水がおいしいから珈琲もおいしい!羊蹄山麓から全国に広がる名水珈琲

蝦夷富士として有名な羊蹄山。その山麓には、ミネラル成分をたっぷり含んだ水が湧きでているスポットがいくつかあります。中でも京極町の「羊蹄のふきだし湧水」は名水百選に選ばれるほど有名な湧水です。

その湧水を使って作られたコーヒーがあることをご存じでしょうか? 水がおいしければ当然コーヒーもおいしいはず。さっそく調べに行ってみました。

▼夏の羊蹄山

どんどん展開が広がっていった名水コーヒー

お邪魔したのは「ふきだし湧水」があるスポットのすぐそばに居を構える北海道ミネラルウォーター株式会社(以下北海道ミネラルウォーター)です。

北海道ミネラルウォーターは、1984(昭和59)年に、京極町の有志が集まり「京極のおいしい水を売ろう」と設立されました。世間に「水を買う」という習慣がなかった頃のことです。そして、1985(昭和60)年に京極町の「羊蹄のふきだし湧水」が環境庁(現・環境省)の名水百選に選定され、一気に人気が出ました。

しかし、問題もありました。夏はいいけど冬は売れないということ。それでは年間を通して安定した経営ができません。

そこで思いついたのがコーヒーでした。自社で挽いた豆を名水で淹れ、ペットボトルに入れて「名水コーヒー」として売り出したのです。それは日本ではじめてペットボトル入りのコーヒーが誕生した瞬間でした。

▼ネルを使って抽出する名水コーヒー

北海道ミネラルウォーターが次に取り組んだのはチルドカップコーヒーです。ペットボトルに入った名水コーヒーを飲んだ全国チェーンのスーパー(当時のダイエー)の社員からチルドコーヒーにして販売したいという申し出があったからなのだとか。

そして1988年に日本ではじめてのチルドコーヒーが発売されました。その後、コンビニエンスストア大手のローソンが取り扱いをはじめ、全国のローソンでチルドコーヒーが売り出されたのです。

▼現在では、水、名水コーヒーだけでなく「抽出技術」も北海道ミネラルウォーターの顔となっている

チルドコーヒーが全国に出回ると、さらに新たな問い合わせが増えました。コーヒー豆を扱っているところから「うちの豆を使って名水コーヒーを作ってくれないか」という依頼が届きだしたのです。そこで、粉を送ってもらい、こちらで抽出し、ペットボトルに詰めて送り返すという事業をはじめました。

▼それぞれの豆に合わせて抽出し、ペットボトルに詰めている

名水、確かな抽出技術、おいしいコーヒー、噂が噂を呼び、依頼は増えていきました。今では高島屋、富士屋ホテル、三喜屋珈琲、可否茶館など、名だたる約130社のコーヒーを抽出しているというので驚きです。

▼他社のコーヒー豆を名水で抽出した商品

誰もが汲める湧水スポットも

現在、北海道ミネラルウォーターは、自社ブランドの名水コーヒー、他社の豆で抽出しているコーヒー以外にコーヒーゼリーも作っています。年間120万個出荷されていて、こちらも人気商品になっています。

▼できあがったコーヒーゼリーを手作業で梱包

北海道ミネラルウォーターのすぐそばには道の駅「名水の郷きょうごく名水プラザ」があります。そこは、ふきだし公園に併設されており、羊蹄山から吹き出す水が絶え間なく湧き出ています。

▼「名水の郷きょうごく名水プラザ」で北海道ミネラルウォーターの名水コーヒーを買うことができる

北海道ミネラルウォーターの使用している水は、このふきだし公園内から地下にパイプを通して取り込んでいます。この湧水は、誰もが無料で汲むことができます。取材時には、何台もの観光バスが訪れていて、かなり賑わっていました。

▼ふきだし公園で名水を汲むことができる

今後は、さらにコーヒーの旨さを極めていきたいと北海道ミネラルウォーターでは考えています。コーヒー豆の焙煎方法を極め、さらには味の変化をデータ化していこうとしています。

現在、カフェオレに使用できるような濃厚なコーヒーも試作中。おいしいコーヒーのバリエーションが増えるのはコーヒー好きにとってはうれしいことです。新たなコーヒーの誕生を楽しみに待ちたいところです。

▼春先の羊蹄山

北海道ミネラルウォーター株式会社
所在地:北海道虻田郡京極町字川西40-4
電話:0136-41-2233
公式サイト