさいち)と提携。丼を持ってネタを乗せながら海鮮丼を作り上げていく「勝手にお節介丼ツアー」を行い、お店ごとのこだわりを伝える仕掛けやお土産購入をサポートします。
また、宿泊者限定の小樽スイーツや、北海道最古のスキー場との連携も検討していると言います。北海道庁や三浦水産と共同で食のプロジェクトを進めており、新たな料理としてニシンパエリアの開発、タパスバーでニシン料理、朝食ビュッフェでもニシンマリネを提供するなどして、ニシン消費喚起を促します。