ロープウェイに乗って山頂へ!洞爺湖を望む「有珠山」の楽しみ方

広い北海道の大地には、たくさんの活火山があります。そのうち、特に活動が高いとされるランクAの活火山となると、十勝岳をはじめとした4つの山に絞られます。今回は、そうしたランクAの道内活火山のひとつ、有珠山についてご紹介しましょう。物語は、なんと約2万年前にまでさかのぼります。(トップ写真は、有珠山から見下ろす洞爺湖と昭和新山)

大規模な噴火を繰り返してきた有珠山の歴史

今から約2万年前、洞爺湖の南で火山活動がはじまり、円錐形の成層火山が形成されました。そう、これこそが、有珠山の誕生です。ちなみに洞爺湖が誕生したのは、有珠山誕生よりはるか昔のこと。今から約11万年前だというから、気の遠くなる話です。

▼今なお噴煙の立ち上がる有珠山

また、今から8,000~7,000年前の火山活動によって山体崩壊を起こした後、有珠山は江戸時代まで約7,000年の長い眠りにつきます。

▼現在の有珠山の美しい山肌

徳川4代将軍家綱の時代、有珠山は突如として目覚めます。1663年、死者も出るほどの山頂噴火を起こしたことが、資料に残されているのです。それから19世紀に至るまで、幾度かの噴火を繰り返していきます。

さらに時は進んで20世紀に入り、1943年12月のこと。有珠山周辺で前兆地震がはじまり、翌年1月には畑や鉄道のある地盤が隆起しはじめます。わずか数ヵ月で、元の地面から50メートルも隆起し、やがて尾根山を形成し、三角形の溶岩ドームが姿を現していきます。隆起は1945年9月までに海抜407メートルにまで達し、昭和新山が誕生しました。

▼畑が隆起し、わずか2年足らずでできた昭和新山

1977年、有珠山はまたしても大規模な山頂噴火を起こします。この時の噴煙は、12,000メートル上空にまで達したと言われています。周辺には大量の火山灰や軽石が降り積もり、それらは降雨に伴い泥流となって、多くの家屋と3名の人命を奪っていきました。

▼まるで巨大生物のような噴煙(写真提供:有珠山ロープウェイ)

2000年3月にも、有珠山は山麓から噴火を起こしています。この時には3日前の地震から噴火が予知されていたこともあり、周辺住民は事前に避難。多くの町民やマスコミ関係者が見守る中、噴火がはじまりました。

ロープウェイで現在の有珠山を散策

さて、現在の有珠山はどうなっているのでしょうか。先に述べたように、今なおランクAの活火山でありながら、有珠山は観光スポットとしても人気を集めています。

▼火山村から、いざ有珠山ロープウェイへ

有珠山へ登るには、麓の「昭和新山火山村」からロープウェイに乗ります。

▼写真左に小さく写る黄色いロープウェイ、見えますか?

ロープウェイを降りると、遊歩道に沿って有珠山山頂を目指します。遊歩道とはいえ、意外と急な登り道です。杖を無料で貸し出してくれるので便利です。

▼写真奥の山頂まで続く遊歩道

山頂から、さらに登山道へと続く道があります。階段を降りていくと、有珠山の火口が見えるポイントも。

▼大きな火口と、そこから立ち上がる噴煙

ただし、整備された道は途中までしかありません。そこから先は登山道となるので、それなりの服装と装備がないと危険です。

▼ロープウェイで再び山麓へ

山頂の景色を楽しんだ後は、再びロープウェイに乗って「昭和新山火山村」へ戻ります。火山村には土産物店やレストランの他、情報館などもあり、有珠山についてさらに詳しく知ることも可能です。

▼噴火体験のできるミニコーナーも

観光スポットとして、今や日本国内のみならず海外からも多くの観光客が押し寄せている有珠山。しかし、よく見れば火口があったり噴煙が上がっていたりと、確かにここが活火山だということを実感します。大地が生きて、呼吸しているという不思議。有珠山に登って、そんなスケールの大きな息吹を肌で感じてみてはいかがでしょう。

▼雪の季節にはこんな風景に(写真提供:有珠山ロープウェイ)

取材協力
有珠山ロープウェイ
所在地:北海道有珠郡壮瞥町字昭和新山184-5
問い合わせ先:0142-75-2401
営業時間:8時~18時(季節により変動あり)
公式サイト
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