北海道の空の玄関口、新千歳空港。空港利用者の多くが札幌市へアクセスしています。札幌都心と新千歳空港を結ぶ交通手段として、JR千歳線の快速エアポート/特別快速エアポートがありますが、もう一つ忘れてならないのが、北海道中央バスと北都交通が共同運行する新千歳空港連絡バスの存在です。どちらを利用したら良いのでしょうか。どちらが便利なのでしょうか。比べてみました。
JRと空港連絡バスの概要
JR北海道の千歳線で新千歳空港駅から札幌駅までは「快速エアポート」「特別快速エアポート」が運行されています。JR北海道のドル箱路線の一つですので、運行本数増やスピードアップなど様々な工夫をしています。
一方、空港連絡バスは、札幌都心との間を結ぶハイデッカーバスを北海道中央バスと北都交通が共同運行しています。行き先やルートは様々で、札幌都心行きの中には停車が少ない直行便、各ホテルに止まっていく普通便があります。
札幌都心行き以外にも、本数は比較的少ないですが、地下鉄大谷地駅、北24条・麻生、宮の沢、サッポロビール園(東区役所前駅・環状通東駅経由)、円山バスターミナル、アパホテル&リゾート札幌(地下鉄真駒内駅経由)、北9条西14丁目桑園といった行き先があり、北海道中央バスや北都交通が運行しています。
JR新千歳空港駅と空港連絡バス乗場のご案内を最初にいたします。
JR千歳線 新千歳空港駅
新千歳空港駅は、新千歳空港国内線ターミナルの地下にあります。終端駅ですので、札幌、手稲、小樽方面にしか向かいません。自動券売機や交通系ICカードで利用できます。
新千歳空港国内線ターミナル到着口の空港連絡バス札幌都心線の乗場
新千歳空港国内線ターミナルビル1階到着口、ANA側に北都交通のチケット売り場、JAL側に北海道中央バスのチケット売り場があり、自動券売機が設置されています。2社の共同運行なので、利用したチケット売り場と実際に乗車する車両の会社が違う場合もありますが、どちらでも問題ありません。
▼国内線ターミナルビルANA到着口のチケット売り場は北都交通
▼国内線ターミナルビルJAL到着口のチケット売り場は北海道中央バス
▼北都交通の車両
▼北海道中央バスの車両
現金購入の場合、乗車券は降車時に渡します。交通系ICカード(Kitaca/SAPICA/Suica/PASMO/manaca/TOICA/PiTaPa/ICOCA/はやかけん/nimoca/SUGOCA)は、乗車時と降車時にタッチして利用できます。
それぞれの出口に札幌都心行きバスのりば(のりば14・22)が設置されています。国内線ターミナルではこの2箇所でお客さんを乗せた後、国際線ターミナルビル(のりば84)でお客さんを乗せて札幌都心に向かいます。
最近では、高速バスにもWi-Fiやコンセント設備が充実している場合が多いです。JRの車両によっては、ロングシートタイプなので作業がしにくいと感じる方も、4列シートの連絡バスであれば作業しやすいかもしれません。
続いて、JRの快速エアポート/特別快速エアポートを利用する場合と、空港連絡バスを利用する場合、所要時間や運行ルート、始発便・最終便、運賃などの違いを比較してみましょう。
所要時間
新千歳空港から札幌駅までの区間で言えば、所要時間は大きく違うのでしょうか。
JR北海道は2020年3月にダイヤ改正を実施し、札幌駅から新千歳空港駅までの空港アクセスを強化。日中は1時間5往復、快速エアポートもしくは特別快速エアポートを運行しています。快速エアポートは最速37分、特別快速エアポートは最速33分で札幌と空港を結んでいます。ただ、停車駅の少ない特別快速エアポートは札幌発が朝の2本のみ、新千歳空港発が夜の2本のみですので、タイミングが合わなければその恩恵は受けられないでしょう。今後の増発に期待です。
空港連絡バスは、札幌駅前バス停に限って言えば、通常所要時間は77分、停留所の少ない直行便(札幌発は午前、新千歳空港発は午後)は65分です。
所要時間の比較
- JR北海道:最速33分
- 空港連絡バス:最速65分
スピードで言えば、JRのほうが圧倒的に速いということになります。
運行本数と運行頻度
続いて、運行本数です。
JR北海道の快速エアポート/特別快速エアポートは上下線合わせて1日148本の運転があります。札幌駅から新千歳空港駅までは80本(朝晩の普通列車7本を含む)、新千歳空港発は80本(朝の普通列車5本を含む)で、日中は快速エアポートまたは特別快速エアポートが1時間5往復、11~13分間隔で運転されています。
札幌都心と空港を結ぶ空港連絡バスは、1日合計121本運転されています。札幌駅前発は57本で、基本は15分間隔で1時間4本運転されています(5時台・8時台・9時台は5本、18時台は2本)。新千歳空港発は64本で、日中は1時間5本運転されています(8時台は2本、9時台・10時台・11時台・20時台は4本、21時台・22時台は3本)。
運行本数の比較
- JR北海道:新千歳空港着73本/新千歳空港発75本
- 空港連絡バス:新千歳空港着57本/新千歳空港発64本
日中の運行頻度の比較
- JR北海道:1時間5往復
- 空港連絡バス:空港発は1時間5本/札幌発は1時間4本
運行本数は、ダイヤ改正したJRにわずかに分がありますが、運行頻度で言えば、日中の新千歳空港発に限って言えば、1時間あたり5本で同じと考えることもできるでしょう。
始発便と最終便
朝イチの便と最終便は、それぞれ何時なのでしょうか。
JR北海道の千歳線は、始発は、上りは札幌駅5:50発 → 6:28着の快速エアポート、下りは新千歳空港駅6:39発 → 7:19着の快速エアポート。終電は、上りが札幌駅21:51発 → 22:44着の普通列車、下りが新千歳空港駅22:53発 → 23:32着の快速エアポートになります。
一方、札幌都心と空港を連絡するバスについては、札幌駅5:15発 → 6:32着、新千歳空港8:40発が最も早い便です。最終便は、札幌駅18:15発 → 19:47着、新千歳空港22:55発となっていて、この新千歳空港発最終便はJAL乗場では停車せず、航空機到着が遅れた場合には出発時刻を柔軟に変更する便となっています。
しかし、北都交通が案内している最終便がもう一つあります。新千歳空港23時台(23:20発)の便で、AIRDO43便(東京羽田21:30→新千歳23:05)の到着に合わせて運行される深夜便となっています。この便は、JRの最終列車が去った後に空港に到着するため、空港連絡バスが唯一の移動手段になります。そのため、搭乗客に対しては、空港連絡バス利用を希望する場合には速やかにバスチケット売り場へ行くよう案内がなされることになっています。前の航空機も遅延した場合、この最終バスは満員に近い状態で出発することが多いです。
なお、新千歳空港国内線の最終到着航空便はスカイマークBC177便(神戸21:20→新千歳23:10)ですが、北都交通の深夜便はあくまでAIRDO最終便に対しての措置運行となっていますので、注意が必要です。
一方、始発便についてみると、新千歳空港国内線の始発便はスカイマークBC704便(新千歳6:15→東京羽田7:55)となっています。JRの最速到着列車が6:28、札幌都心からの空港連絡バスは6:32。いずれの場合もBC704便には間に合いませんが、続く7:30発の航空便であれば間に合います。
始発便の比較
- JR北海道:6:28着/6:39発
- 空港連絡バス:6:32着/8:40発
最終便の比較
- JR北海道:22:44着/22:53発
- 空港連絡バス:19:47着/22:55発(※AIRDO最終便にあわせた23時台の便あり)
新千歳空港到着の始発便はどちらも大きく変わりありません。新千歳空港発は、JRのほうが早い時間帯からありますが、この時間帯はまだ航空便も到着していませんので特に気にしなくてよいかと思います。
最終便については、空港連絡バスが早めに終了しますので、18時台後半に札幌を出発するのであればJR一択になると思います。空港発の最終便については、AIRDO最終便を利用するのであれば空港連絡バス一択になります。
運行ルート(途中停車駅/停留所)
運行ルートと停車場所の比較です。
JRの普通列車は途中の全ての駅に停車。快速エアポートは札幌・白石(※一部が停車)・新札幌・北広島・恵庭・千歳・南千歳・新千歳空港、特別快速エアポートは札幌・新札幌・南千歳・新千歳空港に停車します。
小樽から直通しているのはJR北海道だけです。最速73分で小樽と空港を結んでいます。空港から札幌によらずに小樽に直行したい場合は、JR一択になると思います。
普通列車の停車駅
- 札幌
- 苗穂
- 白石
- 平和
- 新札幌
- 上野幌
- 北広島
- 島松
- 恵み野
- 恵庭
- サッポロビール庭園
- 長都
- 千歳
- 南千歳
- 新千歳空港
快速エアポートの停車駅
- 札幌
- 白石(※一部が停車)
- 新札幌
- 北広島
- 恵庭
- 千歳
- 南千歳
- 新千歳空港
特別快速エアポートの停車駅
- 札幌
- 新札幌
- 南千歳
- 新千歳空港
札幌都心とを結ぶ空港連絡バスは、種別や上下線の別によって、ルートも停車する停留所も始点・終点も変わります。下の図は、札幌都心エリアを抜き出した路線図です。オレンジ色は新千歳空港行きの直行便、緑色は新千歳空港発の直行便(いずれも中島公園が終始発、札樽自動車道・道央自動車道使用)。青色は新千歳空港発の普通便、赤色は新千歳空港行きの普通便です。(詳しいルートは公式マップを参照ください)
最も速く停留所も少ないのが「直行便」で、中島公園・すすきの・大通公園・札幌駅前・輪厚(道央道)・恵庭(道央道)・新千歳空港ととまります。中島公園にアクセスする便はこの直行便だけで、大通公園から乗車できるのはこの直行便だけです。この直行便は、新千歳空港行きは午前のみ10本、新千歳空港発は12時台~19時台に1時間あたり1本運転されています。
空港連絡バス直行便の停留所
- 中島公園(始発)80分
- すすきの 77分
- 大通公園 73分
- 札幌駅前 65分
- 輪厚(道央道) 28分
- 恵庭(道央道) 21分
- 新千歳空港(終点)
これ以外の空港連絡バス札幌都心行きは、札幌中心部をめぐって主要ホテルに停車していくのが特徴です。空港から宿泊先ホテルまで乗り換え無しで行けるのが、空港連絡バスの魅力のひとつです。
通常は地下鉄東豊線福住駅経由として運転されます。道央自動車道の千歳ICから北広島ICを走行し、三井アウトレットモール札幌北広島から国道36号を走って、福住駅などに停車。豊平川を渡る直前にプレミアホテルTSUBAKIに停車し、すすきの、大通、札幌駅、西11丁目周辺の各ホテルに停車していきます(このプレミアホテルTSUBAKIから先が札幌都心部という位置づけです)。終点のロイトン札幌から先、京王プラザホテル札幌まで延長運転する便もあり、12時台~19時台に1時間あたり1本運転されています。
逆に、札幌都心発は、札幌駅始発 福住駅経由便と、京王プラザホテル札幌始発 福住駅経由便の2ルートがあり、すすきのから空港までは同じルートになります。午前の京王プラザホテル札幌始発の5本を除き、ほとんどが札幌駅始発ルートになっています。札幌駅始発ルートについては、一部便がANAクラウンプラザホテル札幌始発になります。
なお、新千歳空港の乗場は国内線ターミナルビル1階、到着口の近くに設置されています。北側のANA・AIRDOなどの到着口近くには北都交通のチケット売り場、JAL・スカイマーク到着口近くには北海道中央バスのチケット売り場があり、乗場もその近くに設定されています。国際線ターミナルビルにも停車し、合計3箇所をまわってから、札幌都心を目指します。
JRだと、途中停車駅で沿線住民を乗降させて車内が混雑し、座席に座れないこともあります。連絡バスは、空港を目指す、または空港から札幌を目指す人しか乗車しませんし、座席の数も十分ですので、着席して札幌を目指せるのが魅力です。
▼新千歳空港行きの停留所
▼新千歳空港発の場合の札幌都心の停留所は降車専用
空港連絡バス(新千歳空港→福住駅経由 札幌都心)の停留所
- 新千歳空港国内線ANA到着口前(始発)
- 新千歳空港国内線JAL到着口前
- 新千歳空港国際線ターミナル
- 南千歳駅
- 恵庭(道央道)
- 輪厚(道央道)
- 三井アウトレットパーク入口
- 三里塚小学校
- 里塚南
- 清田真栄
- 清田団地入口
- 月寒東1条19丁目
- 札幌ドーム
- 地下鉄福住駅
- 月寒中央通10丁目
- 地下鉄月寒中央駅前
- 月寒中央通2丁目
- 豊平郵便局
- 豊平3条10丁目
- プレミアホテルTSUBAKI
- 南3条すすきの
- ホテルモントレ エーデルホフ札幌
- ANAクラウンプラザホテル札幌
- 札幌駅前
- 道庁正門前
- 札幌グランドホテル
- ホテルリソルトリニティ札幌
- 札幌ビューホテル大通公園
- 札幌プリンスホテル
- ロイトン札幌(終点)
- 京王プラザホテル札幌(延長運転便のみ終点)
空港連絡バス(札幌都心 札幌駅前→福住駅経由 新千歳空港)の停留所
- ANAクラウンプラザホテル札幌(※一部始発) 87分
- 札幌駅前(始発) 77分
- 道庁正門前 75分
- 札幌グランドホテル 74分
- ホテルリソルトリニティ札幌 73分
- サンルートニュー札幌 71分
- すすきの(南4西3) 68分
- プレミアホテルTSUBAKI 64分
- 豊平3条10丁目 62分
- 豊平郵便局 59分
- 月寒中央通2丁目 57分
- 地下鉄月寒中央駅前 56分
- 月寒中央通11丁目 53分
- 地下鉄福住駅 48分
- 札幌ドーム 44分
- 月寒東1条19丁目 43分
- 清田団地入口 40分
- 清田真栄 39分
- 里塚南 35分
- 三里塚小学校 33分
- 三井アウトレットパーク入口 32分
- 輪厚(道央道) 28分
- 恵庭(道央道) 21分
- 新千歳空港
空港連絡バス(札幌都心 ロイトン札幌→福住駅経由 新千歳空港)の停留所
- 京王プラザホテル札幌(始発) 82分
- ホテルロイトン札幌 77分
- 札幌プリンスホテル 74分
- すすきの(南4西3) 68分
- プレミアホテルTSUBAKI 64分
- 豊平3条10丁目 62分
- 豊平郵便局 59分
- 月寒中央通2丁目 57分
- 地下鉄月寒中央駅前 56分
- 月寒中央通11丁目 53分
- 地下鉄福住駅 48分
- 札幌ドーム 44分
- 月寒東1条19丁目 43分
- 清田団地入口 40分
- 清田真栄 39分
- 里塚南 35分
- 三里塚小学校 33分
- 三井アウトレットパーク入口 32分
- 輪厚(道央道) 28分
- 恵庭(道央道) 21分
- 新千歳空港
乗り換え無しで宿泊先ホテルへ行きたい、国道36号沿いの清田・福住・月寒で降りたい、すすきのや大通公園で降りたいという場合には、かゆいところに手が届く空港連絡バスが便利になります。一方、千歳・恵庭・北広島・新札幌・白石で降りたいということであれば、JRの快速がおすすめです。
運賃
JRで札幌―新千歳空港間の運賃は1,150円。一方、空港連絡バス札幌都心線は1,100円(新千歳空港―清田間は1,000円)。50円の差ですが、空港連絡バスのほうが若干安いです。
ただ、これは札幌駅―新千歳空港駅に限っての話。札幌駅から宿泊先のホテルまでの移動手段は含まれていません。札幌駅周辺のホテルであれば良いですが、大通公園やすすきの、西11丁目周辺のホテルに宿泊するのであれば、札幌駅から地下鉄で移動するのであれば、プラス210円かかることになり、やはり空港連絡バスで乗り換え無しで向かったほうが便利だよね、ということになります。
JRと連絡バスの運賃の違い
- JR北海道:1,150円
- 連絡バス:1,100円
で、結局どちらが便利なのか
新千歳空港から札幌都心まで、JRと連絡バスどちらが便利なのでしょうか。利用シーンなどケースバイケースというのが回答です。
札幌駅の徒歩圏内のホテルや観光地が目的地で、スピード重視ならJR、お得に利用するなら空港連絡バスです。JRと連絡バスはルートも停車場所も異なりますので、沿線で降りたいのであれば、そこを通る交通手段を選択するのがベストです。
札幌都心部のホテルを宿泊先としていて、できるだけ乗り換えをしたくない、キャリーケースを持ちながらできるだけ歩きたくないということであれば、時間面では劣りますが空港連絡バスがおすすめです。料金面では50円程度の違いですが、速度に大きな違いがあります。それで、スピードを求めるならJR、ゆったり行きたい、ホテル直行したいのであれば空港連絡バスという選択になると思います。
JR利用のメリット
- 千歳市、恵庭市、北広島市、札幌市厚別区新札幌や白石周辺などJR沿線で降りたい場合
- 札幌駅周辺に用事がある場合
- 札幌都心にできるだけ速く到着したい場合(バスより断然速い)
- 足腰の弱い方(ハイデッカーバスの乗車が難しい方)
- 鉄道マニア
空港連絡バス札幌都心線利用のメリット
- 北広島市輪厚や大曲、札幌市清田区や豊平区など国道36号沿線で降りたい場合
- ちょっとでも安く、でもゆっくりと札幌に向かいたい場合
- 札幌都心部のホテルに宿泊する場合(地下鉄乗り換えなし)
- キャリーケースをバス床下トランクに収納するので、最小限の荷物で着席可
- 車両によってはコンセントとWi-Fiが各座席にあるので作業に適している
- 空港利用者しか乗車しないので混雑しないし確実に着席できる
- バスマニア
【動画】JR北海道の空港アクセス列車「特別快速エアポート」に乗ってみた!
【動画】新千歳空港連絡バスで札幌都心を目指す方法を紹介します!