ふらり立ち寄ったら大当たり!北見市留辺蘂のザ・昭和な湯治温泉寿苑

それほど目立つわけでもないし、交通の便がいい場所にあるわけでもない。でも、何かしら勘が働いて、知りたくなること、見てみたくなることってありますよね。

今回はまさにソレ。車で走っていた時に自分のアンテナに引っかかり、ふらりと立ち寄った湯治温泉寿苑。これが大当たりだったので、北海道ファンマガジンで紹介させてもらうことにしました。

きっかけは小さな看板ひとつ

旭川から北見を結ぶ国道39号線を旭川方面から北見方面、東へ車を走らせると石北峠があります。石北峠をこえて少し行くと小さな看板が目につきます。いや、目にはつきません。気をつけていないと気づかないほどの看板、ちょっと消えかかっていたりして。

▼国道39号線沿いにある小さな看板

なぜか気になって通り過ぎたところで車を停め、じっくり見てみることにしました。ちなみに筆者が気になった看板は小さい方。「寿苑」と書かれている方です。

▼赤で書かれた温泉マークがほぼ消えている

「自炊して泊まれる温泉」と書かれてる看板には「この先250m」とも書いてあります。時間はあります。本当にやってるの? 実際にあるの? ちょっとドキドキしながら行ってみることにしました。道を曲がって奥まで進むと行き止まりです。その行き止まりの左側に建物はありました。

▼屋根の上には堂々たる看板が

鄙びた感じの建物で、看板がなければ旅館なのか民家なのかすらわからないかも。玄関を開けると女将さんの登場です。お風呂だけ入れるのか聞いてみると大丈夫だと。さらに料金を聞いてみると、なんとたったの250円。さっそく入浴してみました。

▼ザ・昭和というイメージのお風呂

お風呂はこんな感じ。源泉掛け流しで加水加熱もしていないとのこと。泉温は45℃だそうですが、湯船に入っているお湯は40.5℃。ちょうどいい感じです。糖尿病や慢性中毒症、リウマチ性疾患、慢性痛風、便秘、運動障害、気管支炎、神経マヒなどによく効くpH値9.6の高アルカリ泉なのだとか。

▼飲泉もできるようコップがかけてある

驚くべきはその泉質です。お風呂に浸かるとヌルヌルしたお湯が体にまとわりつきます。脱衣所に「すべってころばぬように」という張り紙がしてあったことに納得。気をつけていてもすべるので要注意です。

風呂上がりにお話を伺うと、宿泊ももちろんOKだそう。湯治客のために台所も準備してあり、素泊まりもOK。料金は、素泊まり2,700円、朝晩2食付きで5,000円というから驚きです。今回は仕事の移動中に寄ったので、お風呂に入っただけで後にしました。

▼素泊まりの人が利用できる台所。調理器具や食器などひと通り揃っている

宿泊してみてさらに驚き!

その10日後、ちょうど近くで仕事があったので、今度は宿泊してみました。

1976(昭和51)年に掘削し、1977年よりお風呂の営業をはじめたという寿苑。1978年より宿泊も受け付けるようになりました。部屋は1階が3部屋、2階が4部屋の計7部屋。ひとり部屋だけでなく数人が泊まれる部屋もあります。

▼1階のひとり部屋(洋室)

▼2階の4人が泊まれる和室

料理は野菜中心で、旅館のとなりにある菜園で採れたものを使っているそう。

▼旅館の横にある菜園

筆者が泊まった日の夕食は、ズッキーニ、かぼちゃ、ピーマン、茄子、春菊の天ぷらと、サロマのホタテとカリフラワーと玉ねぎのマカロニグラタン、オニオンとセロリのスープなど、野菜たっぷりのメニューでした。これだけの種類の野菜が一度に出てくることに驚き、その日収穫した野菜の瑞々しさ、おいしさにさらに驚きました。

▼宿泊時の夕食

翌日の朝食は、サロマ産のカレイやもずく、スクランブルエッグ、茄子とズッキーニと豆腐とネギの味噌汁など、これまた豪華。朝から至れり尽くせりで、大満足でした。

▼宿泊時の朝食

自宅に戻ってネットで寿苑のことを調べてみましたが、ほとんど載っていません。寿苑自体がサイトやSNSをやっていないので、訪れた客が書いたブログぐらいしか情報がないのです。

女将さんに聞いたところでは、現在リフォーム中で来年以降にもうひとつお風呂を新設したいと考えているとのこと。ネットで何でも調べられる時代ですが、やはり実際に訪れて発見することも多いのだと、寿苑との出会いで実感しました。

▼女将さんが自らリフォームした食堂

寿苑
所在地:北見市留辺蘂町滝の湯131
連絡先:0157-45-2970
入浴時間:9時~21時
大人:250円
源泉名:町営2号井
採取日時:1976年(昭和51年)9月28日
源泉状況:掘さく井(1,000m)動力による揚湯
泉温:45.0度
性状:無色澄明、無味、極めて微かに硫化水素臭
PH:9.6
泉質:単純硫黄泉