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初の冬開催に。雪と寒さ活かし札幌らしさ目指す「札幌国際芸術祭2020」

  

2014年、2017年に続く3回目の開催となる「札幌国際芸術祭2020」。2018年からコンセプトの構想作りが始まりましたが、その開催概要が明らかになってきました。札幌国際芸術祭実行委員会は2020年2月7日(金)、札幌国際芸術祭2020の第一弾参加アーティストおよびコミュニケーションマークを発表しました。

初の冬開催!さっぽろ雪まつりとの連携も視野に

「創造都市さっぽろ」の象徴的な事業として3年に一度開催される「札幌国際芸術祭(SIAF)」。過去二回は夏開催でしたが、今回の会期は2020年12月19日(土)から2021年2月14日(日)までの58日間と設定されました。冬開催は初で、年をまたぐのも初めてです。さっぽろ雪まつり期間中とも重なるため、会場では参加型展示を検討しています。

テーマは「Of Roots and Clouds:ここで生きようとする」。大地に張る根(Roots)と大地に浮かぶ雲(Clouds)は、札幌の自然や歴史をイメージさせ、移り変わる社会や環境を示しています。

▼日本の伝統色「空色」を基調にしたコミュニケーションマーク
初の冬開催に。雪と寒さ活かし札幌らしさ目指す「札幌国際芸術祭2020」

今回、ロゴマークとは呼ばず、コミュニケーションマークとして掲げられるマークは、札幌を拠点に活動するデザインコンビ「ワビサビ」がデザインを担当。澄み切った札幌の大空を表す空色を基調に、根と雲をイメージしたデザインになっています。このマークには「Siaf」の4文字が隠れているといいます。

▼会場の一つとなる北海道立近代美術館
初の冬開催に。雪と寒さ活かし札幌らしさ目指す「札幌国際芸術祭2020」

会場は、恒例となったモエレ沼公園、札幌芸術の森、札幌市資料館、札幌大通地下ギャラリー500m美術館のほか、北海道立近代美術館、mima北海道立三岸好太郎美術館、そして札幌中心部の会場として2018年に誕生した札幌市民交流プラザが新たに加わりました。

3人のディレクターチームが協働し3つの領域を担当

このテーマをもとに、現代アート、メディアアート、コミュニケーションデザインの3つの領域を3名のディレクターチームがそれぞれ担当。地域の学芸員と協働して、札幌ならではの芸術祭を作り上げていく予定です。

統括ディレクター兼企画ディレクター(現代アート担当)の天野太郎氏は、横浜市民ギャラリーあざみ野主席学芸員で、北海道立近代美術館で勤務した経験を持ちます。企画ディレクター(メディアアート担当)には、ポーランド在住のメディアアート専門キュレーター、アグニエシュカ・クビツカ=ジェドシェツカ氏。そしてコミュニケーションデザインディレクターとして、アート専門通訳・翻訳者チーム主宰の田村かのこ氏が就任しました。

▼現代アート担当の企画ディレクター 天野太郎氏
初の冬開催に。雪と寒さ活かし札幌らしさ目指す「札幌国際芸術祭2020」

▼メディアアート担当の企画ディレクター アグニエシュカ・クビツカ=ジェドシェツカ氏
初の冬開催に。雪と寒さ活かし札幌らしさ目指す「札幌国際芸術祭2020」

▼コミュニケーションデザインディレクター 田村かのこ氏
初の冬開催に。雪と寒さ活かし札幌らしさ目指す「札幌国際芸術祭2020」

▼記念撮影に収まる左から順に、アグニエシュカ・クビツカ=ジェドシェツカ氏、天野太郎氏、実行委員会会長秋元克広札幌市長、田村かのこ氏
初の冬開催に。雪と寒さ活かし札幌らしさ目指す「札幌国際芸術祭2020」

SIAF2020の3つの注目ポイント

今回のSIAF2020はどんな特徴があるのでしょうか。3つのポイントを田村かのこ氏は示しました。

ポイント1 メディアアーツ都市のメディアアート

札幌市は、2013年11月にメディアアーツ都市としてユネスコ創造都市ネットワークに加盟しています。実は世界で2番目、アジアでは初めてメディアアート分野での加盟となっています。

過去にもメディアアート作品は展示されてきましたが、SIAF2020では特に力を入れており、展示作品の半数がメディアアート作品で占める予定です。中でも、特に注目したいレジェンド的作品が2作品展示されます。

▼アジア初展示となる注目の動く彫刻「Re:Sensterプロジェクト」(エドワード・イナトビッチ「Senster」Photo by Natalia Kabanow Courtesy of WRO 2019/WRO Art Center)
初の冬開催に。雪と寒さ活かし札幌らしさ目指す「札幌国際芸術祭2020」

その一つは、札幌市民交流プラザに展示予定の動く彫刻「Re:Sensterプロジェクト」(ポーランド)です。1968年、ポーランド出身の彫刻家エドワード・イナトビッチの作品で、40年以上その所在が不明でしたが、2014年に衛星画像でオランダに放置されていることが発見されました。非常に繊細なため現在は厳重に管理・保管されており、SIAF2020ではアジアで初めて展示となります。

▼バージョンアップしていく三上晴子「欲望のコード」(2010、山口情報芸術センター[YCAM](山口))
初の冬開催に。雪と寒さ活かし札幌らしさ目指す「札幌国際芸術祭2020」

モエレ沼公園で展示予定の三上晴子の「欲望のコード」も注目作品。技術革新が追いついた際にバージョンアップしていくことを想定した作品ですが、作者は2015年に亡くなっており、現在は彼女の意思を継ぐチームがバージョンアップに成功、最新バージョンは世界初公開となります。

ポイント2 コレクションとSIAFの融合

▼北海道立近代美術館所蔵 神田日勝「室内風景」
初の冬開催に。雪と寒さ活かし札幌らしさ目指す「札幌国際芸術祭2020」

北海道立近代美術館所蔵作品とSIAFの融合が見られることになります。北海道内の作家や関連作家の作品を展示していますが、2019年の連続ドラマ『なつぞら』で注目を集めた神田日勝の作品「室内風景」が展示されます。後藤拓朗、大槌秀樹の作品とのコラボレーションが楽しめる予定。

また、mima北海道立三岸好太郎美術館では、三岸好太郎が31歳でなくなったことから、「31歳」をキーワードに、北海道ゆかりのアーティストなどが31歳のときに制作した作品を展示する予定です。

ポイント3 札幌ならではの芸術祭

寒冷地でないとできない屋外作品の展示に注目です。パーマネント作品(半永久的に残す作品)ではなく、雪や氷を使った消えていくかもしれない作品は、北海道・札幌でしかできないこと。その一環として、さっぽろ雪まつりを会場にした作品展示も予定しています。

▼雪倉庫を活用した展示(ジュリアン・シャリエール「Towards No Earthly Pole」2019映像からのスチル (C)the artist; VG Bild-Kunst, Bonn, Germany)
初の冬開催に。雪と寒さ活かし札幌らしさ目指す「札幌国際芸術祭2020」

ここでしかない特別な場所にもスポットライトを当て、展示会場とします。例えば、モエレ沼公園ガラスのピラミッドには、夏の冷房に活用するため雪を保存しておく雪倉庫(面積約600平方メートル)があります。ドイツを拠点に活動するジュリアン・シャリエールがここを会場として、氷河地帯を舞台に環境について物語る映像作品を展示します。

【映像】記者発表の模様をお伝えします

国際芸術祭の名にふさわしく国際色豊かなチームメンバーでつくりあげていく「札幌国際芸術祭2020」。初の冬開催に期待が高まります。

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