虹が見られるかも? 東川町の地下水を利用した自噴型「七色の噴水」

東川町の湧水スポット「大雪旭岳源水」から1㎞以上下流で、忠別湖(忠別ダム)の上流部(東端)に、親水広場として「散策広場」があります。案内看板では通常「七色の噴水」と記されており、とても気になる場所です。なんでも虹がみられる噴水で、しかも動力を使っていない噴水なのだとか。どういうことなのでしょうか。

七色の噴水

虹がかかる時間帯は?

この場所は2019年4月25日、町制施行60周年記念事業の新名所「忠別ダム 自噴型 七色の噴水」としてオープンしました。フクロウ池の中に噴水が設けられており、周囲の散歩道や近くまで行けるデッキが整備されました。まだまだ知られていない穴場です。

フクロウの池と七色の噴水
フクロウ池の中にある噴水
虹がみられるとラッキー(写真は逆光のため本来は虹が現れない)

「七色の噴水」と呼ぶ理由は、噴水に虹がかかる時間帯があるため。天気の良い日に行くと、噴き上がった水が小さな飛沫となり、太陽に照らされて虹を見ることができます。天候や位置、時間など条件がそろうと虹(時に二重の虹)が噴水に現れますが、主に太陽を背にして噴水を順光で見ると観察しやすいようです。

現地には、虹を観察できる時期や時間の目安が掲載されています。冬季は、凍結の恐れがあって閉栓する関係で見ることができませんが、5月~10月末の早朝から午前中に虹が出ます。5月から8月は概ね5時~9時、9月から10月にかけては7時から11時半くらいまでと変わっていきます。

このため、訪れるなら晴れた日の午前が最適かもしれませんが、もし見られないときは、フクロウ池を一周できる散策路やデッキを歩いて別の角度から確認してみるのもよいかもしれません。

動力を使わないで噴き上げる噴水の仕組み

高さ15メートルほどになる自噴型

「七色の噴水」が興味深いのは、虹だけではありません。実はこの噴水。動力を使っていないのです。それなのに最高14.8メートルもの高さに噴き上げているのです。どうやって噴出させているのでしょうか。

実は、東川町の湧水スポット「大雪旭岳源水」から「七色の噴水」のあるフクロウ池まで、1.4㎞のビニールパイプを通して湧水を導引しています。

両地点の高低差31.55メートル(大雪旭岳源水(源泉)の標高446.5メートル、フクロウ池水面高414.95メートル)を利用し、高いところから流れてきた水は、その勢いのままに噴水のノズル(口径わずか19㎜)から噴きあがります。ノズル口の流速は毎秒17.1メートル、噴出流量は毎分290リットルになります。

デッキと散策路が整備されているので様々な角度から楽しめる

パイプの太さが途中で狭まることも、噴水の仕組みの一つです。ビニールパイプのうち上流部の310メートルは直径15㎝で、毎分1,200リットルの流量となります。一方、下流側の1,090メートルは直径10㎝で、流量は毎分546リットルとなります。

こうした仕組みにより、動力なしで自然と水が噴出するというわけです。これを「導水式自噴型噴水」と呼びます。

散策広場入口にも小さな噴水が

なお、散策広場入口の手洗いや池の水も、大雪源水を引いています。「自然」に湧出する「大雪旭岳源水」、「自然」の力で自噴する「七色の噴水」、太陽光線で「自然」と虹がかかる――この3つの「自然」が体験できる施設となっています。

忠別湖の他の親水広場

忠別湖周辺の位置関係図

東川町・東神楽町・美瑛町にまたがる忠別湖および忠別ダムには、展望広場がいくつか設けられています。この機会に、周辺の見どころもご紹介しましょう。

親水広場

「七色の噴水」の西側に少し行ったところに大きな駐車場を有する「親水広場」があります。湖面近くまで降りていくことができます。釣りをする人も見かけます。

道道1116号線チョボチナイゲート

秋の1ヵ月間しか開通しない幻の道道は、親水広場の近くにゲートがあります。詳しくは記事をご覧ください。

忠別ダム管理所

忠別ダムの北側にあるのが「忠別ダム管理所」。駐車場があり、ダム湖を学ぶことができるほか、美しい景観を見ることができます。近くの「眺望橋」からは美しいダム湖を一望できますが、カーブで交通量もありますので、ご注意ください。

忠別ダム堤頂広場

忠別ダムの南側にあるのが「忠別ダム堤頂広場」。美瑛町と東神楽町の境界付近に位置します。エオルシトンネルの出口付近からわき道に入ります。広い駐車場には展望台があり、巨大なダムを間近に観察できます。また、ダム堤体の上を歩くこともできます。