今年、創設から30年という節目を迎えるPMF(パシフィック・ミュージック・フェスティバル)。記念すべき多彩なプログラムが揃っていますが、中でも7月20日(土)と21日(日)に開催されるPMFプレミアム・コンサートには注目です。かつて芸術監督としてPMF創成期を支えたクリストフ・エッシェンバッハ氏が指揮を執る他、かつてのPMFアカデミー生などが集結し、今回限りのPMFプレミアム・オーケストラを結成。メンバーのひとりである、冨田麻衣子さんに話を伺いました。
みんなが明るい未来を見ていた
兵庫県出身の冨田麻衣子さん。大阪教育大学教養学科芸術専攻音楽コースを卒業した後、同大学大学院芸術文化専攻を修了した冨田さんは、アカデミー生としてPMF2006、2007に参加しました。
冨田「関西在住でしたが、PMFのことは『聞いたことがある』という程度に知っていました。知人がアカデミー生として参加していたこともあり、夏に涼しい北海道で過ごせて、さらに素晴らしい指揮者や教授陣のもとで勉強ができるということが新鮮で、とても魅力に感じましたね」
実際にアカデミー生として過ごした日々のことを、教えてもらいました。
冨田「PMFには世界中から演奏家たちが集まってきて、いろいろな人と交流できます。そしてみんながひとつのことに打ち込んで、明るい未来を見ている……今までにはなかったことなので、本当に貴重で楽しい経験でしたね。大阪公演の時に、ドイツ人としゃべっている私を見た親が『娘も国際的になったなぁ』と驚いていました。でも実はその人、日本語がペラペラだったんですけどね(笑)」
そしてアカデミー生を終えた翌2008年、冨田さんは札幌交響楽団のヴァイオリン奏者となります。
冨田「PMFで初めて札響に出会い、こんなにきれいな音を出す交響楽団があるんだとビックリしたことを覚えています。コンサートホールのKitaraにも感動しました。するとタイミング良く次の年にオーディションがあり、合格することができたんです」
現在は、札響の一員として忙しい毎日を送っているそう。
▼指揮者真正面の前から2列目で演奏する冨田さん(写真:札幌交響楽団)
冨田「年間120回ものコンサートを行っています。自由な時間はあまりないですが、毎月のお休みは決まっているなど、普通の会社と同じところもあるんですよ。もともと、好きなオーケストラに入ることはずっと自分にとって憧れだったので、良いタイミングで札響に入ることができて本当に良かったと思っています」
PMF2019に向けて……
「勉強だけでは得られない経験がPMFにはあります」
そんな冨田さんが、今年、久しぶりにPMFプレミアム・オーケストラとして参加することになりました。
冨田「すごく楽しみにしています。クリストフ・エッシェンバッハのような世界的な指揮者の下で演奏する機会はなかなかないので……。演目は、マーラーの交響曲第8番。ぜひたくさんの人に聴きに来てもらいたいです」
ちなみに札幌の聴衆についてどう感じているのかも、尋ねてみました。
冨田「札幌の音楽ファンは、とても温かいと感じます。PMFが根づいているというのも大きな理由なんでしょうね。街全体で応援してくれているのを肌で感じるので、音楽家としてはとてもありがたいことだなぁ、と」
最後に、今年のPMFアカデミー生たちへ、先輩としてメッセージをいただきました。
冨田「楽しんで、たくさん学んで、いろんな人としゃべって、いい経験をしてくださいと言いたいです。私も久しぶりにPMFに参加することで、いろんなところからたっぷりと刺激を受けたいと思っています!」