タンチョウってどんな鳥?道東に生息する大型鳥類の生態

長く日本国紙幣旧1000円札に描かれてきたタンチョウ。そのおかげもあってタンチョウは国民にも親しまれてきました。北海道ではシンボル的存在で、北海道を代表する鳥類であり、1964年9月1日以降、道民の投票により北海道の道鳥にもなっています。北海道に生息する美しい大型鳥類タンチョウとはどんな鳥なのでしょうか。

タンチョウってどんな鳥?

阿寒国際ツルセンターのタンチョウ

皆さんは、タンチョウにどんなイメージをお持ちでしょうか。北海道の雪景色に舞うツルをイメージするかもしれません。実際のタンチョウを見に行くと、歩いている姿は凛としていて、大きな翼で飛来し、降り立つ着地の瞬間はダイナミックな瞬間で感動的です。時折聞こえるタンチョウの鳴き声がなんともいえない雰囲気を作り出します。

タンチョウについては一般に知られていないこと、意外な一面もたくさんあります。例えば、タンチョウはこんな鳥であることをご存じでしょうか。

  • なぜか小石を食べる
  • 頭頂部の赤い部分は毛ではなくボコボコの皮膚でできている
  • 赤い頭頂部は興奮したり威嚇する時には大きく膨れる
  • あの巨体で平均約60kmで飛行する
  • あまりに寒いと車輪を機体に収めるように脚をたたんで飛行することもある
  • タンチョウの尾羽は黒く見えるが実は白い
  • あまり泳がないのに水かきがある
  • 鳴き声で性別を知ることができ、オスが「コー」、メスが「カッカ」
  • 江戸時代には東京にタンチョウが飛来していた

まず、タンチョウは丹頂鶴といわれるように、鶴の仲間です。分類ではツル目ツル科。丹頂鶴とは頭のてっぺんが赤いツルということですが、それはまさにタンチョウのイメージ。日本でツルといえばタンチョウを思い浮かべる方が多いでしょう。

タンチョウの舞

外見は、純白のボディーに、首や羽の一部(後ろ側)が黒色です。歩いている(羽を閉じた)状態で見ると、尾っぽが黒いように見えます。しかし、羽を開いて飛んでいる姿を見ると分かるのですが、実際は伸ばした羽の後部、風切羽の一部が黒いのです。頭のてっぺんが赤いのは、皮膚が露出しているためで、興奮すると大きくなります。この小さな赤いアクセントがあるのとないのとでは、イメージも変わってきますね。

実は国内最大の鳥類として知られ、体長は約90~150cmという大柄な鳥。オスがメスより多少大きく、羽を広げた長さは2.5mほどにもなります。その飛ぶ姿は、大変優雅で美しいものです。鳴き声が大きく1km先でも聞こえるんだとか。

優雅に飛ぶタンチョウ

えさは虫類、小魚がメインで、ザリガニも食べるとか。小麦、とうもろこしなど穀物も、意外と何でも食べます。冬の大雪原では、群れをなして人里近くにやってくるため、冬のタンチョウのイメージが強いです。しかし、春になると、つがいになり、湿原地帯を営巣地として繁殖します。

巣は地面に、ヨシやハンノキの小枝などを用いて作ります。直径は1.5mほど。2つ卵を産むのが普通で、1ヵ月後に孵化、オスもメスも抱卵と子育てに携わります。ヒナは全身茶色で、ふわふわの毛で覆われていて、これもかわいいのです。年末になるとまた群れをなして行動します。寿命は30年弱で、つがいになったタンチョウは一生をともにします。

※アイヌの人たちは、タンチョウのことを、「サルルンカムイ」、つまり湿原の神と呼んできました。

タンチョウの基本情報

名前の由来丹(赤い)頂(頭頂部)
学名Grus japonensis
英名Red-crowned Crane
分類ツル目ツル科ツル属タンチョウ
生息地日本(道東)、ロシア南東部、中国、朝鮮半島中北部の湿原、湖沼、河川
全長138cm
翼開長220~250cm
体重7~10kg
体色羽毛は白色中心で、首の前面・背面、次列風切羽と三列風切羽は黒色、頭頂部は皮膚が裸出し赤い
渡り基本的には越冬する渡り鳥だが、日本では留鳥
食物雑食性。植物の茎や種、昆虫、甲殻類、魚介類、両生類、げっ歯類など
繁殖4月が産卵期で、2個の卵を産卵し30日ほど抱卵、飛行可能になるまで100日、成熟期まで3~4年
指定北海道「道鳥」(1964年)
国指定天然記念物(繁殖地含む)(1935年)
国指定特別天然記念物(釧路のタンチョウ)(1952年)
国指定特別天然記念物(1967年)
環境省レッドリスト絶滅危惧II類(VU)
種の保存法に基づく国内希少野生動植物種指定(1993年)
日本の音風景100選・鶴居のタンチョウサンクチュアリのタンチョウ

動画(ムービー)

野生のタンチョウを見たことがある人はどれくらいいる?

北海道ファンマガジンでは2011年に野生のタンチョウを見たことがあるか尋ねるアンケートを実施しました。

アンケート名:野生のタンチョウを見たことがありますかアンケート
アンケート実施期間:2011年3月~2011年5月
アンケート実施開始日:2011年3月1日
アンケート実施終了日:2011年5月31日
対象地域:全国
回答総数:408

設問:あなたは、野生のタンチョウを見たことがありますか?
選択肢1:道民:ある!(206件・71.8%)
選択肢2:道民:ない(81件・28.2%)
選択肢3:道外:ある!(69件・57.0%)
選択肢4:道外:ない(52件・43.0%)

集計したグラフは以下の通りです。

これには、動物園で見たとか、剥製を見たとかは、含まれないはずです。結果は、道民でも道外の方でも、見たことがあると回答した方が半数以上を占めていました。その割合は道民のほうが7割超で多いのですが、道外の方でも6割弱という結果に。意外な結果が出ました。恐らくは多くは道内で見たということになるのでしょうか。

タンチョウはどこにいる?

鶴居村の伊藤タンチョウサンクチュアリのタンチョウ

タンチョウといえば釧路湿原です。タンチョウ=釧路湿原というイメージが広く浸透していますが、タンチョウの営巣地は、今述べた釧路湿原のほか、霧多布湿原なども含めた釧路管内、さらに風蓮湖などを中心とした根室管内に集中します。最近では遠くはなれた道北のサロベツ原野などでも観察され、話題となりました。

タンチョウは、国内のツルの仲間ではほぼ唯一、国内で繁殖する鳥です。渡り鳥ではありません。一年中北海道にいます。専門用語では「留鳥」と呼びます。ただし、ロシア極東や中国北部にいるタンチョウは、朝鮮半島へ渡りをするようです。日本では、北海道だけに生息し、渡りをしないので、道外で見ることはできないということです。

危機的状況回避のタンチョウ

鶴居村の伊藤タンチョウサンクチュアリのタンチョウ

しかし、北海道のタンチョウも一時は危機的状況に陥りました。江戸時代には北海道全域(及び渡りで東北地方も)に生息していたとされていましたが、明治時代の開拓時期に減少を続け、絶滅か?と思われたこともありました。理由は(1)乱獲、(2)湿原地帯の水田等への転用、この2つが主原因としてあげられています。

絶滅したと思われていたタンチョウが再び姿を見せたのは大正時代のこと。1924年に釧路湿原の鶴居村(つるいむら)で10羽以上のタンチョウを発見し、保護への動きは加速しました。1935年8月27日 天然記念物指定、1952年3月29日 特別天然記念物指定

実際に数が増加していったきっかけは、旧阿寒町のある農家が始めた、とうもろこし給餌活動。1950年の冬に成功しました。これが次第に各地に広まり、冬季に餓死することがなくなったタンチョウは増え始めました。

今では、冬季には人里付近、特に給餌場のある付近に集結する”習わし”になっています。これが越冬のようなものになっています。逆に人馴れしすぎて、農作物を食べたり、牛舎に入り込んだりすることも実際に起きているようです。

各つがいのなわばりは広範囲です。各つがいごとに数百ヘクタール必要とされています。それゆえに広大な湿原地帯が残されて続けていく必要があります。

タンチョウ保護に特に積極的なのは鶴居村で、村ぐるみで行っています。村鳥にも指定されています。鶴見台や伊藤タンチョウサンクチュアリといった給餌施設は、観光客にも人気です。他にも釧路市丹頂鶴自然公園は、国内初のタンチョウ自然公園で、自然孵化人工孵化を成功させ保護に努めてきました。

※2006年1月の生息数調査結果の発表で、調査開始後初めて1000羽を超えました。

道東の釧路湿原や周辺に行かれる際は、タンチョウのことをもよろしくお願いいたします。

タンチョウのことをどれほど知ってる?「ツル検定」でチェック!

みなさんは、タンチョウのことどれくらいわかりましたか? タンチョウの専門家が監修・作成した「ツル検定」にチャレンジしてみましょう。

ツル検定は、釧路市阿寒町にある阿寒国際ツルセンターの主任解説員 河瀬幸さんが作成しました。大人も子供も、ツル検定の20の○×問題に答えながら、タンチョウについて学んでいただければ幸いです。

ツル検定の問題

1.日本に生息するタンチョウは渡り鳥である。

2.タンチョウは国が指定する「天然記念物」である。

3.ヒナの世話は、オスもメスも両方する。

4.生まれたばかりのヒナにも、すでに羽毛が生えている。

5.飛べるようになったタンチョウは「成鳥」と呼ばれる。

6.タンチョウは見ただけでは2歳までしか分からない。

7.タンチョウは威嚇や興奮していない時は、頭の赤い部分が見えなくなる。

8.タンチョウは毎年春になると、相手尾変えてつがいになる。

9.タンチョウは雑食性である。

10.タンチョウは小石も食べる。

11.2羽で過ごすタンチョウは必ずつがいである。

12.飛んだり跳ねたりするタンチョウの行動は全て求愛行動である。

13.タンチョウの飛ぶ速さは、平均約80キロである。

14.日本で繁殖するツルは、タンチョウだけである。

15.冬のタンチョウは、湿原へ帰って巣の中で寝る。

16.タンチョウの足の指は4本ある。

17.タンチョウには水かきが無い。

18.タンチョウの長い首の頸椎の数は15個である。

19.タンチョウの尾羽は白い。

20.世界にツルはタンチョウの他に15種類いる。

ツル検定の回答

1.日本に生息するタンチョウは渡り鳥である。
× : これはさすがにお分かりでしょう。日本のタンチョウは年中北海道で暮らす留鳥です。

2.タンチョウは国が指定する「天然記念物」である。
× : これはひっかけ問題でした。正解は「特別天然記念物」です。

3.ヒナの世話は、オスもメスも両方する。
○ : タンチョウさんの夫婦は仲良しで、子育てももちろん両方で行います。

4.生まれたばかりのヒナにも、すでに羽毛が生えている。
○ : タンチョウさんのヒナは、生まれた時からフサフサの羽毛が生えているんですよ。

5.飛べるようになったタンチョウは「成鳥」と呼ばれる。
× : タンチョウの名称は、「ヒナ」→「幼鳥」→「亜成鳥」→「成鳥」と変わります。なので答えは幼鳥!でした。

6.タンチョウは見ただけでは2歳までしか分からない。
× : 3歳まで分かるのです。羽を広げると3歳までは黒い斑点が残っているんです。

7.タンチョウは威嚇や興奮していない時は、頭の赤い部分が見えなくなる。
× : 赤い部分は小さくなりますが見えますよ。

8.タンチョウは毎年春になると、相手尾変えてつがいになる。
× : タンチョウさんの夫婦は一生涯添い遂げることは有名ですね。

9.タンチョウは雑食性である。
○ : タンチョウさんは何でも食べちゃいますよ。

10.タンチョウは小石も食べる。
○ : 消化を助けるため、小石を胃袋に溜めておく習性があります。

11.2羽で過ごすタンチョウは必ずつがいである。
× : 若い個体同士だとつがいを形成していない場合もありますし、オトモダチ同士ということもあります。

12.飛んだり跳ねたりするタンチョウの行動は全て求愛行動である。
× : 求愛ではなく遊びで飛んだり跳ねたりすることもありますよ。

13.タンチョウの飛ぶ速さは、平均約80キロである。
× : 平均約60キロなんですよ。意外に速いでしょう。

14.日本で繁殖するツルは、タンチョウだけである。
○ : 九州の出水平野に渡ってくるナベヅルやマナヅルは、冬期のみで繁殖は日本ではしません。

15.冬のタンチョウは、湿原へ帰って巣の中で寝る。
× : 冬の間のねぐらは、近くの川に帰ります。

16.タンチョウの足の指は4本ある。
○ : 指は3本だと思っている方が多いのですが、実は小さな指がもう1本あるんですよ。

17.タンチョウには水かきが無い。
× : 一応あるんです。ですが、あまり泳いでいるトコロは見ることありませんね。

18.タンチョウの長い首の頸椎の数は15個である。
× : これは難しかったでしょう。正解は17個です。

19.タンチョウの尾羽は白い。
○ : 普通に立っているタンチョウを見ると尾羽が黒く見えますが、その部分は実は翼。尾は白ですよ。

20.世界にツルはタンチョウの他に15種類いる。
× : これもちょっとひっかけ問題。タンチョウを含んで15種類生息しています。

皆さんは何問正解できましたか?是非もっとタンチョウについて学んでみてくださいね。

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