え?これがチーズ?独創的なチーズを作り続けるニセコチーズ工房の挑戦

羊蹄山を望む「ニセコチーズ工房」は、親子でチーズ作りを行っています。独創的なチーズが評判で、雪花【Sekka】や空【Sora】、風音【Kazano】 などニセコの自然を感じさせる名前が付けられ、海外でも高い評価を得ています。白銀の中にたたずむ「ニセコチーズ工房」を訪ねました。

ニセコチーズ工房誕生のいきさつ

▼道道岩内洞爺線(道道66号線)沿いにあるニセコチーズ工房

創設者の近藤孝志さんは大手流通会社に勤めていましたが、諸事情により早期退職を決意。これまでやってみたかったチーズ作りを始め、2005年に「ニセコチーズ工房」をオープンしました。その時の様子を息子の裕志さんは、こう回想します。

「親父がチーズを作りたいと言っていたのは知っていましたが、本当にやるとは思いませんでした。当時実家があった札幌に戻ろうとしたら、『ニセコに引っ越した』と言われ、初めて工房がオープンしたことを知りました」

▼ニセコの自然をイメージしたネーミング

最初は「素人が作ったチーズが本当に売れるのか」と冷ややかに見ていた裕志さんでしたが、脱サラしてチーズ工房を開いた珍しさが、多くのメディアに取り上げられたことや、優れた味が評判となります。孝志さんから「工房を手伝ってほしい」と言われていたものの、決心が付かなかったと言います。

2010年にようやく孝志さんと一緒に工房に立つ決心を固めます。「親父と同じく流通業で働いていましたが、自分が納得しない商品をお客様に勧めたり、月々のノルマが段々負担になってきました。父親のチーズを食べてみると、おいしいですし、一緒にやりたいと言う気持ちに変わりました」。

オンリーワンのチーズを目指して

▼目指しているのはオンリーワン

裕志さんは、会社を辞めてイタリアやフランスに渡って本場のチーズを学びます。目指したのはオンリーワン。常識にとらわれない柔軟な発想で独創的なチーズを次々と開発します。「チーズ作りのヒントは街の中に転がっている」といい、買い物や食事に行った際に、「おもしろいスイーツはないか」、「この料理に合うチーズは何か」など、アンテナを張り巡らしています。また、思わぬ出来事がヒントとなって、新しいチーズが生まれることもあります。

▼レアチーズケーキのような味の雪花【Sekka】1,300円(税別)

▼上品な味わいの雪花【Sekka】柚子1,800円(税別)

「スイーツのようなチーズを作りたい」と、知り合いのシェフに相談していたとき、私の誕生日にドライフルーツをまぶしたチーズを作ってくれました。フランスのチーズかと思って食べていたら、『お前のチーズを使ったんだよ』と言われました。それをきっかけに誕生したのが雪花【Sekka】です。今ではニセコチーズ工房を代表する人気商品です。

▼ブルーチーズの空【Ku】とJAL国際線に採用された椛【Momiji】

現在販売されているチーズは23種類もあります。一番の売れ筋は「ミモレット」で、ワインや日本酒にも合い、すりおろせば調味料のように料理に使えます。札幌では丸井今井のきたキッチンなどで販売されるほか、道外の百貨店などにも置かれるようになるなど全国区の人気を獲得しています。

▼飽きの来ないチーズを作りたい

今後の展望について裕志さんは、「日本人にも美味しいと思ってもらえるような、絶妙な塩加減のチーズを作りたい」と語ります。冬は外国のお客さんが多いため海外にアピールするいい機会です。ニセコから全国、そして海外に。親子が作り出すチーズの味が広がっていくことでしょう。

ニセコチーズ工房
所在地:北海道虻田郡ニセコ町字曽我 263番地
営業時間:10時~17時 (冬季)11時~17時、5月~6月までは毎週火・水曜定休、7月~10月後半までは毎日営業、10月後半~4月までは毎週火・水曜定休日
お問い合わせ:0136-44-2188