つららの魅力伝える世界初?のイベント「さっぽろ垂氷まつり」初開催

札幌国際芸術祭SIAFラボは2016年2月2日~14日、雪国になじみ深いつららをテーマにしたプロジェクト「ツララボ(Bent Icicle Project-Tulala)」の成果発表の場として「さっぽろ垂氷(たるひ)まつり」を初めて開催しています。つららの魅力を伝えるイベントは世界でも例はなく、つららや札幌の街を知るきっかけになればと来場を呼び掛けています。

多様な人が継続的につららを調査研究

北国に住む誰もが、登下校中に軒先で見つけた大きなつららを折って持ち帰ったり、水分補給として舐めたり、チャンバラをしたりと、つららにまつわる幼少期の記憶が何かしら残っているもの。つららのある風景は人工的な家屋と北国の自然環境が作り出す特殊な造形ですが、現代では建物の断熱技術が進み、つららができない家が増え、原風景が少しずつ消えていってるのが現状です。また、雪とは違いつららを専門に調査研究する研究者は世界的に見ても皆無で、まだまだ知らないことの多い分野です。

「ツララボ」はそんな北海道の冬になじみ深いつららをテーマに2015年10月に活動開始。アーティスト、エンジニア、研究者、有志市民と共に継続的に調査研究を行いながら、イベント、トーク、ワークショップなどを進めてきました。小学生以上の約30名がチームに登録しており、毎週土曜日夕方に集まって調査研究、意見交換を行っています。

▼力作のオリジナルつらら造形マシン

プロジェクト開始以来、アイスの冷凍庫を改造したオリジナルの「つらら造形マシン」を作成して「人工つらら」を育てる研究が行われてきました。このマシンでは、コンピュータ制御でつららの角度を変えたり送風したりして、自由自在につららを作ることが可能。ジグザグのつららや螺旋状のつららを作ることも不可能ではないといいます。

つらら造形マシン、ツララバトル、3Dアクセサリー作りまでつらら尽くしのイベント

「さっぽろ垂氷まつり」は、「ツララボ」のこれまでの研究の成果発表の場として、札幌市資料館で開催されます。前述の人工つらら造成マシンが置かれ、つらら形成の過程を間近で見ることができます。前庭特設会場には回転式巨大つらら造形マシンが設置され、支柱を回転させることで四方につららができた様子を目にすることができます。

▼前庭特設会場に置かれている回転式巨大つらら造形マシン

つららを3Dスキャンしアクセサリーを作るワークショップは2月13・14日に1日3回開催されます。実物のつららを3Dスキャンし、そのままの形を3Dプリンタで小さく出力したパーツを使ってオリジナルアクセサリを作ります。また、それに先駆け、2月11日13:00~、日本で初めてのつららスキャンワークショップが開催されます。

▼3Dスキャン、オリジナルアクセサリー

目玉の一つでもある、世界初の「ツララ・バトル・サッポロ~ツララハッカソン2016~」は2月6・7日の二日間にわたり開催。札幌市資料館前庭を会場に、与えられた支給品を使って制限時間内でつららを作り、その出来を競う大会です。完成したつららの長さに加え、努力協力、自然な生成、造形、創意工夫の観点から審査され、合計得点で初代キングを決めます。

札幌市資料館SIAFラウンジでは他に、ツララボ活動報告展、世界初のつらら新聞の無料配布、SIAFプロジェクトルームでは2月13日、人工雪の生成に世界で初めて成功した科学者・中谷宇吉郎の足跡と人となりを振り返るトークプログラムが行われます。


イベント会場へは入場無料。札幌市資料館は大通公園の西端に位置しており、さっぽろ雪まつり大通会場の見学と合わせて行くのがお勧めです。コーディネーターの冨田哲司さんは、「つららの文化を楽しむことで、再発見のきっかけになれば」と広く来場を呼び掛けています。
※回転式巨大つらら造成マシンの写真:主催者提供

さっぽろ垂氷まつり
会場:札幌市資料館(札幌市中央区大通西13丁目)
期間:2016年2月2日(火)~2月14日(日)10:00~18:00
主催:創造都市さっぽろ・国際芸術祭実行委員会