北海道随一の歓楽街である「すすきの」(札幌市中央区)の中心部である「すすきの交差点」。名物といえば、「キング・オブ・ブレンダーズ」いわゆる「ヒゲのおじさん」の大型電飾(ネオン)看板で、観光名所の一つ、すすきのを象徴する景観にもなっています。半世紀に渡り一等地「すすきの交差点」を見守り続けてきたネオン看板をご紹介します。
南4西3すすきのビルの角に掲げられる「ヒゲのおじさん」
すすきの交差点は、国道36号の札幌駅前通と南4条通(=月寒通)の交点にある交差点の名称。観光地の一つとして重要であることから、それまで南4西3、南4西4の交差点名標識を「すすきの」に統一したことで知られます。札幌市電すすきの電停、さっぽろ市営地下鉄南北線すすきの駅がある、まさにすすきのの中心です。
南4条西4丁目側には、市電すすきの電停を挟んで南側にススキノラフィラ、北側にマクドナルドが入る恵愛ビル、南4条西3丁目側の北側にはCoCo壱番屋が入るビル、南側にすすきのビルが建っています。
この「すすきのビル」の北西側隅切に掲げられているのが、アサヒグループ(アサヒビール、ニッカウヰスキー)が専有するネオン看板です。2~3階部分にかけて、北海道限定「BLACKハイボール香る夜」と「NIKKA」の赤文字、4~6階部分にかけて、名物「キング・オブ・ブレンダーズ」(ヒゲのおじさん)の看板が設置されています。
1969年に設置された「ヒゲのおじさん」
すすきのビルの「キング・オブ・ブレンダーズ」(ヒゲのおじさん)看板は、1969年に設置されました。
ヒゲのおじさんは、後志管内余市町で生まれたニッカウヰスキーの広告塔で、ブラックニッカのラベルに描かれていることでお馴染みですよね。右手にグラスを持ち、左手に大麦の穂を持っています。
誕生したのは1959年。ニッカウヰスキーの創業者、竹鶴政孝(たけつるまさたか)をモデルにした説、トランプのキングをモチーフにした説もありましたが、公式には19世紀のイギリスでウイスキーブレンドの名人だったW・P・ローリー卿がモデルであると説明しています。1965年に「キング・オブ・ブレンダーズ」をボトルにデザインした「ブラックニッカ」を発売しましたが、その4年後に看板が登場したというわけです。
看板は札幌冬季オリンピックを控えた1969年、すすきのビル建設に合わせて設置されました。一等地ゆえに譲ってほしいという声があったようですが、設置時からずっと「キング・オブ・ブレンダーズ」は変わらず。その理由は、すすきのビル社長が「ススキノの雰囲気を守るためにキング・オブ・ブレンダーズは絶対に変えない」と存続を確証してくれたからだといいます。
▼2006年のヒゲのおじさん
半世紀経過したすすきの交差点「キング・オブ・ブレンダーズ」看板ですが、実は1986年、2002年、2013年に改装しており、現在のデザインは2013年に変更された4代目デザインといいます。そして半世紀を迎えた2019年10月15日~11月1日にかけて、蛍光灯照明器具からLED照明器具に変更するための工事が行われ、CO2排出量、消費電力量は約65%削減、環境に優しい仕様になりました(アサヒビール担当者談)。
【映像】2019年11月にLED照明に変更されたヒゲのおじさん
大手ビール会社が大型電飾看板
すすきの交差点では、アサヒグループ(アサヒビール、ニッカウヰスキー)の「キング・オブ・ブレンダーズ」看板だけでなく、大手ビール会社4社が大型電飾看板を設置しています。
アサヒビールは、すすきのビルで「キング・オブ・ブレンダーズ」「NIKKA」「BLACKハイボール香る夜」のほか、北側の角地に「SUPER DRY」の大型看板を掲げています。サッポロビールは第3グリーンビル屋上に「北海道はサッポロビール」の大型看板、キリンビールはすすきのビル屋上に「一番搾り」「北海道を『笑顔=ヨロコビ』で満たしたい、キリンビールです」の大型看板、サントリーはススキノラフィラ角地に「ザ・プレミアム・モルツ」の大型看板を掲示しています。
すすきの交差点はビール会社の大型電飾看板が目白押し。すすきののシンボル「キング・オブ・ブレンダーズ」はもちろん、さまざまな電飾看板に目を向けてみると意外な発見があるかもしれません。
取材協力:アサヒビール
参考文献:ニッカウヰスキー公式サイト/北海道新聞2004年2月25日朝刊地方25p