まるで海外の高級リゾート地!英語が飛び交う街 倶知安町ひらふの今

道内各地の特産品や地場産業の話題をお伝えする連載「北洋銀行この街紹介」。今回は、倶知安町からお届けします。

冬のニセコひらふ地区は、近年、スキーを楽しむ海外からの観光客であふれかえっています。彼らのお目当ては、パウダースノーと称されるサラサラの雪。中でも、もっとも栄えているのが倶知安町のひらふ地区で、もはや店の看板やメニューなども当たり前のように英語で表記されています。そんなニセコひらふ地区の「今」について、実際にそこに住む方々に聞いてみました。(トップ写真提供:倶知安町総合政策課)

外国人住民の暮らしやすい町づくりとは

札幌市から車でわずか2時間ほどにも関わらず、倶知安町のひらふ地区に入ると、まるで異国に迷い込んだかのような錯覚に陥ります。欧米風の建物に、英語表記の看板、行き交うのは多くの海外からの観光客たち。スキーシーズンともなれば、街はますます外国人観光客であふれかえり、さながら海外の高級リゾート地といった雰囲気になるのです。

▼スキー板を抱えた人があちこちに(写真提供:倶知安町総合政策課)

古くからスキーリゾートを有する街として、観光業が基幹産業のひとつだったニセコひらふ地区。特に近年はオーストラリアのスキーヤーが中心となって世界にその雪質の素晴らしさを発信し、高い人気を誇っているようです。

「2000年代前半までは外国籍住民数が2桁で増加しつつ推移していたのが、2007年頃からは冬季の増加が目立ってきました。そして2014年からは、毎年過去最高を記録しています」と教えてくれたのは、倶知安町役場総合政策課企画振興室広報広聴係長の芳田国弘さんです。

▼倶知安町総合政策課の芳田国弘さん

観光客だけでなく、海外からの移住者も年々増えているということに驚きです。

「日本の法律や町の条例など、暮らしに関わるルールへの理解が浅いことで、たとえばゴミの分別や建物の建て方など、さまざまな問題が生じたのです。そこで、ホームページや情報冊子の多言語(英語)化を進めました。英語対応が可能な非常勤職員も配置しています」(芳田さん)

毎年のように新しい移住者が現れるため、こうした対策は、改善しつつ継続して実施していっているのだそう。

「また、地域の活性化を進めていく上で、日本人住民との共生についても積極的に進めるべきだと考えています。そこで、町民向けの英語教室や、民間の英語教室と連携した小学校3~4年生からの英語授業などの取り組みなども行っています。外国人住民の暮らしやすい町づくりが必要だと思うのです」(芳田さん)

倶知安在住の海外からの移住者はどう感じてる?

では、実際に倶知安町に住んでいる移住者は、どう感じているのでしょうか。最初にお話を伺ったのは、移住者の草分け的存在であるロス・フィンドレーさんです。

▼「NAC」創設者のロス・フィンドレーさん

オーストラリア人のフィンドレーさんは1989年に来日し、札幌でスキーインストラクターとして働いていました。やがて倶知安町に移住し、1995年に「NAC」(ニセコアドベンチャーセンター)を設立。冬はもちろん、ラフティングなどの夏のアクティビティをいち早く日本で始めました。

▼「日本の上下関係に驚いた!」と語るフィンドレーさん

フィンドレーさんが最初に住んだのは、会社の寮。まず驚いたのが「上下関係」という概念でした。

「オーストラリアにはないですからね。でも、日本にいるからには日本のやり方に慣れるしかない。そう割り切ることにして、毎日みんなのために朝ごはんを作りました。時には晩ごはんも。まぁそこに長く居続けることは、正直しんどかったですね」(フィンドレーさん)

すっかり日本に馴染んだように見える今も、ジレンマを感じることがあるのだそう。

「自分はどんどん前に進みたい性格。でも何かをやりたくても、多くの行政などは同じスピードで動いてはくれません。状況が悪くなってからしか、動き始めないような気がします」(フィンドレーさん)

終始流暢な日本語で答えてくれたフィンドレーさんは、倶知安町に「アジアで一番の、経済と社会も含めた意味合いでのアウトドアライフスタイルの中心地になってほしい」と願っています。それだけに、時にじれったい思いを抱えるのかもしれません。

▼オーストラリア人のテイラーさん

次にお話を伺ったのは、同じくオーストラリア人のテイラーさんです。日本に住んでみて困ったことを伺いました。

「税金が高いということで、ヨーロッパや北アメリカでスキーインストラクターをやっている友人たちは、日本を敬遠しています」(テイラーさん)

▼ネパール人のタパさん

では、日本に来て良かったと思うことは何でしょうか。ネパール人のタパさんに伺ってみました。

「日本人は親切で、治安もいいので生活しやすいです。また、水道から飲料水が出ておなかを壊す心配もないですね」(タパさん)

異国で生活するのは、きっと想像もしなかったような困難や出会いの連続なのでしょう。それでも倶知安町にこれほど外国籍住民数が増え続けるのは、地道なプロモーション活動と、少しでも暮らしやすい環境づくりに励んだからこそ。「ここに住みたいと思う場所になってほしい」と言うフィンドレーさんの言葉通り、きっと、倶知安町は全国に先駆けたひとつのモデルケースとなっていくことでしょう。

北洋銀行倶知安支店

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