前頁では、ガラナ飲料がなぜ北海道だけで根付いているのか、その歴史的背景について取り上げました。当初全国規模で製造販売した統一ブランド「コアップガラナ」が、最終的に北海道で生き残り、現在も北海道らしいドリンクとして定着しています。
しかしガラナ飲料は「コアップガラナ」だけではありません。北海道限定飲料として各社が売り出しており、それぞれ味わいに違いがあります。では、どんな種類があり、どんな味の違いがあるのでしょうか。ガラナ飲料を毎日のように飲んでいるガラナ愛好家・ラウフェン克さんを迎え、各社のガラナ飲料を飲み比べてみました。
▼ガラナ愛好家・ラウフェン克(左)、オホーツク観光大使・ラウフェンくか(右)
最もバランス感があるガラナ最大手・小原「コアップガラナ」
統一ブランド・コアップガラナといえば株式会社小原(おばら)。道南は七飯町に工場を構えます。コアップガラナは同社看板商品の一つで、1960年に製造販売を開始しました。 美味しいガラナ製造には美味しい天然水が必要不可欠。小原では横津岳の天然水を使い、北海道産じゃがいもを主原料とした果糖ぶとう糖を使っています。
コアップガラナ(瓶)
復刻版アンチックボトル瓶(230ml)が、北海道土産店などで販売されています。これは後述のホッピービバレッジのコアップガラナも同様です。瓶ガラナは小原が業務向けで提供していたものを1999年に復刻ボトルで発売し、2010年にコアップ50周年を記念した記念瓶として発売しました。容器が違うだけですが、ガラナ通に言わせれば、ペットボトルや缶に入ったガラナとは味わいの点で上をいっています。
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コアップガラナ(ペットボトル)
コアップガラナの製品の中で、スーパーやコンビニエンスストアでよく見かけるのはこのペットボトル(500ml/1500ml)タイプです。比較的入手しやすいコアップガラナです。瓶ガラナとは味や香り、甘みの感じ方が全然違うように感じ、ややスッキリした印象があります。
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コアップガラナZERO(ペットボトル)
黒ラベルのコアップガラナ(ペットボトル500ml)はゼロカロリー、いわゆるカロリーオフのガラナです。ガラナらしい甘みはあまりないながらも、カロリーゼロ炭酸独特の甘みがあります。
金のガラナ
美しいフォルムとゴールドのパッケージが美しい金のガラナ(230ml)で、2014年のサッカーブラジルワールドカップに合わせて同年6月9日に発売しました。中身もゴールドで、ガラナポリフェノールは通常の約1.6倍、ガラナカフェインは1.5倍含まれています。甘さ控えめで香りもあり、シャンパン・シャンメリーに近い上品な味わいで、プレミアムガラナ的存在です。
琥珀の舞
こちらも2014年のサッカーブラジルワールドカップに合わせて同年7月7日に送り出したプレミアムガラナ(400ml)で、女性向け微炭酸飲料です。パッケージはブラジルカラーで、中身も琥珀色。甘さ控えめであっさりしたガラナです。
熊出没注意ベアーズガラナ(ペットボトル)
通常の茶色のガラナ(黄色パッケージ)、透明のガラナ(白色パッケージ)の2パターンが存在する熊出没注意バージョンのペットボトル(500ml)ガラナです。北海道土産店で販売されています。コアップガラナペットボトルよりスッキリした、別の味わい。甘さ控えめの印象で、甘みの感じはZEROに比較的近く感じます。白のほうは透明のガラナ。香りが茶色のものと異なってカルピスっぽさが感じられます。甘さはこちらのほうが控えめに感じます。
同社はこのほか、白色の「雪ガラナ」、無色透明の「白いガラナ」、「オホーツク流氷ガラナ」、着色料を付けた緑の「まりもっこりガラナ」(タイアップ)、ムラサキイモの色素でピンク色にした春限定「さくらガラナ」、カフェインを増量した「合格祈願ガラナ」など、様々なタイプのガラナも生み出しており、種類の点でも他社を圧倒しています。
瓶は同じでも味は違う!ホッピービバレッジ「コアップガラナ」
道外の会社であるホッピービバレッジ。同社でも「コアップガラナ」ブランドを製造しています。アンチックボトル瓶のコアップガラナは、小原のコアップガラナ瓶と見た目は変わりませんが、味わいは全く異なります。小原のほうが炭酸と甘みが強く、後味に違いがあります。同じコアップガラナですが、現在では微妙に味を変えているそうです。
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ハチミツ入りなのが決定的違い!苫小牧・丸善市町の「ガラナエール」
苫小牧市の丸善市町は「ガラナエール」としてガラナを作っています。支笏湖水系の美味しい水を使っています。他のガラナと決定的に違うのは、原材料にハチミツが含まれており、香りや甘みに違いがあるという点。ハチミツフレーバーを感じるガラナは、これはこれで美味しいものです。基本的に苫小牧市内で入手できるほか、フードDなど一部スーパーで入手可能です。
ガラナエールにはペットボトル(500ml/1500ml)があり、そのほか、カロリーオフの「マルゼンガラナS」(ペットボトル500ml)、キャラクターとコラボした「とまチョップガラナ」(ペットボトル500ml)、「北乃カムイガラナ」(ペットボトル500ml)があります。北乃カムイガラナは、ガラナエールと似ている味わいですが、ハチミツフレーバーは押さえつつ、甘さはガラナエールと比べて控えめのあっさりガラナです。
地場企業セイコーマートもオリジナルガラナを製造
北海道最大手のコンビニ・セイコーマートでは、最近になってプライベートブランドのセイコーマートガラナを生み出しました。香りがありつつ甘さは控えめという印象。甘さは他と比べて独特で、ZEROカロリーとはまた違った味わいです。
全国的メーカーが製造する定番ガラナ「キリンガラナ」
キリンビバレッジが製造する「キリンガラナ」は、コンビニやスーパーでも販売しており、北海道で最も入手しやすいガラナの一つです。ペットボトル(500ml/1500ml)と缶(350mlなど)。キリンガラナは異彩を放っており、香りが個性的です。香りや甘さがしっかり前面に出ているガラナで、強いて言うならドクターペッパーに最も近く、この癖が好きだという人にはよいのかもしれません。がんがん冷やして暑いときにのどに流し込むのがオススメです。
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自販機で手に入るサッポロウエシマコーヒーの「北海道ガラナ」
サッポロウエシマコーヒーの「北海道ガラナ」は缶タイプ(350ml)を自動販売機で販売しています。他と比べるとかなり甘みを抑えたすっきりしたガラナで、味が薄く後味が少ないのが特徴です。ガラナの癖が苦手な人には飲みやすいのでお勧めですよ。
北海道観光物産興社の白熊ガラナ・羆ガラナ
北海道観光物産興社が販売する動物パッケージの2種類です。北海道土産店で入手できる350ml缶タイプです。白熊ガラナは白いガラナのように茶色ではなく、ブラウンガラナは茶色のガラナです。
ご当地ガラナも多彩に
富良野天然水仕込みガラナ
富良野の天然水を使った500mlペットボトルタイプのガラナ。富良野市内で入手することができます。後味はスッキリで、甘さもスッキリめです。
へそガラナ
こちらも富良野ガラナの一つ。北海道の中心「へそ」であることにちなんで「へそのマチ」とも言われます。かなりスッキリしており、舌に甘みが染み込んでいくのが富良野天然水仕込みガラナと異なります。こちらも富良野市内で入手可能です。
なまらガラナソーダ
このほか、ポッカサッポロの「ガラナスカッシュ」、函館のラッキーピエロラベルの「ラッキーガラナ」、友桝飲料の「スワンガラナ」、コアップガラナブランドとしては川崎飲料の「コアップガラナ」などなど、道外勢も含めるとガラナにはこれ以外にも様々な種類があります。
番外編:本場ブラジルの「アンタルチカ」とはどう違うのか?
アンタルチカはガラナ飲料を世界中に広めた立役者です。世界シェアナンバーワンのガラナで、本場ブラジルのガラナといえばこれです。色は薄目で、癖も日本産と比べて少なく飲みやすいのが特徴。微炭酸で、飲んだ時にのどにシュワシュワ感がないのが飲みやすい理由なのかもしれません。国内では荒井商事が1980年にアンタルチカ社と提携しており、同社から購入可能です。
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まとめ:製造者はもちろん、種類や容器によっても違う!
こうしてガラナ飲料を飲み比べてみると、それぞれに違いがはっきり判ります。原材料はほぼ同じはずですが、天然水や糖分の配合の違い、丸善市町はハチミツを入れるなど、メーカーごとに味わいが微妙に異なっています。たとえ同じメーカーのガラナ飲料であっても、種類や容器によって味が違うということが、短時間で飲み比べると如実にわかって面白いものです。皆さんも飲み比べをしてお気に入りのガラナを見つけてみてください。
▼【映像】ガラナ愛好家・ラウフェン克によるガラナ16種飲み比べ