北海道本島で最も東に位置する街、根室からさらに車で東へ進むこと約30分。根室半島の先端に位置するのが、最東端の地として知られる納沙布岬(のさっぷみさき)です。北方領土に最も近いこの岬に立つと、最果ての地に来たんだと実感します。
納沙布岬には何があるのでしょうか? 納沙布岬を訪れたらチェックしておきたい見どころは? 最東端・納沙布岬の初日の出事情とは? 北洋銀行根室支店が最東端の魅力をたっぷりとお伝えします!
北方領土は目と鼻の先!
納沙布岬は最東端の岬として知られていますが、実は日本最東端ではありません。太平洋に浮かぶ南鳥島が日本最東端なのですが、一般の人は行くことができません。わたしたち一般人が行ける最東端が納沙布岬です。それで、正しくは「本土最東端」という呼び方をします。
▼北方領土を肉眼で見ることができる
納沙布岬を訪れると驚くことの一つに、北方領土が目と鼻の先という事実。二国間の境界線が最も近く目視できる場所なのです。天気が良ければ、珸瑤瑁水道(ごようまいすいどう)を挟んで東側にある島影を肉眼で見ることができます。
▼歯舞群島貝殻島までわずか3.7キロメートルという近さ
中でも、最も近い歯舞群島貝殻島まではわずか3.7キロメートル先という近さ! 島といっても、岩礁の上に貝殻島灯台が建っているだけで、海上から棒のように突き出て傾いた灯台の姿を確認することができます。潮が引いた時だけ岩礁部分が顔を出します。
貝殻島のほかに、約5キロメートル沖合にオドケ島、約6キロメートル沖合に萌茂尻島(もえもしりとう)、約7キロメートル沖合に水晶島がそれぞれあり、岬に建つ望郷の塔から見ることができます。
納沙布岬にはモニュメントだけでなく動物たちもいっぱい
▼四島のかけはし
納沙布岬といえば、アーチ形の巨大シンボルが知られています。これは「四島(しま)のかけはし」と呼ぶもので、北方領土の返還を祈念するために1981年に作られたもの。横35メートル、高さは13メートルもあり、アーチ像の真下では「祈りの火」が燃え続けています。
▼希望の鐘
望郷の岬公園にはこれ以外にも「希望の鐘」など北方領土に関するモニュメントや像がいくつか建てられているほか、北方領土の資料を展示する「望郷の家」、オーロラタワーとの別名を持つ高さ96メートルの展望台「望郷の塔」があります。
▼日本最東端の納沙布岬灯台
納沙布岬灯台も岬には不可欠な存在。「日本の灯台50選」に選定された灯台は、明治時代初期の1872年に完成した北海道最古の灯台です(現在の灯台は1930年に改築)。来年(2017年)で145年を迎える歴史ある灯台です。
豊かな自然がみられるのも納沙布岬の魅力の一つです。根室は野鳥が多く観察されるため、野鳥観察舎という小屋が市内にいくつも設置されていますが、2012年、灯台裏側にも「納沙布岬野鳥観察舎」が建設されました。
観察舎は海岸沿いに設置されているため、海を見ているとラッコ、ゼニガタアザラシ、クジラといった海の動物たちが見られることも。クジラはなかなか見られないものの、ラッコやアザラシは頻繁に出没します。海の向こうだけでなく、海岸にも目を落としてみてくださいね。
北海道で一番最初に初日の出がみられる地
▼納沙布岬灯台と日の出(写真提供:根室観光協会)
本土最東端ですので、元日には初日の出の話題も出ますよね。緯度の関係で国内で最も早く初日の出を拝めるわけではありませんが、北海道内ではいちばん最初に初日の出が見られる場所になります。そこで、根室観光協会では毎年1月1日に「納沙布岬初日詣」を行っています。来年(2017年)で37回目を迎える毎年恒例のイベントです。
▼毎年恒例の納沙布岬初日詣(写真提供:根室観光協会)
どのようなイベントなのでしょうか。来年(2017年)1月1日は6時49分が日の出時刻となっています。そこでまず、6時20分から北方館・望郷の家の正面で郷土芸能「ねむろ太鼓」が披露されます。その後に初日の出参拝という流れになります。
これだけでは終わりません。北方領土資料館では5時~7時までコーヒー、お茶を無料で振舞うほか、花咲ガニのてっぽう汁を200円で販売する予定です。冷えた体を温めながら眺める初日の出はきっと格別ですよ。
▼北方館・望郷の家の正面では「ねむろ太鼓」が披露される(写真提供:根室観光協会)
▼北方領土資料館ではてっぽう汁の販売がある(写真提供:根室観光協会)
北方領土を見ることができ、北海道で最も早い初日の出を拝める最東端の地、納沙布岬。今年のお正月は根室の最果ての地を目指してみるのはいかがですか?
<取材協力>
根室観光協会
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北洋銀行根室支店(ネムロシテン)
所在地:根室市本町3丁目13番地
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