だて歴史文化ミュージアムで縄文・アイヌ・武士の3つの文化を学ぶ

2019年4月3日に、「だて歴史文化ミュージアム」がオープンしました。伊達市内には先住民族であるアイヌ民族や、それ以前の縄文時代の遺跡が多数出土しています。新しくできたミュージアムのコンセプトや見どころを紹介します。

伊達は文化財の宝庫

▼亘理伊達家第20代目当主となる伊達元成さん

ミュージアムを案内してくれた学芸員の伊達元成さんは、亘理伊達家第20代目の当主を務めています。「明治時代に亘理伊達家を始め多くの人たちが入植したが、伊達市には開拓移住以前からの歴史もあり、それらを示す多くの文化財が存在している」と言います。

市内の北黄金貝塚や若生貝塚などの遺跡や出土品は世界文化遺産となるほど注目されており、アイヌ民族の歴史においても有珠地区は重要な場所です。だて歴史文化ミュージアムでは、縄文・アイヌ・武士の文化を同時に展示することで、伊達の歴史を立体的に紹介しています。

▼4月3日にオープンした伊達の新名所

▼広々としたエントランス

ミュージアム1階は無料ゾーンで、「ミュージアム・コモンズ」には、伊達市の文化と歴史に関する書籍が数多く置かれ、講演会やワークショップなどを行う「ラーニング・スタジオ」も設置されています。有料の展示室は2階に設けられ「文化の接触」をコンセプトに数々の歴史的資料が展示されています。

専用のアプリ(無料)をインストールすれば展示資料の説明をスマートフォンで見ることのできる「ポケット学芸員」のほか、有料(15名まで500円、45名まで1,000円)でガイドの説明を受けることができます。

展示コンセプトは「文化の接触」

▼3つの文化が一つのフロアに集まる

展示室に入ると大きなスクリーンに迎えられます。そこには小野 潭(ふかし)が描いたアイヌ文化と、武家による和人文化の接触が映し出されています。右にアイヌ民族、左に亘理伊達家中が描かれた構図であることから、右側に縄文文化とアイヌ文化の資料を展示し、左に進むに従って武士文化に辿り着く路順になっています。

▼縄文からアイヌまでの道

▼有珠モシリ遺跡からの出土品

▼続縄文時代に九州や沖縄方面との交流を示す貝のブレスレット

▼展示は縄文時代からアイヌの時代へと変わる

展示資料は縄文時代からアイヌ民族へと変わります。「北海道開拓は、和人が未開の原野を切り開いたり、アイヌ民族を排除したかのように伝えられることが多いが、時には食べることができる野草をアイヌの人たちから教えてもらうなど、アイヌの人びとは良き隣人として彼らに助けられた開拓だった」と伊達さんは言います。異なった視点で物事を見ることで歴史の解釈が変わってくるのが、このミュージアム最大の魅力と言えるでしょう。

▼亘理伊達家ゆかりの武士の文化

左に向かって歩みを進めると、亘理伊達家ゆかりの資料が展示されています。第15代当主・邦成は、戊辰戦争で新政府軍に敗北して所領のほとんどを削減されたため、約2,700人の家臣とその家族を率いて北海道に移住し、現在の伊達市を開拓しました。街は故郷である宮城県亘理町に似せた作りになっていたそうです。

▼時代を今に伝える数々の展示品

「亘理伊達家と言うと男性的なイメージが強いが、収蔵品を見ていくと、お姫様の文化も色濃く残しているので、女性が使っていた品々も展示していきたい」とのことでした。

特別展示室

▼伊達成実展~東国随一の猛将の生涯~開催

常設展示室の隣に、特別展示室を併設。オープン記念企画展として「伊達成実展~東国随一の猛将の生涯~」と題して成実所領の甲冑や、成実が記した政宗公御軍記などが展示されていました。展示資料は定期的に変更されるそうなので、再訪が楽しみです。

だて歴史文化ミュージアム
所在地:伊達市梅本町57番地1(道の駅「だて歴史の杜」隣)
電話:0142-25-1056
開館時間:9時から17時(展示室への入場は16時30分まで)
休館日:毎週月曜日(休日の場合は、その翌日以降の最初の平日)
毎年12月31日から翌年1月5日
入館料:一般:常設展示300円、小学生・中学生:200円、特別展示は開催内容によって異なります。