年に一度しか上陸できない幻のパワースポット 然別湖「弁天島」に上陸!

標高810m、北海道の中では一番標高が高い場所に位置する「天空の湖」、然別湖。風水の観点から見ると、旭岳から南下してくるパワーをその湖水に貯蔵しているエネルギーゾーンで、帯広を中心とする十勝平野の「北の守り・玄武(げんぶ)」としての役割を果たしています。

早朝や夕暮れで湖面が凪いだ時、そこには対岸の天望山、通称くちびる山が映しだされ、その姿はまさに天空に浮かぶ巨大な「神の口」。ここは古くよりアイヌの人々から「禁断の地」として崇められてきた聖なる湖であり、道内最強のパワースポットの一つと言える場所です。

▼早朝の湖面に浮かぶ巨大なくちびる

この然別湖を遊覧船で行くと、湖の中心付近に鳥居がある小さな島が目に入ってきます。これが芸術や金運を司る弁財天を祀る弁天島。

▼然別湖に浮かぶ小島、弁天島

周囲の山々・山龍(さんりゅう)とパワーをため込んだ湖水・水龍(すいりゅう)の両者に守られたこの小島は、風水エネルギーを貯める然別湖の中でもピンポイント的に「気」が凝集している場所ですが、如何せんその周囲20mという小さな島で船着場もなく、年に一度のお祭りの時にしか上陸が許されていないという「幻のパワースポット」。

かつて出雲から来られた真言密教の大阿闍梨をご案内して法要を行った時も上陸の許可がおりず、船上から法螺貝でお清めをさせていただくにとどまりました。

▼船上から法螺貝で法要を行う、出雲の大阿闍梨

湖上に浮かぶ弁天島に歩いて参拝?!

何とかこの幻のパワースポットを訪問する方法はないのだろうか? そんな悩みに答えを出してくれたのが、地元観光協会の会長さんでした。

「許可さえ取れれば大丈夫。な~に、冬の弁天島ならここから歩いて行けばすぐですよ」

「え~、湖の上を歩いて?」とびっくりしたのもつかの間。よくよく考えたら、冬場はマイナス20度から30度近くまで下がる当地のこと、必然的に湖も完全結氷してしまいます。 次の写真のような夏の弁天島が……

▼冬になると、こんな感じで姿を変える

湖畔の船着場から弁天島まで約2キロ、凍結した湖上の雪原をスノーシューという洋風かんじきを付けて行く「幻のパワースポット」へのトレッキング……想像しただけでワクワクしてきました。

さっそくトライアルでモニターツアーを企画し、時間のない中クチコミやウェブ情報だけで参加者を募ったところ、地元帯広、札幌のみなならず南は兵庫県から東京の方まで集まったメンバー、その数16名。かくして厳冬の3月始め、湖上に浮かぶ幻のパワースポットアイランド・弁天島を目指してトレッキングするという史上まれに見る参拝ツアーがスタートした次第です。

▼ホテル前の湖上に作られたイベント広場。ここから出発

凍結した湖上を歩いて、いざ弁天島へ!

弁天島渡島の「ベースキャンプ」は然別湖畔にあるホテル福原。前日ホテルに集合したメンバーは、当地然別湖の風水や弁財天に関する勉強会、地元の料理とお酒での懇親会、そして源泉掛け流しの温泉で「禊ぎ」を済ませ、「聖なる場所」に参拝する準備も万端整いました。

トレッキングの当日は朝からあいにくの小雪交じりの天気です。でも寒さなどなんのその、パワースポット探検隊一行は湖上を歩くという初体験と弁財天参拝のご利益へのホットな期待を抱きつつ、案内いただく地元ネイチャーセンターのガイドさんから指導いただき、湖上のイベント広場でスノーシューを颯爽と装着。

▼ガイドさんの指導でスノーシューを装着

「スノーシューは前進だけ。バックすると転倒するので、Uターンで方向転換してください」
「湖は完全凍結していますが、場所によっては水がたまっている所もあります。コースを外れないよう、できるだけ私が通った後を歩くようにしてください」

ガイドさんからトレッキング時の注意をいただいたら、いよいよお待ちかね、いざ弁天島へ出発!最初はたどたどしい足取りで歩いていた皆さんですが、すぐスノーシューにも慣れ、歩きながらカメラに向かってポーズを取る余裕も。

▼カメラに向かってポーズを取る余裕も

ザク、ザク、ザク。湖上に積もった雪を踏み分けて、一行は弁天島に向かってひたすら歩き続けます。

吹き付ける小雪交じりの風、轟々とざわめく湖岸の木々、そして渦巻く雪の中から一瞬頭上に垣間見えるぼんやりとした暖かい陽の光……。

何という幻想的な体験でしょう。寒い、辛いという感情を超越し、私たちは今希望に向かって進んでいるんだという不思議な喜びが脳裏をよぎりました。

▼希望の光に向かって進む(作画:大谷修一)

湖畔を出発して歩くことおよそ1時間、雪原の先に小さな鳥居が見えてきました。ついに幻のパワースポットに到着です。

▼雪に埋もれた弁天島に到着

深い雪に埋もれた冬の弁天島……そこは「島」というより小さな丘。でも鳥居をくぐり、祠の前に立つとビリビリした「気」の流れを感じて、何やら体が暖かくなってくるようです。

ご神前の雪を祓い、ここに祀られている弁財天の化身・白蛇様が大好きなお酒を、塩、お米と一緒にお供えします。

▼白蛇が大好きなお酒を、塩とお米と一緒にお供え

神道を学んだ友人が奏上する岩笛(いわぶえ)と祝詞(のりと)のあと、皆さんが真剣にお祈りするのは、金運? 健康? それとも家族の幸せ?

▼幻のパワースポットで祈りを捧げる

かくして初めて行われた湖上を行く然別湖・弁天島への旅は無事終了。トレッキングを終えた参加者皆さん、一人一人のその笑顔がキラキラ輝いていたと感じたのは、果たして筆者一人だけの事だったのでしょうか。

あれから一年が過ぎ、然別湖の弁天島は人々の幸せを守りながら今も湖上の雪原の中に寂しくたたずんでいます。もし皆さんがこの然別湖を訪ねる事があれば、湖岸から、あるいは遊覧船から島に鎮座まします弁財天に手を合わせてみてください。そうすれば、きっとこの優しい女神様があなたに向かって微笑みかけてくれることでしょう。

▼湖上の雪原にたたずむ弁天島

然別湖・弁天島のデータ
場所:北海道河東郡鹿追町然別湖
問合せ:北海道ネイチャーセンター(0156-69-8181)
http://www.nature-center.jp/
注意:弁天島渡島は特別な許可が必要です。また個人での雪上トレッキングによる渡島は危険が伴うので避けてください。

宿泊施設
ホテル福原(北海道河東郡鹿追町然別湖畔 0156-67-2301)
ホテル風水(北海道河東郡鹿追町然別湖畔 0156-67-2211)

特別体験ツアー
2017年2月25日(土)~26日(日)に地元観光協会と旅行会社がタイアップした「然別湖・弁天島 湖上トレッキングの旅」をおこないます。
問合せ、申込みは、shu@road.ocn.ne.jpまで。