北海道は3つの海に囲まれています。渡島、胆振、日高、十勝、釧路、根室は太平洋に面し、檜山、後志、石狩、留萌は日本海に面し、オホーツク管内などはオホーツク海に面しています。
北海道は日本でも北に位置していますので、夏でも海水が冷たく海水浴に適さないことが多いです。海に入れるとしても7~8月までで、中には一週間しか海水浴場が開かれない場所もあります。そのため、海に入って遊ぶと言うよりは、砂浜にテントを張ってキャンプを楽しむというのが道民の夏の楽しみ方の一つとなっています。
それでも、道民は海水浴を楽しみたいもの。そこで今回は、海水浴場が集中する石狩湾の海水浴場を中心に、北海道の海水浴場事情をご紹介いたします。
札幌近郊(石狩湾)の海水浴場
海水浴場が多くあり賑わうのは、日本海側。特に人口が集中している札幌都市圏からほど近い石狩湾には、多くの海水浴場が点在しています。札幌市は海に面していないため海水浴場はありませんが、隣接する小樽市、石狩市(厚田・浜益を含む)の海水浴場では、夏になれば海水浴客の姿を見かけることができます。
筆頭に上がるのは、小樽市の「おたるドリームビーチ」、通称「ドリビ」と呼ばれる海水浴場です。札幌市内から最も近い海水浴場の一つで、駐車場もビーチも広く開放的な海水浴場となっています。その北部にある「石狩浜海水浴場あそび~ち石狩」(石狩市)も車を使ってアクセスできる場所で人気です。
公共交通機関を使うのならJR銭函駅から徒歩圏内の「銭函海水浴場」も、札幌から近くて便利です。札幌市内から少し離れた場所では、小樽市内や小樽西部、石狩市厚田区や浜益区にも海水浴場があります。
小樽市の海水浴場
石狩湾に面する小樽市には、海水浴場が幾つも点在しています。公に海水浴場として開設しているのは6か所。札幌市に近くて人気の「おたるドリームビーチ」「銭函海水浴場」もあれば、若者に人気の「蘭島海水浴場」、地元の人達が主に利用している「朝里海水浴場」「東小樽海水浴場」まで様々です。
小樽市内には豊井浜、張碓海岸、オタモイ海岸のように、公式の海水浴場ではない海岸もあります。張碓海水浴場は、7~8月限定で海水浴客向けの列車が停車していたJR函館本線張碓臨時駅が廃止されてからは、訪問することができず閉鎖状態となっています。
おたるドリームビーチ
「ドリビ」と呼ばれ親しまれている石狩湾の海水浴場。札幌近郊の海水浴場の筆頭です。近くに山々や高い構築物がない中、直線上に長大な砂浜ビーチが続くのが特徴で、とても開放的。若者から家族連れまで幅広い層の人たちが楽しめるビーチです。
周辺に住宅はなく、自家用車によるアクセスがメインとなります。駐車場が一箇所で広大なのはメリットの一つですが、普通車の駐車料金は1回1,000円。駐車場と砂浜の間に海の家や仮設トイレ、ゴミ箱などが並んでいます。海の家が充実しているので、食事に困らないのも魅力の一つでしょう。
道内でも早い6月下旬に海開きを行うビーチで、8月末まで開設しています。
2023年の開設期間:6月23日~8月31日
所在地:小樽市銭函3丁目610番2地先
銭函海水浴場
ドリビよりも山に近づきます。また、石狩湾の湾曲部分に位置するので、カーブを描く海岸線を間近に見ながら海水浴を楽しめるのが特徴です。また銭函市街にあるので買い物などにも困らないので便利です。水洗トイレもあります。
JR函館本線銭函駅から約10分、海岸沿いに北上すると海水浴場に到達できます。海の家は砂浜ではなく生活道路沿いに点在しており、駐車場も分散しています(駐車料金500円)。駐車台数もドリビほど確保されているわけではありません。
夏の時期になると、海岸沿いの道路を若者たちが銭函駅から海水浴場に向かって歩いている姿を見かけるようになります。沿道には浮き輪を吊るした店舗があったり、浮き輪を並べるセイコーマートがあったりと、海水浴で賑わう街であることを垣間見ることができます。
7月初めから8月末まで開設しています。
2023年の開設期間:7月1日~8月24日
所在地:小樽市銭函3丁目
朝里海水浴場
朝里川温泉で有名な小樽市朝里地区。その海岸沿いにあるのが朝里海水浴場です。JR函館本線朝里駅下車すぐという好立地。背後に丘の斜面が迫っており、線路が海岸線ぎりぎりを走っているため、海水浴場も狭い土地を活用しているという印象です。
砂浜ではなく消波ブロックや岩場中心ですが、海の生き物を見つけようと地元の子どもたちが遊ぶ場にもなっています。なお、自家用車でも訪問可能ですが、海水浴場へ続く道路は狭いので注意。狭いながら駐車場も点在しています。
7月上旬から8月下旬まで開設しています。
2023年の開設期間:7月中旬~8月下旬
所在地:小樽市朝里4丁目
東小樽海水浴場
JR函館本線小樽築港駅に比較的近い、平磯岬の東側の湾に広がる海水浴場です。小樽市街地にほど近いため、地元の親子連れに親しまれている海水浴場と言えるでしょう。海水浴場の裏手は鉄道が走っており、間近に列車の走る姿を見ながら海水浴を楽しめるのが特徴です。
海の家が何軒かあり、食事にも困らない印象。公式には石浜とされていますが、駐車場側(入口側)は石浜、奥側は砂浜とわかれていて、消波ブロックで囲まれています。海水浴場入口にはしっかりとした常設水洗トイレも設置されています。なお、直火・キャンプ禁止です。
駐車場は無料開放されており、駐車場料金がかからないのは最大の魅力です。海水浴場近くは漁師たちの生活の場でもありますので、自動車は通行禁止です。
7月上旬から8月下旬まで開設しています。
2023年の開設期間:7月8日~8月20日
所在地:小樽市船浜町
塩谷海水浴場
小樽市中心部から余市側に進むと2つの海水浴場があります。その一つが、塩谷地区の稲穂沢川河口周辺の海岸にある塩谷海水浴場です。緩やかなカーブを描く砂浜が特徴的で、ビーチの背後にある防波堤に座ってビーチを一望すると、時を忘れていつまでもここにいたいと感じてしまいます。
海水浴場近くには塩谷海岸バス停ロータリーがあり、バスでのアクセスも可能です。JR塩谷駅は遠いですので、自家用車または路線バスが良いでしょう。仮設トイレがあるほか、有料駐車場も幾つかあります。
7月上旬から8月中旬まで開設しています。
2023年の開設期間:7月15日~8月16日
所在地:小樽市塩谷1丁目
蘭島海水浴場
小樽市内の海水浴場の中で、最も余市町に近い蘭島地区にあるのが蘭島海水浴場。忍路半島とフゴッペ岬の間に位置する、曲線を描く広い砂浜ビーチで、東側の忍路半島側には白い岩肌をむき出しにした崖が見えます。西側には蘭島川の河口があります。
特に若者たちに人気の海水浴場の一つで、ドリビよりも賑わっている時があるほどです。水洗トイレがあるほか、有料駐車場も数箇所にあります。JR蘭島駅からは徒歩約10分です。
実はここ、「北海道海水浴場開設発祥之地」つまり北海道の海水浴場の発祥地でもあるすごい場所です。鰊塚もあるように、もともとニシン漁で栄えた漁村だったのですが、水産加工業の丸山氏の働きかけによって、1903年に「風光明美な保養地・海水浴場」と宣伝したのが始まりです。
海水浴場の立地もよく、砂浜や波も良好。鉄道(現:JR函館本線)が全線開通したこともあって、その後旅館や別荘といった施設が立ち並ぶようになっていきました。ちょうどニシン漁が下火になってきた頃だったので漁師たちもそれに便乗し、海の家の経営などに励むようになり、北海道海水浴場の発祥の地として知られるようになりました。
7月上旬から8月下旬まで開設しています。
2023年の開設期間:7月7日~8月20日
所在地:小樽市蘭島1丁目
石狩市の海水浴場
石狩湾新港より北側は石狩市です。石狩市にも公設3か所、民間運営3か所の計6か所の海水浴場があります。公設海水浴場は石狩浜海水浴場「あそびーち石狩」、厚田区の厚田海浜プール、浜益区の川下海水浴場「はまますピリカ・ビーチ」で、筆頭は石狩浜海水浴場「あそびーち石狩」です。石狩川河口の南側の砂浜を利用した海水浴場で、砂浜も広く長いため開放感があります。
- 石狩浜海水浴場「あそびーち石狩」(公設)石狩市本町
- ジェットビーチ石狩(民間設置)石狩市厚田区
- 望来浜中央海水浴場(民間設置)石狩市厚田区
- 厚田ビーチセンター(民間設置)石狩市厚田区
- 厚田海浜プール(公設)石狩市厚田区
- 川下海水浴場「はまますピリカ・ビーチ」(公設)石狩市浜益区
道南の海水浴場
道南にも幾つか海水浴場があります。胆振管内には鳴き砂で知られるイタンキ浜(室蘭市)、北の湘南と呼ばれる伊達市には有珠海水浴場、豊浦町には豊浦海浜公園キャンプ場があり、夏休み時期になれば混雑します。渡島管内には道南最大級の人工ビーチ、海峡横綱ビーチ。檜山管内にはせたな町や乙部町を中心に海水浴場が点在しています。
道東や道北には海水浴場は少ない
北海道東部や北部は海水浴場が少ないのが現状です。日本最北の稚内市にも海水浴場がありますが、開設期間も一週間程度と短く、海水も冷たいため海に入るという状況ではありません。
冬には流氷で覆われるオホーツク海にも数か所の海水浴場がありますが、近隣住民はほとんど海に入って遊ぶ習慣がないため、閑散としています。
出演:たにぐちあいり.(小樽編)五ノ井ひかり(小樽編)