北海道に生まれ育った人なら「しおA字フライビスケット」のパッケージを見て、きっと懐かしいと思うはず。もちろん、今でも定期的に購入して食べている人もいることでしょう。ついつい手が伸びてしまう素朴な味は、道産子の誰もが一度は食べたことのある味です。
そんな「しおA字フライビスケット」に関して、ふとした疑問を持った北海道ファンマガジン。果たして、その真相とは?
2袋分をぶちまけて調査してみる!
北海道以外の人にとっては、ほとんど馴染みがないかもしれない「しおA字フライビスケット」。少しだけ塩味の利いた、ほんのり甘い、素朴な味わいのビスケットです。卵を使っていない軽い口当たりで、いくらでも食べられてしまいます。おやつとしてはもちろん、ビールのお供としても楽しめます。
そんな「しおA字フライビスケット」、ひとつひとつがいろんなアルファベットの形をしています。北海道ファンマガジンが疑問に思った点は、まさにそこです。
「アルファベット26文字、すべてが揃っているの?」
実にくだらない、多くの人にとってはどうでもいいような疑問です。世の中にはもっと大切なことがあるだろうと詰め寄られたら、その通りですと小さくなるしかありません。しかし、どんなにくだらなくても、ひとつの疑問から生まれた歴史的大発見だって数多く存在するのです。そう、この疑問は、ニュートンのリンゴに匹敵するかもしれないのです!
……前置きが長くなりましたが、とりあえず「しおA字フライビスケット」を2袋購入。テーブルの上にザザザッとぶちまけ、アルファベット順に並べてみました。その結果。
▼一目瞭然
かなりの歯抜け状態です。アルファベット26文字は揃っていなかったものの、中途半端に揃った数字と、なぜか「&」も入っていました。こうなってくると、さらなる疑問が生まれてきます。
「なぜアルファベットも数字も、こんな中途半端に揃っているの?」
解明すべく、販売元の「坂ビスケット」(札幌市西区二十四軒3条7丁目3-22)へお邪魔しました。
アルファベットの謎がついに明らかに
北海道では「坂ビスケット」という名称で親しまれていますが、正式名称は「坂栄養食品株式会社」。明治時代創業の、歴史のある会社です。
▼「坂ビスケット」の文字もレトロな雰囲気
さっそくアルファベットが揃っていない理由を尋ねると、答えはシンプルなものでした。
「形の崩れやすい文字は作っていない」
なるほど、とても分かりやすい、明快な理由です。つまりアルファベットの「F・I・T・J・L・P・V・Y」など、袋の中に入っていない文字や数字は、製造及び流通工程で崩れやすい文字だったというわけです。
▼現在も売れ続けるロングセラーがずらり
それにしても、本社と同じ場所にある売店には「しおA字フライビスケット」以外にもさまざまな商品が並びます。
もともとはデンプン工場だったという「坂ビスケット」が、デンプンの需要の縮小と共に乳児食を作りはじめたのは、戦後間もない頃のこと。札幌に本社を構えた1955年頃からは、本格的にビスケット製造に乗り出します。ケーキは高価だけど、ビスケットなら安価で毎日のおやつにも最適ということで、売り上げをどんどん伸ばしていきました。大手がほとんど製造しておらず、ライバルが少なかったことも追い風になったようです。
▼それぞれに違った味わい
「坂ビスケット」の商品は、息の長いものが多いのが特徴です。パッケージもどこか懐かしく、昭和のにおいが感じられます。
久しぶりに食べてみたいと思ったら、ぜひお近くのスーパーで探してみてください。食べながら、近くにいる人に「実は、アルファベットの文字はすべて揃っているわけじゃないんだよ」などと、うんちくを語るのも楽しいものですよ。