池田町の歴史と共に100余年! バナナの香かおる「バナナ饅頭」

【池田町】 北海道で今も残る歴史あるお菓子は道南に多い。現存道内最古ともいわれる1870年創業の江差町の五勝手屋羊羹、1900年創業の函館市の丸井榮餅、1905年創業の七飯町大沼公園名物の大沼だんごはその代表格。道央でも、札幌、小樽、旭川、江別にほぼ同時期の明治時代から続くお菓子はあるが、道東にはわずか1つあるのみ。それが、池田町の「バナナ饅頭」である。

100年以上の歴史を持つバナナ饅頭

池田町のバナナ饅頭の歴史は古く、明治時代の末期に近い1905年に誕生したとされる。つまり100年以上の歴史があることになる。当時の十勝の様子を遡ってみると、現在の帯広市が二級町村制を施行しようやく帯広町となったのが1902年。池田町は凋寒外13カ村戸長役場の時代で、翌年の1906年に凋寒村、つまり現在の池田町が発足する。前年1904年12月に現在の根室本線が釧路方向から延伸されてきて池田駅が設置、さらに1910年に網走線(池北線)が分岐し、次第に賑わいを見せてくる、そんな町の成長期前にバナナ饅頭は誕生した。

バナナ饅頭は、米倉屋の米倉三郎氏が池田駅開業に伴って考案した商品の一つだった。1904年以来、特に池田駅で鉄道利用客を相手に駅弁も販売していたのだが、当時は高級で手に入りにくかったバナナをお菓子にして、安く手軽に食べてもらえないかとの思いで考案したという。そしてこれが物珍しさも手伝って良く売れたといい、次第に池田町の名物として知られるようになっていく。

▼当初はこのような4つ同時に焼ける型で一つ一つ手作業で焼いていた。現在は多くを焼けるように一部機械化されている。(米倉商店 蔵)

バナナは入っていないけどバナナ饅頭

当時は高価すぎてバナナは使えない。そこで、バナナの香りを出し、バナナの味わいを感じられるように工夫して開発した。材料はいたってシンプルで、小麦粉と鶏卵でカステラ生地を作り、中には白あん。形はバナナの形を模しており、風味はもちろんバナナそのもの。あんが入っているとはいえ量は多くなく、そこまで甘すぎるわけではないので、幾つもぱくぱくいけてしまう。

この作り方は当時とほぼ変わっておらず、今でも100年前に親しまれていた、バナナの香かおる池田銘菓を堪能できる。駅開業時代から営業していた米倉商店(レストランよねくら)の店舗・工場は池田駅の真ん前、まさに一等地に位置している。池田駅では札幌~釧路間を走る特急スーパーおおぞらに積み込まれ、車内販売もされる。

▼お店に入った瞬間バナナの香りが立ち込める米倉商店。バナナの香りを楽しみながら料理を楽しむことだって可能。

焼きたて、ほっかほかのバナナ饅頭をゲットすべし!

バナナ饅頭ツウに言わせれば、バナナ饅頭は焼きたてがうまい。それは池田駅前の米倉商店(レストランよねくら)でしか味わえない。しかし、同店によれば、焼きたてに遭遇できる時間帯は毎日異なるという。『注文がたくさん入れば朝早く(9:00とか)から焼き立てをお出しできるが、それほど多くない日は昼過ぎになることもあります』。

そのようなわけで、焼きたてのバナナ饅頭に出会えた時はラッキー。焼きたてなら、薄型の箱の中のフィルムには水滴がついて、まるでほっかほかの弁当のよう。冷めてしまうと硬くなってしまうバナナ饅頭だが、焼きたては柔らかく、より優しく感じられる。一度食べてしまうと病みつきになってしまうこと間違いなしである。

十勝で一番歴史のあるお菓子「バナナ饅頭」、それも、一味も二味も違う焼きたてを是非味わっていただきたい。

▼8個入り、16個入りなどあるバナナ饅頭。並べ方も秀逸。

株式会社米倉商店・レストランよねくら
中川郡池田町大通1丁目27番地 [地図]
電話:0155722032
営業時間:9:00~20:00、木曜定休