北海道を旅する

ウポポイ(民族共生象徴空間)が白老町にオープン!その全貌を紹介します

  

新型コロナウイルスにより延期されていた「ウポポイ(民族共生象徴空間)」の一般公開が2020年7月12日(日)から開始されました。「ウポポイ」とはアイヌ語で大勢で歌うこと。その名の通り、さまざまな民族の垣根を取り去った共生がテーマになっています。オープンに先駆けて実施された内覧会の様子をお伝えします。

【映像】動画で見るウポポイ内覧会の様子

ウポポイ誕生の経緯

ウポポイ(民族共生象徴空間)が白老町にオープン!その全貌を紹介します

2009年(平成21年)の「アイヌ政策のあり方に関する有識者懇談会」での報告において「民族共生の象徴となる空間」の整備が提言されました。

アイヌ文化を復興・発展させる拠点であり、先住民族の尊厳を尊重した多様な文化を持つ社会を築いていくための象徴として複合的な意義や目的を有する空間を整備することが決定し、ウポポイが誕生しました。

ウポポイはとにかく広い

▼エントランス棟からは、彼方に国立アイヌ民族博物館がそびえ建つ
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ウポポイの第一印象は「広い」に尽きます。敷地面積は札幌ドームが4〜5個分に相当しそうです。総事業費約200億円。

当初政府は年間入場者数100万人を目標に掲げていました。ブームは落ち着いたと言え、2019年度の旭山動物園の年間入場者数が約140万人なので、思い切った数字と言えるでしょう。現在は新型コロナウイルスにより、当初掲げていた入場者数目標の半分に修正されています。

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国立アイヌ民族博物館で学術的に学ぶ

ウポポイは展示を中心とした「国立アイヌ民族博物館」と、体験型の「国立民族共生公園」に分かれています。

▼ポロト湖側から見る国立アイヌ民族博物館
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▼民族共生象徴空間にふさわしいアイヌ民族博物館エントランス
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国立アイヌ民族博物館1階に総合案内所・交流室・シアター・ミュージアムショップ・ライブラリがあり、2階に伝統的なアイヌ文化や現代に息づく多様なアイヌ文化を6つのテーマで紹介する基本展示室、特別展示室が設けられています。

正面エントランスの壁面にはアイヌ語を含むたくさんの言語による館内案内が表示されるなど、民族共生象徴空間にふさわしい演出が取り入れられています。

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▼思わず声をあげてしまう美しい光景
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エスカレーターに乗り2階へ行くとポロト湖やコタン(アイヌ民族の集落)が目に飛び込んできます。パノラミックロビーの絶景に訪れた誰もが感嘆の声をあげてしまうことでしょう。

6つのテーマで構成される基本展示室

▼アイヌ文化に関する資料が約700点も展示
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基本展示室は「私たち」というアイヌ民族の視点で、ことば・文化・歴史を紹介しています。中央部にアイヌ文化の粋を集めた作品が展示され、それを見るだけでもアイヌ文化の概略とすぐれた芸術性を理解できるようになっています。また周辺の個別の展示を見ることで、より詳しい情報が得られ理解が深まります。資料は約700点も展示されていますので、見学時間を十分に確保してご覧ください。

体験型フィールドミュージアム 民族共生公園

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民族共生公園は、アイヌの文化を五感で感じることができる体験型フィールドミュージアムとなっており、アイヌ古式舞踊の上演や伝統芸能体験、食文化体験や伝統工芸品の製作体験等を通じてアイヌ文化を体感することができます。

※新型コロナウイルス対策により2020年7月12日現在、体験メニューは中止されています。

▼工房
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アイヌコタンでアイヌの伝承に耳を傾ける

▼チセを模したものが建つ再現コタン
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コタンとはアイヌ語で「集落」や「村」を意味し、「神居古潭」「積丹」「床丹」など、今も北海道の地名に残されています。民族共生公園にはアイヌ民族の住宅である「チセ」がたてられ、コタンが再現されています。

▼ユーモアを交えてアイヌ文化を解説
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チセではスタッフがユーモアを交えてアイヌ文化を解説。「北海道の地名の多くがアイヌ語ですし、シシャモ、ラッコ、トナカイ、女性ファッション誌も花という意味のアイヌ語です」など、さまざまなものにアイヌ語が語源となっていることを教えてくれました。

体験交流ホールでアイヌの伝統芸能を堪能

▼体験交流ホール
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▼スクリーンに映されたタンチョウとともに舞を見せる
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体験交流ホールのメニューは通常通り実施されています。壁や床に美しい映像が映し出され、その中で古式舞踊や口琴のムックリ、五弦琴トンコリの演奏など、アイヌの伝統芸能が上演されます。アイヌ文化の様式美を堪能してください。

▼ムックリの演奏
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体験学習館は一部プログラムを変更して公開

▼体験学習館
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体験学習館では、アイヌ料理の調理や試食、ムックリ、トンコリなどの伝統楽器の演奏体験などを楽しむことができる予定でしたが、しばらくの間はスタッフによる伝統楽器の演奏や講和などにプログラムが変更されています。

▼トンコリには不思議な力が宿っていると言われている
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▼「民族共生象徴空間」と名付けられた理由を痛感
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講和を担当した若い女性は、「祖母は差別を受けて生きてきました。私には子どもがいますが、その子が差別を受けるようなことがない社会を願いたい」と言います。展示や演出以上に「民族共生象徴空間」と名付けられた理由が伝わりました。

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アイヌの食文化を味わう

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ウポポイにはレストランや軽食を提供する飲食店が4つあり、内覧会では自慢のメニューの試食会が開催されました。いずれのお店もエゾシカ肉や白老産のタマゴなどアイヌ文化を源流としている食材や地元の食材が使われており、新しい北海道グルメとして注目されそうです。

▼入口近くやエントランス棟に飲食店が入る。写真は入口近くにあるCAFE RIMSE
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アイヌに伝わる創世神話をプロジェクションマッピングで表現

▼プロジェクションマッピングは2020年7月21日から実施
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【映像】プレス内覧会でお披露目されたプロジェクションマッピング(ノーカット版)

ラストはプロジェクションマッピングで締めくくられます。アイヌに伝わる創世神話をもとにした物語が約15分間映し出され、幻想的なイルミネーションと音楽のファンタジーが楽めます。上映が終わると静けさが訪れ、いつもの自然に戻ります。まるで夢から覚めたように人々は帰路に向かうのでした。

「イランカラㇷ゚テ」の言葉に迎えられませんか

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「ウポポイは、アイヌ文化と歴史を尊厳を尊重する空間であり、それを後世に伝える役割を担っています」などと書くと堅苦しくなってしまうので、まずは「イランカラㇷ゚テ(アイヌ語でこんにちは・こんばんは)」の挨拶に迎えられ、アイヌ文化に触れることから始めてください。驚きと感動が待っていますよ。

ウポポイへのアクセス

JR白老駅(北口)からウポポイまで約500m(約10分)です。またオープンに合わせてJR町内を循環する「交流促進バス」が運行されます。白老駅とウポポイを結ぶ便と町内の飲食店などを周遊する便を一日26便を運行します。時刻表は町のホームページや観光インフォメーションセンターでご確認ください。

施設概要:ウポポイ(民族共生象徴空間)

所在地:北海道白老郡白老町若草町2丁目3
開館時間(オープン時点):
2020年7⽉12⽇〜7⽉19⽇ 平⽇9時〜18時、⼟⽇祝⽇9時〜20時
2020年7⽉20⽇〜8⽉31⽇9時〜20時
2020年9⽉1⽇〜10⽉31⽇平⽇9時〜18時、⼟⽇祝⽇9時〜20時
2020年11⽉1⽇〜2021年3⽉31⽇9時〜17時
休館日:⽉曜⽇(祝日または休日の場合は翌日以降の平日)および 年末年始(12⽉29⽇〜1⽉3⽇)
入館料:大人1,200円 /高校生600 円/中学生以下無料

※新型コロナウイルス感染拡大防止のため、一部サービス内容が変更・中止されています。お出かけの際は公式ホームページでご確認ください。

公式サイト

筆者について

吉田匡和

吉田匡和

札幌在住の文筆家・写真家。日本のすべての年金制度(厚生年金・国民年金・国家公務共済・地方公務員共済・私学共済)に加入したことがあるという、自慢にもならない経歴を持っています。苦労しなくて済む程度のアウトドアが趣味で、夕日を見ながらビールを飲むのが大好きです。【Sクラス認定ライター】