旭川家具メーカー約30社が集結!旭川デザインセンターの魅力とは

旭川市といえばどんなイメージがあるでしょうか。ラーメンや旭山動物園が有名ですが、産業としては日本有数の木製家具の産地という顔も持っています。

旭川地域の家具やクラフトのショップ、そしてデザインの発信拠点が「旭川デザインセンター」。ここ最近のリニューアルで、ますます魅力的な施設に生まれ変わりました。隣接するカフェ&ダイニング「パレンタ」とともにご紹介します。(トップ写真提供:旭川デザインセンター)

▼ご案内いただいた旭川デザインセンター松村基子さん

明治時代に始まった旭川家具産業

旭川家具は、旭川市と近郊地域の家具メーカーが製造している家具の総称です。旭川周辺に良質な森林資源が豊富であったことに加え、明治時代に鉄道が開通し、大日本帝国陸軍第7師団の移駐で人口が増え、家具の需要が高まったことで洋物家具の産業が始まりました。

戦後、本州からバイヤーを招いた「旭川木工祭」(現:旭川デザインウィーク)によって、家具産業が発展しました。旭川市としても技術・デザイン振興のためのサポート態勢を整え、「旭川市工芸センター」として現在に至っています。デザイン習得や技術伝承の機会があったことは、旭川家具産業の発展に大きく寄与しました。

約30メーカーの製品を一度に見られる総合ショールーム

1957年には、旭川家具の事業者で構成する旭川家具工業協同組合が発足。1994年に所属メーカーの製品を展示販売する総合ショップ「旭川デザインセンター」を運営しています。旭川家具のことなら何でもわかる中核施設といえるでしょう。

「旭川デザインセンター」は2017年6月、一年がかりで実施したリニューアルを完了し、より機能的で心地よい空間に生まれ変わりました。2階建ての建物には、旭川家具工業協同組合に所属するメーカー約30社の常設ブースが並び、実際に触れて購入することも可能。メーカーごとに得意とする分野、デザイン、色合い、よく使う木材など特長が異なるので、見ていて飽きません。

例えば、中川町産クルミの木を使った椅子・テーブルを得意とする工房宮地(東川町)は、納品まで1年半待ちのチェアがあるほど人気です。想像力を育てる、フィンランド生まれ旭川育ちのパズル家具「パラペリ」を手掛けるのはメーベルトーコー(旭川市)。2019年に発足した、北海道産白樺を再評価して活かす「白樺プロジェクト」。東京に本社を構え旭川に工場を開設するメーカーも2社あります。

▼椅子とテーブルが人気の工房宮地

▼アイスプロジェクト

▼旭川に工場を持つアルフレックス

▼子ども向けの家具も人気で、グッドデザイン賞を受賞した製品も

2014年には北海道産広葉樹で家具をつくる取り組み「ここの木の家具・北海道プロジェクト」がスタート。創業時から一貫して北海道産木材にこだわっているメーカーはもちろん、北海道の木材を積極的に使うメーカーが増えてきています。対象メーカーには、黄色のロゴマークがついているので、選ぶ際の参考にできます。

1階では、企画展が期間限定で開催されることも。最近の展示では、2020年4月21日までの約半年間、デンマークのHYGGE(ヒュッゲ)のライフスタイルに学ぶ豊かな冬の過ごし方を提案する展示とイベントが展開されました。

▼2020年4月21日まで開催された企画展「HYGGE」

▼2020年4月21日まで開催された企画展「HYGGE」でジュンク堂書店とコラボレーションし誕生した1000冊超のライブラリー

国際的なイベントのメイン会場となる旭川デザインセンター

旭川デザインセンターでは、国際的な家具イベントも開催してきました。1955年以来、毎年メイン会場として開催しているのが「旭川デザインウィーク」。地元家具メーカーの新作発表やライフスタイル提案などをしています。

1990年に新しい生活文化の提案と発信を目的に始まったのが、「国際家具デザインフェア旭川(IFDA)」です。3年おきに過去10回、デザインコンペを開催。通算世界75カ国・地域のデザイナーから8,000点を超える応募が寄せられ、50点近い作品は実際に製品化されています。ものづくりをする人たちが出会い交流する場となっており、産地全体の向上に大きな役割を果たしてきました。

地元の若手がデザインしたカフェ「パレンタ」を併設

2019年7月26日には、築40年の旭川家具工業協同組合旧事務所をリノベーションしたカフェ&ダイニング「palemta(パレンタ)」が誕生しました。家具デザイナーなど地元の若手約20名が自由な発想でアイデアを出し合って作り上げたといい、旭川市内屈指のおしゃれな空間に仕上がりました。

▼地元の若手の知恵を結集した店内

お食事は、北海道産食材にこだわった海・山・畑にちなむ3つのメニューが用意されています。取材日は「山」が厚切り笹豚ジンジャーソース(スープ・サラダ・ライス)、「海」は海鮮パスタ明太子クリームソース(スープ・サラダ)、「畑」は笹豚のしゃぶしゃぶサラダ手作りソース(スープ・自家製ピクルス・ミニライス)でした。ドリンクセットやジェラートセットを選ぶことができます。このほか、グラタン・ドリア、カレー、天然酵母パンなどを提供しています。

▼ランチメニュー「山」の例

カフェタイムもドリンクメニューのオーダーが可能で、受験生など学生の利用も目立つようです。窓際の空間はゆっくりと読書するのに最適です。

▼カフェ「パレンタ」2階は有限会社エフ・ドライブデザインの事務所とショップ&ギャラリーになっている

旭川家具の総合ショップにカフェ&ダイニング「パレンタ」が加わって魅力が増した旭川デザインセンター。松村さんは、「教育的施設・ミュージアムショップとしても家具の価値を伝えていきたい。敷居は高くないので、地元旭川の人はもちろん、良質な家具を探している人はぜひ気軽に来てほしい」と話しています。

旭川デザインセンター

所在地:旭川市永山2条10丁目1-35
電話:0166-48-4135
営業時間:年末年始やお盆を除く毎日9時~17時

カフェ&ダイニング「パレンタ」

所在地:旭川市永山2条10丁目1-35
電話:0166-76-9983
営業時間:木曜定休(水曜は17時まで)
1階カフェ&ダイニングは10時~21時(食事は11時~12時半L.O.、17時~20時15分L.O.)
2階shop&galleryは10時~19時

北洋銀行永山中央支店(ながやまちゅうおうしてん)

所在地:旭川市永山3条4丁目3-6
電話:0166-48-7211