谷川俊太郎さんファンにおすすめ!関連本が400冊以上並ぶ「俊カフェ」

札幌狸小路商店街七丁目の1本南側の通りに、札幌の街を長いあいだ見守ってきた「KAKU IMAGINATION」という白い瀟洒な建物があります。

今回取材するのは、その2階で営まれる「詩人 谷川俊太郎×カフェ」という斬新な発想を元につくられた「俊カフェ」です。二階へ続く入口では、 谷川俊太郎さんの等身大パネルがお出迎えしてくれます。

詩に導かれて、できたカフェ

店主の古川奈央さんは、社会人1年目の頃、テレビCMであるフレーズに魅かれます。偶然にも書店で同タイトルの詩集を発見。それが谷川俊太郎さんの作品でした。

そこから谷川作品を多く読むようになり、ずっと好きであり続けたことが人の縁を呼び、とうとう谷川さんご本人に会うことができました。その後、公認を得て、いつしか夢になっていた「谷川俊太郎のものだけをあつめたカフェ」を現実のものにしました。

古川さんのご著書『手記 札幌に俊カフェができました』のなかに開店までのいきさつが丁寧に記されており、「夢は人に話せば叶う」ということが説得力を持って響いてきます。実際にカフェの入り口のドアを開けると、なんだか気持ちの良い空気に満ちているな、とそんな気がするお店です。

詩を苦手と思う人にも来てほしい

俊カフェは2019年5月でオープン2周年を迎えました。店主の古川さんはこの間に、未経験からのカフェ経営はもちろん、ラジオ番組の1コーナーで、レギュラーとして1年弱のあいだ詩を紹介したりと多くの挑戦をしてきました。

そのなかで、やはりなにかしら悩んで来店された方には、気持ちに合うような詩集をすすめたい。詩が苦手という方には「詩は日常の中にあるもの」ということを伝えたい。詩は堅いものだと思っている方には、谷川さんの詩のなかにも豊かなバリエーションがあることを知ってもらいたいという思いを培ってきました。

詩の朗読会や詩の講座、大ホールを借りてのコンサートやポエトリーリーディングなどのイベントも開催しており、地元の方はもちろん、全国各地から俊カフェを目当てに足を運んでくださる方も少なくないそうです。

読む・聴く・触れる

お店の見どころのひとつは、やはり谷川俊太郎さん関連本を多く取り扱っているところです。現在約440冊置いていて、それらの本を落ちついた環境でゆっくりと読むことができます。

本棚を前にすると、詩集はもちろん、絵本や対談本、共著など膨大な数の作品を残してきた谷川俊太郎さんの仕事量に圧倒されます。来店したけど何を読んでいいのか迷う、そんな方もときおりいらっしゃるそうですが、気軽に声を掛けてほしいと古川さんは言います。

また清潔感のある店内の白塗りの壁には、谷川俊太郎さんから贈られた詩が掛かっていたり、素敵な絵が飾られていて、たとえ本を読まなくても充分楽しむことができそうです。そのほか、詩を本の外に広げる「oblaat」というブランドのグッズや、谷川さん関連のCDなども販売しています。

読書に合うデザートとお菓子

そして来店された際には、プリンやマフィンなどの手作りデザートはいかがでしょうか。動物性の素材未使用で、体にも心にも優しいものを提供しています。シンプルで飾らない大人なデザートで、読書のお供に相性抜群です。

また「詩人の言葉入りクッキー」は、このお店ならではのユニークなアイデアが心をくすぐります。袋のなかに折りたたまれた紙片、詩人の言葉をまるでおみくじのように楽しめます。店主いわく「不思議と、その言葉を待つ人のところに言葉が届く」ことが多いそうです。

谷川俊太郎さんのファンはもちろん、詩に興味がある方、そうでない方にも、俊カフェの居心地の良さを体験していただきたいです。

俊カフェ
所在地:札幌市中央区南3条西7丁目 KAKU IMAGINATION 2F(※地下鉄大通駅より徒歩約10分)
電話:011-211-0204
時間:11時~20時
定休:毎週火曜日
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