100年ものの製麺機と釜を使ったそば!? 姉妹で営む老舗「西谷食堂」

伝統を守る、なんて言葉で言うのは簡単ですが、実際に守り続けるとなると難しいものです。しかし岩見沢市に、まさに伝統を守り続けている老舗そば店があります。

「老舗のおそば屋さんなら、伝統の味を守り続けるのは当たり前なんじゃないの?」と簡単に思ってはいけません。味はもちろんのこと、ここで守られているのは先代から受け継がれたそば製麺機。なんと、明治時代初期のそば製麺機なのだとか。一体どんなものなのか、取材させてもらいました。

大きな製麺機を操る西谷姉妹にも驚き!

▼店は駅前にあり古くから愛されてきた

店の名前は「西谷食堂」。創業から64年の歴史を誇る、地元で長く愛されてきたお店です。

西谷食堂を切り盛りしているのが、西谷春子さん(75歳)、西谷洋子さん(74歳)の義理のご姉妹。なんでも、先代から受け継ぎ兄弟で経営していたのを、兄弟の引退後、今度はそれぞれの奥さんである春子さん、洋子さんが受け継いで経営しているのだそう。

▼さっぱりとした清潔感のある店内

厨房のいちばん奥に、例のそば製麺機がどっしりと鎮座しています。

▼これで製麺の行程がほぼすべてできる

想像以上に堂々たる姿で、70歳を越える西谷姉妹がこれを動かすのかと、少し驚いてしまいます。嫁いできた頃から店の手伝いをしているため、機械の操作も慣れたものだということです。

▼モーターも年期の入った雰囲気

なんでも、ラーメン屋さんから中古で譲り受けたものらしく、実に100年以上の歴史を誇るそば製麺機。あまりにも古く、部品がどこにもないため、故障した時は自分たちで修理しつつ大切に使ってきたといいます。ただ、歯車が故障した時だけはどうにもならず、特注で作ってもらったのだそう。

▼見れば、麻紐で修繕した跡が

この製麺機でなければ出せないそばの喉ごしが、西谷食堂の人気の秘密。伝統の味は、伝統の機械から生み出されているというわけです。

すごいのは製麺機だけじゃない、最後の動画も必見!

実は、古いのはそば製麺機だけではありません。製麺されたそばを茹でるそば釜も創業当時から変わらず使い続けられており、製麺機とほぼ同時期のものなのだといいます。

▼厨房には立派な釜が

なんと今でも石炭を燃料に動いており、ガスや電気では出せない火力でそばを茹で上げます。

▼釜の下で赤々と燃える石炭

今ではあまり見る機会のない石炭の釜の迫力は、炎の力強さに感動すら覚えるほどです。そば製麺機と共に、このそば釜の様子も動画で撮影しているので、この記事の最後にぜひお楽しみにしていただくとして……。やはり気になるのは、こうした迫力のある製麺機と釜で作られるそばの味ですよね。

▼かしわセイロ(税込600円)

茹で上がったそばは見るからにおいしそうな、美しい姿です。喉ごしは丸く優しく、これこそがあの製麺機にしか出せない切り口の成せる技なのでしょう。人気のかしわセイロは、つけ汁のかしわの照りまでもが食欲を刺激してきます。

▼なべやきそば(税込700円)

こちらも人気のなべやきそば。具だくさんでほっこりあたたかく、滋味深い味わいです。なべやきうどんよりもさっぱりと食べやすく、寒い冬には何度もリピートしたくなること間違いなしです。

▼カツ丼(税込750円)

もちろん、そば以外のメニューもいろいろ。ガッツリいきたい時は、やはりカツ丼でしょう。汁物と香の物も付いているのもうれしいところ。「おそば屋さんで食べるカツ丼って、なぜかおいしいよね」と、しみじみと舌鼓を打ってください。

やはり長く続いてきた店には、長く続くだけの理由があります。古いものを大切に使いながら生み出されてきたそばが、人々を惹きつけるのは必然なのでしょう。では、お待たせしました。最後に100年もののそば製麺機とそば釜の、貴重な動画をどうぞ!

【動画】西谷姉妹の絶妙な動きにもご注目

西谷食堂
所在地:岩見沢市1条4丁目6
電話:0126-22-0415
営業時間:9時~19時
定休日:第1・第3日曜日
取材協力
一般社団法人 岩見沢市観光協会
所在地:北海道岩見沢市有明町南1番地1 岩見沢複合駅舎1階
電話:0126-22-3470
公式サイト