レンガ造りサイロ3兄弟は国内最大級!根室の歴史語る明治公園

釧路市に始まり根室市に至る国道44号線。その根室側の終端をさらに直進し、市街地北東端に広がるのが明治公園です。この公園は、国内最大級、国内屈指の古さを誇るレンガ造りサイロが建っていることで知られます。一方で、野鳥観察のできる公園でもあります。明治公園の歴史と自然、そしてサイロだけではない公園の見どころに迫ります。

昭和初期に造られた巨大サイロ

明治公園のシンボルといえば巨大サイロ。芝生広場には、3基のレンガ造りサイロが建ち存在感を放っています。実はこのサイロ3兄弟、外観はとても似ていますが、建造年もサイズも微妙に違うのです。それぞれのプロフィールをご紹介しましょう。

第一サイロ
建造年:1936年(昭和11年)
サイズ:直径5.9m、高さ15m

第二サイロ
建造年:1932年(昭和7年)
サイズ:直径4.7m、高さ12m

第三サイロ
建造年:1936年(昭和11年)
サイズ:直径5.9m、高さ14m

これら3基のサイロは、フランス積風に積んだレンガの壁面、当時の時代を反映した鉄板葺ドーム形の屋根(鉄兜形)があり、屋根の頂上からこけし状ファイニアルが付いているという共通点があります。

第二サイロはこの中で最も古いサイロで、サイズからもわかるように第一・第三サイロと比べると小ぶりです。また、第二サイロは屋根の出窓が西側に付いている点や、縦一列に並ぶ南側の開口部(高さ約1m)が第二サイロは3か所、第一・第三サイロは4か所という違いがあります。第一・第三サイロは同年に作られたため形もサイズも特にそっくりです。

これら明治公園のサイロ群のうち第二サイロは、現存するレンガ造りサイロとしては国内で二番目に古い歴史を持っており、第一・第三サイロは赤レンガ積みサイロとしては国内最大級です。その歴史的価値ゆえ、3基とも2001年8月28日に登録有形文化財に指定されました。また、クリスマスシーズンには夜間ライトアップ事業も行われてきました。

北海道で二番目に古い牧場の跡地が公園に

古いのはサイロだけではありません。サイロが建つ明治公園も歴史のある公園です。

明治公園は、1875年(明治8年)に国内2例目の国立牧畜場「開拓使根室牧畜場」として創設されたのが始まりです。北海道内では函館の田園牧場に次いで2番目の牧場だったそうで、クローバー栽培に適した地であることから、馬289頭、豚6頭を飼育してスタートしました。

その後、1882年に農商務省、北海道庁の所轄、1890年に民間に払い下げられると鹿島万平(釧路地方の発展に寄与した実業家)、和田屯田兵村、山県勇三郎(根釧地区に牧場を開設した実業家)、第二十銀行、第一銀行といった個人や企業を経て、1921年以降は北海道練乳会社(後に明治乳業)が所有。1979年8月1日にその一部が会社名にちなみ明治公園として整備されました(1982年12月1日に拡張)。同公園の敷地は明治乳業の所有になったこともあり、地元では明治牧場と呼ばれてきたほか、かつて「明治バター」のラベルに採用されたこともあります。

今では公園内に「開拓使根室牧畜場跡」の標柱が掲げられています。1988年には「北海道街づくり100選」にサイロの公園として、また2006年には「日本の歴史公園百選」(都市公園法施行50周年記念事業実行委員会)に、さらには2007年には「近代化産業遺産」(経済産業省)に選出されました。1979年には根室十景の一つにも数えられ地元でも大切にされています。

野鳥の観察スポットも

明治公園の見どころはサイロだけではありません。自然の見どころもたくさんあります。例えば5月になると芝生広場はタンポポが咲き誇り、一面黄色で埋め尽くされます。噴水広場や遊具、バーベキューコーナーまであり、市民の憩いの場として親しまれてきました。

▼遊具

▼鑑賞池

▼バーベキューコーナー

公園北側には鑑賞池や野鳥観察小屋(ハイド)があり、散策路を通って訪ねることができます。野鳥観察舎は、国内有数の野鳥の楽園と評される根室でバードウォッチングを楽しんでもらいたいと2011年11月に開設されたもので、コムクドリ、ベニマシコ、チュウサギ、キジバト、アオジ、ヒヨドリ、カワラヒワなどが観察できるのだそう。小屋の中に入って上下に開く横長の窓から観察することで、野鳥を脅かさないですみます。

▼野鳥観察舎

▼野鳥観察舎内

▼野鳥観察舎から見る風景

公園は現在、サイロパークを中心に鑑賞池や野鳥観察小屋などを含んで11.40ヘクタールに及びますが、公園を38ヘクタールまで拡張する構想もあるそう。小動物と触れ合うことのできる施設や北方領土地図花園、屋内遊戯施設、オートキャンプサイトやパークゴルフ場などの新設が検討されています。今後明治公園がどのように変わっていくか楽しみですね。