「樽前ガロー」という人気のスポットがあると聞いたとき、「ガローって何だろう?」皆そう思いますよね。調べてみると、いろいろ難しい解説付きで知ることができますが、それがなぜ人気なのか。これは実際に行ってみるしかないでしょう。
事前にある程度の知識がないと迷う?
苫小牧市西部の国道36号線から樽前ガローの看板を樽前山側へ曲がり、約4km程行ったところに「樽前ガロー」はあります。
国道からそれて進んでいくうちに、どんどん山の中へ入っていることがわかります。
しばらく行くとまた看板が出ており、そこを右に曲がり200m程進むと到着なのですが、周りを見渡してもそれらしきものが何もありません。
取材時に、何人もの観光客に「樽前ガロー」はここですか?「何処ですか?」と聞かれたほどです。確かに予備知識無しに訪れると、そうなるでしょう。
▼写真看板より右へ200m程先にあります。左奥には樽前山が見えます
「ガロー」とは東北地方の方言らしく、崖の間を川が流れる場所という意味のようです。
また、切り立った崖という意味でもあるらしく、調べを進めると、ゴルジュ地形のことを指す意味でもあるようです。
沢登りをする方はもちろん、登山等で地形図を良く見る方なら「ゴルジュ」という言葉はご存知でしょう。
狭く切り立った岩壁に挟まれた谷の事を「ゴルジュ」と呼びます。
ということは、到着した地点で川を探せば良いわけですが、目の前に「樽前ガロウ橋」という名の橋があります。
橋ですので下には川があるはず。
覗いてみると、ありました!
前述のとおり、「狭く切り立った岩壁に挟まれた谷」ですので、私たちのいる地面より低い位置に存在するわけです。
しかも、橋の両脇には木や草が生い茂ってますので、橋の中央から覗き込まないとその地形には気がつきません。
多分、わからずに通り過ぎた人は結構いると思います。(笑)
▼橋から見下ろすと、垂直に深い崖と川が確認できます
大自然が造り上げた地形
今を遡ること1667年、樽前山の噴火による火山灰が堆積してできた岩石(凝灰岩)が川の水による侵食を受けて5~6m程の切り立った崖へと変貌していったのが、樽前ガローです。
規模が大きいものでは、グランドキャニオン等が同じようにして出来たもののようですが、日本の気候や植生等、様々な要因により、周りには木々が繁り、岩肌には包みこむように苔が生え、瑞々しく生気に満ちた谷になったのでしょう。
特異な地形と緑の苔が広がったその奇観から、1979年(昭和54年)に苫小牧市の自然環境保全地区に指定されています。
崖の上から、下から、様々な角度から楽しめる
橋を渡ると注意書きの看板があり、そこから左へ、川の上流へ向かって並行した道があります。
道は500m程で終わってますが、その途中にいくつも川の方へ向かう小道がついています。
その小道ごとに、崖の下へ降りられたり崖の上へ出たりと様々ですので、
場所によって上から見たり、下へ降りて川から見上げたりと、見方を変えて楽しめるので次はどんな景色だろうとワクワクします。
▼看板右の奥に続く道沿いに、崖へ続く小道が複数あります
崖の下へ降りる小道にはロープがかけられている急な斜面や、距離はありますが楽に降りられる場所だったりと、これまた様々です。
また、崖沿いにも小道が続いているのですが、崖ギリギリをしばらく歩いたり、場所によっては崖に張り出した木の根の上だったりします。
よくよく足元を確認しないと落ちる危険がありますので、十分注意が必要です。
また、下へ降りるなら水量を確認することは勿論ですが、滑らないしっかりとした靴を履くことも忘れないようにしましょう。
緑の岩肌と光の共演
崖の下へ降りると、崖の高さとその真っ直ぐに切り立った形に、よくぞこんな形になったものだと感動します。
また、周りの緑色にも感嘆の声を上げることでしょう。
崖という崖、岩という岩に苔がびっしり張り付いているのです。
ここで見られる苔は60以上の種類があるようで、たしかによく見ると岩によって違う種類の苔が生えているのがわかります。
川から見上げると、木々の隙間から射してくる日の光が崖の苔をゆらゆらと照らし、緑のカーテンを広げたように見えます。
流れる水の音と相まって、心洗われる景色に没頭します。
写真を撮る方なら、だれもが崖の下へ降りて撮りたくなるでしょう。
運が良ければ、ヤマセミも見られるようですよ。
樽前ガローの上流へ
樽前ガローは約2kmに渡りますが、主に知られているのは下流部にあたります。
上流にも橋があり、ガローを堪能できるようなので行ってみることにしました。
一旦来た道を戻り、地図を頼りに砂利道を進んでいくと、目の前に小さなガロー橋が見えてきます。
橋の下を覗き込むと、下流とは一変してが下の幅はより狭く、流れる水の勢いも段違いで速い流れです。
下まで降りられそうな場所はありますが、岩が濡れているのと、あまりにも急な傾斜なので諦めます。
ガロー橋の少し手前に、さらに上流にある人口の滝を観れる展望広場があるようなので、そちらへ行くことにしました。
右手に川の流れる音を聞きながら5分ほど行くと、木々の間から水が落ちる滝(堰堤)が見えてきます。
ここも下へ降りていける小道があるのですが、崖の至る所から水が流れ出しており、地面はどこも濡れているので、ゆっくりと一歩一歩注意して動きます。
下へ着くと、上流の滝から落ちた水が勢い良く流れ、下流のガローへ吸い込まれていくようで、迫力ある景色です。
絵になるのはやはり下流の方ですが、より深く樽前ガローを堪能するなら上流部へ足を延ばすのも良いでしょう。
行くなら、やはり緑の濃い時期が綺麗でオススメです。
最後に、北海道ならではの熊注意の看板が立っています。
特に朝、夕の時間帯は危険度が高いようですので避けましょう。
また、崖が崩れやすいということも忘れてはいけません。
慎重に安全第一で楽しみたいですね。