室蘭の焼き鳥と美唄の焼き鳥は何が違うのか

 焼き鳥で全国的に有名な街が道内にあります。室蘭市と美唄市は焼き鳥店舗数が多く、全国的に珍しい”焼き鳥”を食べることができる地であります。今回は道内の「やきとり」にズームイン。

焼き鳥のまち室蘭市

 国内には焼き鳥の有名どころがありますが、その主な焼き鳥名産地は、「全国やきとり連絡協議会」に参加しています。この団体は2005年11月22日に第1回「全国やきとりの街サミット」を開催し翌年1月1日に発足しました。その「5大やきとりの街」の中に道内から室蘭市「やきとりの一平」が含まれていました。

 道内では焼き鳥といえば室蘭です。人口に対する焼き鳥店舗数の割合では道内一を誇ります。道内2番手は美唄市です。両市はいまや「全や連」の「全国7大やきとりの街」の一部です。2007年9月29日~30日に開催された「やきとリンピック」では室蘭焼き鳥「一平」が見事1位に輝きました。
国内有数の焼き鳥を誇ります。

室蘭と美唄の焼き鳥

 普通、焼き鳥といえば、串に刺さった鶏肉などを焼いたもの。鶏肉「など」と書いたのは、ネギマのような野菜を間に挟めるものはもちろんですが、肉の種類も地域によって多種多様だから。さらに言うと味付けも異なります。

 さて、室蘭市と美唄市で多く見られる焼き鳥のタイプとは?ここでその大きな特徴について列挙してみましょう。

<室蘭の焼き鳥の一般的な特徴>
1.鶏肉ではなく「豚肉」
2.ネギマのねぎは長ネギではなく「タマネギ」
3.味付けは「洋がらし」をつけて食べる。

<美唄の焼き鳥の一般的な特徴>
1.鶏肉は鶏肉だが「モツ串」、つまり皮、キモなども1本で刺す。
2.ネギマのねぎは長ネギではなく「タマネギ」
3.味付けは「塩コショウ」

 室蘭市の焼き鳥で使われる肉はいわゆる「豚串」ともいえますが、名称は「焼き鳥」。ではどう区別するのかというと、鶏肉を「鳥精」豚肉を「豚精」としています。昭和年間に豚の皮で軍の靴を作るために養豚をすすめ、手に入りやすかったのがはじまりといわれています。

 ちなみに、焼き鳥で豚肉を使うのは室蘭に限ったことではなく、たとえば同じく道南の函館でも見られます。道南のコンビニエンスストア「ハセガワストア」ではGLAYのメンバーがよく食べたという「やきとり弁当」が調理販売されていますが、実際は豚串です(詳細は後述)。このように道南地域では焼き鳥=豚肉のほうが主流となっています。

 一方、美唄市の焼き鳥は鶏肉ですが、肉や皮のほかにレバー、ハツ、キモなどの内臓肉を一本の串に刺しているのが特徴です。三船福太郎氏が美唄焼き鳥の祖といわれており、この名前を冠した「三船」は美唄や南空知を代表する焼鳥店のひとつ。

 室蘭と美唄で共通するのがネギマの部分。両方ともタマネギが主流ですが、これは道内が日本最大のタマネギ産地であることに由来するものです。特に美唄をはじめとする空知地方は有数のタマネギ産地です。

 味付けでは、美唄の塩コショウは内臓肉の臭みを除くのに最適だといいます。室蘭の洋がらしは必ずといっていいほどついてきて、各自好みの量をつけるわけですが、これはお客さんの声が反映された結果だとか。気になる値段は、室蘭焼き鳥豚精肉は100円程度、美唄焼き鳥は80円程度。

 有名店舗は、室蘭焼き鳥は一平、味鳥、鳥よし。美唄焼き鳥は三船、たつみ、福よしなど。

ハセガワストアの「やきとり弁当」

 函館市で店舗を展開するコンビニエンスストア「ハセガワストア」(通称ハセスト)の名物はいわずと知れた「やきとり弁当」です。やきとりとはいうものの肉の正体は豚肉なわけですが、店内で注文後その場で調理されます。味付けは醤油・塩・味噌から選びます。

 2005年現在のメニューによると「やきとり弁当(大)」が税込み609円、「やきとり弁当(中)」が税込み504円、「やきとり弁当(小)」が税込み399円、「やきとり弁当(DX)」税込み714円。ほかに鳥串やつくね串などを入れた「やきとり弁当バラエティ」があり税込み504円。函館に行った際はぜひお試しあれ。