秋になると真っ赤な絨毯があたり一面に広がる場所が、オホーツク海沿岸に点在しているのをご存知ですか? その正体は「サンゴ草」または「アッケシソウ」と呼ばれるものの群生。例年見頃は毎年9月下旬まで。
そんなサンゴ草、紋別市~網走市までの範囲では、サロマ湖畔、能取湖畔を中心に各所に群生地が点在しています。今回はオホーツク海沿岸の代表的なサンゴ草群生地から、知る人ぞ知るサンゴ草のスポットまでを一挙ご紹介いたします。
そもそもサンゴ草とは?
その名は「サンゴソウ」。学名で言うと「アッケシソウ」ですが、このアッケシソウの名前の由来は、道東にあります厚岸町のカキ島で発見されたことから。本場の厚岸町厚岸湖畔では現在ほとんど見ることができなくなってしまいました。かつてはオホーツク海沿岸などでは普通に見られたようですが、今ではめっきり少なくなりました。また、北海道から種子が運ばれたという説がある瀬戸内海沿岸のものも地域によっては絶滅してきています。
サンゴ草はアカザ科アッケシソウ属の植物で、もとは塩湿地に生育する植物です。茎の高さは15センチから30センチほど、花も良く見てみるとあって、3個ずつついています。葉も目立たないので茎だけという印象を与えます。普段は緑の節があって枝分かれしている茎ですが、8月中旬から赤くサンゴ色に変色し始め、ピークとなる見ごろは9月、10月上旬までです。ちなみに1年草です。
サンゴ草は希少種また、絶滅危惧種に指定されています。大変稀少なので取り扱いには注意です。
▼サンゴ草をアップするとこのように見える
1.規模は日本一!網走市「能取湖畔卯原内」の群生地
サンゴ草の規模でいうと日本最大級を誇る大規模群生地がここ、網走市能取湖畔、卯原内地区のサンゴ草群生地です。本来の規模は面積約3.8万平方m。「日本一のサンゴ草群生地」の看板が立てられ、訪れる観光客も数多い場所です。
かつては能取湖畔ほぼ全域で見られたというサンゴ草ですが、現在は卯原内群生地くらいでしか見られません。その卯原内群生地も減少傾向であったことから卯原内観光協会が対策を検討。1980年ころから栽培実験を行い、人工湿地で人の手を加えて群生地づくりを拡大してきた場所です。
2010年の園地整備の失敗でほぼ壊滅状態になった卯原内サンゴ草群生地。しかしその後懸命な努力を行った結果、2014年に6割再生、2015年8月31日に復活宣言をするまでに見事再生しました。
園内には散策木道が整備されており、両側真っ赤な絨毯の中、湖のほうに向かって歩いていくことができます。『サンゴ草咲く日に』の歌碑が建てられ、その歌も流れています。
2.知床連山も見える!北見市常呂・サロマ湖畔「ワッカ原生花園」
サロマ湖にはサンゴ草の群生地が点在しています。その中で最も東側に位置しているのが、北見市常呂の北海道遺産「ワッカ原生花園」、サロマ湖ワッカネイチャーセンター裏手300mほど先に広がる群生地です。職員の手によって拡大を続け、3000平方mほどに拡大。2014年9月5日に木道が完成し、快適にサンゴ草群落を見ることができるようになりました。
他の群生地が海から離れた湖畔にあるのに対し、ここはサロマ湖畔でありながらオホーツク海岸に近い場所でもあるため、晴れていれば東側の海の向こうに知床連山が見えることも。海と湖に挟まれた場所で、真っ赤なサンゴ草をお楽しみください。
3.ここも圧巻!佐呂間町・サロマ湖畔「キムアネップ岬」の群生地
前述の卯原内群生地に次ぐ規模とされるのがここ、サロマ湖南東「キムアネップ岬」のサンゴ草群生地です。佐呂間町浜佐呂間から道道858号線でキムアネップ岬へ進むと、サロマ湖に突き出すキムアネップ岬の根元に湿地帯があります。駐車場からは木道の散策路が続いており、間近で真っ赤な絨毯を楽しむことができます。
4.湧別町・サロマ湖畔「計呂地交通公園」裏の群生地
湧別町、サロマ湖南西の湖畔にもサンゴ草群生地があります。それが計呂地交通公園から遊歩道を300mほど進んだ先にある群落。規模はそれほど大きくはないものの、湖畔の湿地地帯に広がる赤いサンゴ草を楽しむことができます。
5.湧別町・サロマ湖畔「サンゴ岬(鶴沼原生花園)」の群生地
同じく湧別町、サロマ湖の西端にあるサンゴ草群落がこちら、サンゴ岬、鶴沼原生花園のサンゴ草群生地です。岬の名前がサンゴとついていることからもわかるように、赤いサンゴ草の群落が湖畔にびっしりと広がります。ここは観光案内でも紹介されることは少ない穴場。北海道指定天然記念物です。
番外編:紋別市「コムケ湖畔」の小規模群生
さらに北上し紋別市のコムケ湖畔でもサンゴ草は確認されています。こちらは前述のサンゴ草群生地とは異なり、観光目的に整備されていないため近づくことはできず、さらに点在しているため規模も大きくない群落になります。
見どころとしては、国道238号線からコムケ国際キャンプ場に通じる湖畔道路沿い、そこからオホーツク海とつながる湖口までのルート上の湖畔、さらに北西に海岸の砂浜を進んでいくといくらか群落が確認できます。サンゴ草目当てで訪れる人はまずいない穴場的なスポットです。
以上、主なサンゴ草スポットを紹介してきましたが、ご承知の通り、網走市の能取湖畔、北見市常呂・佐呂間町・湧別町までのサロマ湖畔が主なサンゴ草の群生地ということになります。
秋のオホーツクといえば、遠軽町のコスモス畑が有名ですが、意外にもまだまだ知られていないオホーツク海沿岸のサンゴ草群生地。変わりやすい秋の天気で突然の降雨に見舞われることもあるのですが、太陽の光が差せばより鮮やかな赤色で美しくなりますよ。ちょっと足を延ばして赤の絨毯を見に行ってみてはいかがですか?