北海道トピックス

日本遺産に根室海峡「鮭の聖地」を認定!道内分の認定は全5件に

  

文化庁は2020年6月19日、本年度の日本遺産認定分21件を発表。北海道からは、根室管内標津町など4市町が申請した「『鮭の聖地』の物語~根室海峡一万年の道程~」(以下、「鮭の聖地」)が唯一認定され、これにより過去の認定分をあわせて道内は5件目となりました。

北海道関係分は5件目

日本遺産に根室海峡「鮭の聖地」を認定!道内分の認定は全5件に

日本遺産は、地域の歴史的魅力や特色を通じて日本の文化・伝統を語るストーリーを年1回、文化庁が認定するもの。2015年度に始まり、北海道は2017年度以降、毎年日本遺産審査委員会の審議を経て認定されてきました。

北海道初認定となった江差町のストーリーは地域型(単一市町村内でストーリー完結)で、それ以外はシリアル型(複数市町村にまたがるストーリー展開)です。

日本遺産認定(北海道分5件)

2017年4月28日
江差の五月は江戸にもない―ニシンの繁栄が息づく町―
(檜山管内江差町)

日本遺産に根室海峡「鮭の聖地」を認定!道内分の認定は全5件に

北海道第1号に認定された日本遺産江差―その26の文化財とは?

2017年4月28日
荒波を越えた男たちの夢が紡いだ異空間~北前船寄港地・船主集落~
(函館市、渡島管内松前町、小樽市(2018年5月24日追加)、石狩市(同)、道外分は青森県、秋田県、山形県、新潟県、富山県、石川県、福井県、京都府、大阪府、兵庫県、鳥取県、島根県、岡山県、広島県、香川県の15府県44市町)

日本遺産に根室海峡「鮭の聖地」を認定!道内分の認定は全5件に

2018年5月24日
カムイと共に生きる上川アイヌ~大雪山のふところに伝承される神々の世界~
(上川管内上川町、旭川市、富良野市、上川管内愛別町、上富良野町、当麻町、東川町、比布町、十勝管内上士幌町、鹿追町、士幌町、新得町)

日本遺産に根室海峡「鮭の聖地」を認定!道内分の認定は全5件に

2019年5月20日
本邦国策を北海道に観よ!~北の産業革命「炭鉄港」~
(赤平市、小樽市、室蘭市、夕張市、岩見沢市、美唄市、芦別市、三笠市、空知管内栗山町、月形町、沼田町、胆振管内安平町)

日本遺産に根室海峡「鮭の聖地」を認定!道内分の認定は全5件に

2020年6月19日
「鮭の聖地」の物語~根室海峡一万年の道程~
(根室管内標津町、根室市、根室管内別海町、羅臼町)

2020年度の道内分は札幌市、旭川市など30市町が申請した「食の軌跡が輝く北の大地~北海道ダイヤモンドロマン~」、小樽市が単独で申請した「北海道の『心臓』と呼ばれたまち・小樽~『民の力』で創られ蘇った北の商都~」を含めて3件で、認定されたのは「鮭の聖地」の1件のみでした。

今回の認定により、日本遺産は全国で104件に達しました。文化庁は、2020年度までに100件程度認定することとしており、認定件数の目標を達成したことから、新規認定は当面行わないこととしています。それで、北海道内の日本遺産は当面の間、上記5件となります。

根室海峡の暮らしを支えた鮭

日本遺産に根室海峡「鮭の聖地」を認定!道内分の認定は全5件に

北海道で5件目となった日本遺産は、道東の根室海峡が舞台。1万年前から人々の暮らしが続いてきた地において、人々の支えになったのはあらゆる生命の糧となった鮭でした。アイヌの伝承では「知床沖にいるカムイ(神)からの贈り物」とされてきた鮭は、毎年秋に川を遡上し、大地と海とをつないできました。

毎年12月には民家の軒先に鮭とばが干され、江戸時代から伝わる鮭の塩蔵熟成法(山漬け)、各家庭で受け継がれてきた鮭飯寿司など、人々の生活に深く入り込んでいます。

鮭を求めて人々が移動した道程は、根室海峡沿岸の遺跡から確認できます。ポー川流域に広がる日本最大の竪穴群「標津遺跡群」やチャシ跡などです。

江戸時代になると、和人の鮭漁の漁場が展開されます。根室の金刀比羅神社、標津の標津神社は根室上会所と根室下会所を前身としていて、その歴史を今に伝えています。明治時代には別海缶詰所が北海道開拓使によって設置され、鮭缶詰が世界各地に輸出されました。

明治時代中期以降は資源が枯渇したため、鮭漁を補う新たな産業を確立する動きが見られるようになります。その一つが、現在も独特の打瀬舟で行われている野付湾のホッカイシマエビ漁。別の者たちは副業として畜産農業をはじめました。この酪農は根釧台地に広がり、格子状防風林や旧奥行臼駅逓所、旧国鉄根室標津駅転車台などして現在に残されています。

▼野付湾の打瀬網漁で行うホッカイシマエビ漁
日本遺産に根室海峡「鮭の聖地」を認定!道内分の認定は全5件に

▼根釧台地
日本遺産に根室海峡「鮭の聖地」を認定!道内分の認定は全5件に

有名どころから穴場まで!根釧台地を眺望する展望地 八景

▼根室標津駅転車台
日本遺産に根室海峡「鮭の聖地」を認定!道内分の認定は全5件に

42年の時を経てSLが古巣に戻った!旧標津線の転車台で整備が進む

▼旧奥行臼駅逓所
日本遺産に根室海峡「鮭の聖地」を認定!道内分の認定は全5件に

駅逓所、簡易軌道、国鉄駅の3つの交通遺産が集中する別海町奥行臼

日本遺産「鮭の聖地」は、鮭に笑い、鮭に泣いた根室海峡沿岸の物語を伝えてくれています。構成文化財は、国指定史跡や国指定重要文化財、北海道遺産を含む31。野付半島、鮭の食文化、チャシ跡など遺跡群、旧開拓使別海缶詰所、碓氷勝三郎商店の酒蔵、野付湾の打瀬網漁、根室の昆布漁、奥行臼の鉄道関連史跡、標津線関連遺産群、根釧パイロットファーム関連文化財群と酪農建造物群、格子状防風林などで構成されています。

筆者について

アバター

編集部

北海道ファンマガジン編集部。編集部スタッフが取材執筆した記事や、名前を出さないライターの記事、寄稿記事の掲載の際にもこのアカウントが使われます。