阿寒国際ツルセンター主任解説員 河瀬幸さんに聞くタンチョウの魅力とは

『幼少期は身近すぎて、その存在価値を全く理解していなかったんです―』。そう語るのは、阿寒国際ツルセンター・グルスで主任解説員として活動する釧路市阿寒町出身の河瀬幸(かわせみゆき)さん。今となってはタンチョウに詳しいが、昔は特別タンチョウに思い入れはなかったという。真冬の寒い中、学校行事の一環としてカウンターを手に行っていたタンチョウ生息一斉調査を、大事な作業と知らずに嫌だなぁと思いながらやっていたほどだった。

実は河瀬さんは、タンチョウに関わる仕事をしたいと志願していたわけではなかった。所属する阿寒商工協同組合が阿寒国際ツルセンターの指定管理者として選定された際に配属されたのがきっかけだった。しかしながら、元来動物好きということもあり、まして国の特別天然記念物を扱う仕事であることから、楽しくタンチョウについて勉強できたという。『こうした自分の体験談は、タンチョウの価値を知ってもらいたい、もっとタンチョウを好きになってほしい、という活動に繋がっている』ようだ。

河瀬さんが感じるタンチョウの魅力とはいったい何だろうか。特に、優雅なイメージがあるタンチョウが見せる意外な一面には驚かされるという。『タンチョウは実は攻撃性が強い。跳び蹴り、クチバシでの攻撃は、給餌場では日常茶飯事。キタキツネが入り込んできたら、数十羽のタンチョウが円陣を組んでキツネを囲み、キツネが尻尾を丸めて逃げるシーンも見られるので驚き』と話す。一方で、自然破壊が原因で人里近い場所に追い込まれるタンチョウが増え、これから先タンチョウが害鳥扱いされてしまうのではないかとの危機感も持っている。

現在河瀬さんは、自身のブログでタンチョウについて発信しているが、最近は、講演やメディアでの情報発信を行う機会も多くなっている。FMくしろで毎月1回市民パーソナリティとして出演している。2013年からは、北海道新聞全道版にてコラムを担当する。2010年2月にはタンチョウ写真集「丹頂」を発売、8月にはバードウォッチングフェアのため渡英している。まさに館内外で、タンチョウの魅力を発信し続けているのだ。

河瀬幸(かわせみゆき)さんプロフィール

阿寒町(現在釧路市阿寒町)出身。ハウスメーカーやゼネコンでの勤務等を経て、現在、国内唯一のタンチョウ保護研究施設である阿寒国際ツルセンター主任解説員を務める。館内外でタンチョウの魅力を伝える活動に励む傍ら、自然の写真を中心とするブログ「タンチョウ&ミキィ」を毎日更新し人気を呼んでいる。また、2010年2月に発刊されたタンチョウ写真集「丹頂」が好評発売中。