路線バスだけを使って北海道を旅する企画「バスタビ北海道」。第三弾となる今回は、道南の木古内から江差までを巡ります。函館バスを利用して、実際に初夏の道南を旅してくれたのは、清水香菜美さんと竹村美穂さん。果たして、どんな旅が待ち受けているのでしょうか。
▼今回の旅のルート
【動画】バスタビ北海道第3弾 江差編
木古内駅から旅がスタート!
▼生まれ変わったJRと道南いさりび鉄道の木古内駅
2016年に北海道新幹線が開通し、北海道の玄関口として新たに生まれ変わったJRと道南いさりび鉄道の木古内駅。今回の「バスタビ北海道」のスタート地点です。駅の向かいには道の駅「みそぎの郷きこない」もあり、この駅自体がひとつの観光スポットとして注目を集めています。
▼道の駅「みそぎの郷きこない」
ついつい足留めしてしまいそうですが、ここはあくまでもスタート地点。気を取り直して、バス停へと向かいましょう。
今回利用する函館バスの乗り場は、JR木古内駅のすぐ外側、道の駅が見える場所にあります。香菜美さんと美穂さん、旅の主役ふたりは「上ノ国・江差行」の2番乗り場で待ち合わせです。
▼清水香菜美さん(左)と竹村美穂さん(右)が乗るのはかわいらしい小型バス「ポンチョ」
朝9時20分、バスが出発しました。最初の目的地は「湯ノ岱」(ゆのたい)です。時間に余裕のある人のために、途中にあるバス停もご紹介しておきましょう。「鶴岡禅燈寺前」は、明治時代に山形県の鶴岡藩士が入植し開拓された場所で、今も地名に鶴岡の名前が残ります。
▼鶴岡禅燈寺前の停留所
禅燈寺も、鶴岡藩士によって建立されました。山門には北海道では珍しい一対の仁王像があります。その山門のすぐ前を廃線となった旧JR江差線線路があり、以前は踏切を通過する列車を山門の間から撮影できる人気スポットでした。
▼廃線となった旧JR江差線の線路
また、旧JR江差線の神明駅そばに「神明(しんめい)」という停留所があります。
▼神明の停留所
2018年5月までは駅のホームやレールも残されていました。数ある停留所の中で、もっとも鉄路の名残りを感じられるのが、神明だと言われています。
▼最初に下車するのは、湯ノ岱
木古内から最初の目的地である湯ノ岱まで、約50分ほどで到着しました。ここで向かったのは、湯ノ岱温泉「上ノ国町 国民温泉保養センター」です。
▼上ノ国町 国民温泉保養センター
湯ノ岱温泉は、この保養センターのみ。香菜美さんと美穂さん、さっそく湯浴みを楽しみます。
▼窓から見える緑に癒されながら入浴
湯ノ岱温泉は、珍しい炭酸泉。腰痛に効くと言われ、美肌効果もあるということです。
▼写真では分かりづらいが少し白濁したお湯
浴場には35℃、38℃、42℃の浴槽があり、長湯をしたい人や熱いお湯に入りたい人など、好みによって選べるのがうれしいポイントです。
▼心も身体もほぐれていく
所在地:北海道檜山郡上ノ国町字湯ノ岱517-5(湯ノ岱停留所から徒歩約10分)
電話:0139-56-3147
営業時間:5月1日~10月31日10時00分~21時00分、11月1日~4月30日10時00分~20時00分
定休日:毎月第3月曜日、年末年始(12月31日から1月2日まで)
入浴料:大人350円、12歳未満100円
ちなみに上ノ国町には、世界的にも貴重な天然鉱物で、日本で唯一上ノ国町で産出しているブラックシリカがあります。
湯ノ岱から姥神町フェリー前へ
湯ノ岱温泉でリラックスしたら、再びバスタビに戻りましょう。湯ノ岱の停留所から、江差高校前行きのバスに乗ります。目指すのは、日本海に面する江差町の「姥神(うばがみ)町フェリー前」です。
▼12時7分、再びバスに乗車!
途中、五勝手(ごかって)という停留所があります。五勝手とは1900年まで実在した村の名前で、語源は「波の砕ける浜」を意味するアイヌ語の「コカイテ」だと言われています。
▼豊かな自然の中をひた走るバス
約50分ほどバスに揺られ、12時54分に姥神町フェリー前に到着しました。
▼姥神町フェリー前の停留所
ここは姥神大神宮に最寄りのバス停です。ちなみに8月に催される姥神大神宮祭渡御祭は、北海道最古の祭りとされています。
▼お食事処えさし
時刻はちょうどお昼ごはん時。お腹の空いた旅人ふたりは、さっそく江差町らしいランチを求めて「お食事処えさし」を訪れました。
▼お腹ペコペコの香菜美さん、美穂さん
いただいたのは「網元にしん御膳」。にしん天丼とにしんそばをメインに、にしんの甘露煮やマリネなどの小鉢も充実した、にしん尽くしの御膳です。
▼網元にしん御膳(税込1,400円)
かつてにしん漁によって繁栄した江差ならではのランチに、香菜美さんも美穂さんも大満足!
所在地:北海道檜山郡江差町中歌町193
電話:0139-52-6800
営業時間:11:00~15:00(L.O.) 17:00~19:00(L.O.)
定休日:月曜日
日本遺産を肌で感じる
お腹が満たされたふたりが次に向かったのは「江差追分会館・江差山車(やま)会館」です。
▼江差追分会館・江差山車会館
実は江差町は2017年、北海道で初めて日本遺産に認定されました。ニシンの繁栄が息づく町として、江差の町並みをはじめ、先に紹介した姥神大神宮やニシン漬けなど、26の文化財を盛り込んだストーリーが認定されたのです。江差追分は、にしん交易を担った人々によって伝えられた民謡として、文化財のひとつに含まれています。
江差追分会館では開館期間中毎日、追分道場で江差追分の指導を行っています。全国大会で優勝経験もある師匠が、無料でわかりやすく手ほどきしてくれます。香菜美さんと美穂さんも、もちろん挑戦してみることに。
▼「発声の仕方とか、難しい~!」と苦戦するふたり
やはり名人のようにはいかないようです。また、江差追分会館では、舞台上で行われる江差追分の実演を見ることができます。
▼江差追分の実演を楽しむふたり
迫力のある唄声に、思わず圧倒されます。追分の難しさを身をもって体験した後とあって、感動はひとしおです。
▼舞台の出演者は日によって替わる
実演を楽しんだ後は、資料室で江差追分についてさらに詳しく学びます。かつての名人の唄声を映像で見られるコーナーなどもあり、香菜美さんと美穂さんも興味津々です。
▼真剣な表情で説明に聞き入る
ちなみに同じ建物内にある江差山車会館では、姥神大神宮渡御祭の13台の山車(やま)のうち、2台が展示されていて、こちらも必見です。
▼きらびやかな山車も文化財のひとつ
所在地:北海道檜山郡江差町中歌町193-3
電話:0139-52-0920
入館料:大人500円、小中高校生250円
開館時間:9時~17時
休館日:月・祝日の翌日、12月31日~1月5日(4~10月は無休)
実演:4月下旬~10月末 11時、13時、15時の1日3回(江差追分全国大会開催日を除く)
着物で江差の街並みを散策
日本遺産にも選ばれた江差の街並みを散策してみることに。
2018年の4月から10月末日まで、レンタル着物一式と着付けが税込2,000円で受けられるサービスが、月から土曜は「カジュアルショップたじまや」、日曜は「髪結いや」にて実施されています。
当日の午後6時までに着物を返却すればいいというから、太っ腹な企画です。また、事前に予約しておけば、江差追分会館でも着付けをしてくれますのでおすすめです。
▼着物に着替えて、いざ出発!
着物姿のふたりが向かったのは「小林ミルクパーラー」。目的は、ソフトクリームです。手焼きコーンミルクソフトは数量限定なのでおすすめですよ。
▼「いにしえ街道」の散策前にスイーツで腹ごしらえ
所在地:北海道檜山郡江差町中歌町59
電話:090-5228-6399
営業時間:10時~17時、不定休
古き良き時代の名残りが感じられる江差の街並みに、あでやかな着物姿が似合います。香菜美さんも美穂さんも、すっかり風景に馴染んでいました。
▼これぞ、まさにインスタ映え(横山家前にて)
散策に疲れたら、人気のカフェ「皐月蔵チャミセ」でひと休み。
▼昔の蔵をリノベーションしたカフェ「皐月蔵チャミセ」
かつて蔵として使われていた建物をリノベーションし、カフェやギャラリーとして活用している場所です。ここもまた着物姿にピッタリで、インスタ映え抜群です。
▼そろそろ着物が苦しくなってきた?
所在地:北海道檜山郡江差町字姥神町18-1
電話:090-7656-5473
営業時間:11時~16時
定休日:月・火
着物を返却したら、開陽丸売店「ぷらっと江差」でお買い物です。ふたりは今回のバスタビの記念になるようなものをゲットできたのでしょうか。
▼地元ならではのお土産品もたくさんある開陽丸売店「ぷらっと江差」
所在地:北海道檜山郡江差町姥神町1-10
電話:0139-52-1377
営業時間:9時~17時(軽食コーナー11時~14時)
休業日:月曜日、祝日の翌日(11月~3月)、年末年始(12月31日~1月5日)
夕方6時、そろそろ旅の一日目が終わろうとしています。その前に、もうひとつだけ観光スポットへ立ち寄りましょう。江差市街地のお気に浮かぶ「かもめ島」です。上から見ると、かもめが羽ばたいているような形に見えることから、そう名付けられました。島とは言いつつ、地続きなので歩いて行くことができます。
▼写真左手に写っているのがかもめ島
この後は江差町の宿泊施設にチェックインして一泊しました。よく遊び、よく食べ、よく学んだ、今回の「バスタビ北海道」。欲張りな旅人にはピッタリの、木古内から江差を味わい尽くした一日でした。
▼江差町市街地図
【動画】バスタビ北海道第3弾 江差編
今回の旅程
09:20 木古内駅前発
10:04 湯ノ岱着、上ノ国国民温泉保養センター
12:07 湯ノ岱発
12:54 姥神町フェリー前着
13:00 お食事処えさしでランチタイム
14:00 江差追分会館で江差追分体験など
15:30 着物着付け、いにしえ街道散策
16:30 開陽丸売店「ぷらっと江差」にて買物
17:00 かもめ島散策
19:00 江差町で一泊
木古内駅までの行き方
函館から:道南いさりび鉄道 7:04函館駅発、8:04木古内駅着
盛岡から:北海道新幹線 6:54盛岡発、8:49木古内駅着
※東京・札幌からの場合、今回紹介した一日ルートを楽しむなら、前泊が必要です。
今回のバスタビで利用した函館バス
お得な切符
路線バスに乗り放題!「江差・松前周遊フリーパス~千年北海道手形~」2日券(大人3000円)・3日券(大人4000円)もあります! 今回紹介した江差・木古内線も利用できますよ。(2019年3月29日(金)まで発売、3月31日(日)まで有効)
詳細はこちら
制作:一般社団法人北海道バス協会
協力:函館バス株式会社、江差町追分観光課、上ノ国町、北海道総合政策部交通企画課
出演:清水香菜美/竹村美穂