地下鉄南北線中島公園駅一番出口から歩くこと約7分。札幌で二番目に古い商店街「新通商店街」を歩くと、珈琲豆の香ばしいかおりが漂ってきます。今回取り上げる「河合珈琲」は、札幌で美味しい珈琲が飲める、無骨な純喫茶のようなカフェです。
店内はこじんまりとしていて、ゆったり座れるソファーと椅子が六脚、ほかにカウンターには脚の高い椅子を増設できるようになっていて、木目調の家具が暖かみのある印象を与えます。
この日のBGMは「ハンバート・ハンバート」。珈琲の良い香りの中、時間がゆっくりと過ぎていくようです。お話しをいろいろと伺う中で、店主が溜め息まじりに、「人があんまり来ないんだよね……」と言うセリフが哀愁をともなって響いてきました。
河合珈琲は「穴場」
「なぜ人が来ないのでしょう」。当然この疑問を投げかけました。
店主いわく、「新通商店街」に店を構えていることにひとつの要因があると言います。この商店街は周辺の地元民の高齢化などの理由によって、以前あった活気を取り戻せないでいるそうです。店内から外を眺めていても、たしかに人通りは少ない印象を受けました。
そしてこの店が「禁煙」にこだわるのも、喫茶をもとめる愛煙家を遠ざける手痛い要因になっていると言います。(店外に喫煙スペース有。)
また、店舗の二階がゲストハウスになっていることもひとつの要因として考えられるかもしれません。河合珈琲がオープンしたのは2013年、開店後にゲストハウスブームが起き、絶好のタイミングでのスタートを切ります。
しかしよくも悪くも、ゲストハウスのイメージが強かったために、カフェとしての定着を妨げている可能性は否めないと思います。ブームに陰りが見えはじめた現在、良質なカフェであることがもっと認知されても良いはずだと感じました。
珈琲へのこだわり
店内の片隅に、メカニックに煌めくマシンが目をひきます。これは「エスプレッソマシン界のフェラーリ」と店主が言う、世界的に有名な「ラ・マルゾッコ」製のマシンです。
「珈琲は煎れるのも飲むのも、好きというか、嫌いじゃないって感じ」と店主は言いますが、好きでなかったらここまでこだわらないだろう、というのが正直な感想です。ひねくれ者の店主ならではの、独特の言い回しなのだなと察しました。
そしてマシンへの信頼感でしょうか、マシンを語る店主の表情は、当たり前ですが自信に満ちているように見えました。私はすかさずカフェラテを注文しました。
無骨な味わい
▼カフェラテ 一杯500円
しばらくすると、茶目っ気のある坪型のカップが眼の前に置かれました。
さっそく蓋を開けてみると、定番のリーフの絵柄が。オーソドックスで奇をてらわない、まろやかで非常に美味しいラテでした。またエスプレッソを使ったデザート「アフォガード」も大変美味ですので、ぜひ食べていただきたいひと品です。
その魅力
カフェであり、ゲストハウスであり、無骨な喫茶店のようでもある、そんなつかみどころの無さは一見不器用にも見えます。しかしそれが独特の居心地のよさを生み出しているのかもしれません。
中島公園散策の休憩に、ぜひ立ち寄ってみてはいかがでしょうか。