冬を先取り!北海道で最も「冬らしい冬」を体験できる街・上川町

北海道のほぼ中央に位置する上川管内上川町。町名は知らなくても「層雲峡温泉」のある町といえばおわかりでしょう。

上川町は、日本一早い紅葉が見られ、日本で最初に冠雪する大雪山系に抱かれる町です。特に標高600メートルの山間にある層雲峡温泉街は積雪も早く、今年は10月下旬に20センチ以上、11月中旬には40センチもの積雪を観測。年間平均気温はわずか5.3度、真冬になれば氷点下25度という最低気温を平気でたたきだします。

そんな上川町はまさに、北海道で最も長く「冬らしい冬」を体験できる町といっても過言ではありません。上川町の冬って何があるの? 編集部は今回、上川町の「冬らしい冬」について、洗い浚い地元の方に伺ってきました。

夏は盛り上がりを見せている上川町の観光

降り立ったのはJR上川駅。網走方面行きは6本、旭川方面行きが13本(特急オホーツク含む)とローカル感満載です。渓谷に囲まれた盆地に位置する上川町は、空気が澄んでいておいしい! 町出身のスキージャンプ選手「高梨沙羅」ののぼりや看板を掲げる商店も多く、町全体で応援しているかのようです。

▼2008年にリニューアルされた上川駅舎。ローカル列車と駅前に佇む木彫り熊がなんとも北海道らしい

出迎えてくれたのは安土ちづるさんと、上川町のキャラクターかみっきー。今回、上川町の「冬らしい冬」を案内してくれます。

▼今回ガイドしてくれる安土ちづるさんとかみっきー

層雲峡以外知らなかったというほど上川町とは縁もゆかりもなかった彼女ですが、ひょんなことから旭川市から上川町へ移住。現在は上川町役場産業経済課商工観光グループとして2年目を迎え、かみっきーとともに道内外で上川町のPRに奔走中です。

「上川町のおすすめスポットってどこかありますか?」と尋ねると、「夏はいっぱいあるんですけどねー」と安土さん。

その筆頭が「大雪 森のガーデン」。春から秋までいつ行っても違う花々が楽しめるほか、レストラン「フラテッロ・ディ・ミクニ」でイタリアンも楽しめます。スキージャンプの踏切台をイメージした花の「ドレスガーデン」は撮影スポットとして人気を博していますし、近年はポップカルチャーを展開するコスプレイベント、健康志向の方にはヨガのフェスなど、ターゲットを絞ったイベントも盛り上がりを見せています。しかし、冬季は完全に雪に覆われてしまいます。
→「大雪 森のガーデン」公式サイト

上川町のシンボル的存在でカントリーサインの図柄にも描かれている「エスポワールの鐘」は5~10月まで。「熊牧場ベアーセンター」、「層雲峡・大雪山写真ミュージアム」といった施設も軒並み冬季休館です。
→「エスポワールの鐘」情報ページ

「では、冬ならではのおすすめスポットはどこかありますか?」

やはり冬といえば雪見露天風呂

「やはり上川町で誇れるのは温泉でしょうか。温泉が豊かで、上川町に住んでてよかったと思いますね」と安土さん。実は上川町には層雲峡温泉のほか、大雪高原温泉、愛山渓温泉という三大温泉地があり、同じ町内にいながら違った湯めぐりができるんです。

冬に行くことができるのは層雲峡温泉だけですが、文字通り雪見露天風呂を楽しめるのが魅力です。14の宿泊施設のうち、1900年(明治33年)に発見された塩谷温泉を原型とし湧出量が層雲峡最大を誇る「層雲閣グランドホテル」では、5階に「峡谷露天風呂」を設置。「層雲峡観光ホテル」では、2015年に層雲峡最大級の露天風呂「宇旅璃~うたり~」がグランドオープンするなど、雪景色とともに露天風呂を楽しめる温泉施設が幾つもあります。

▼層雲閣グランドホテルの峡谷露天風呂(写真提供:同ホテル)

▼層雲峡観光ホテルの露天風呂宇旅璃(写真提供:同ホテル)

日本一長い冬のイベント「氷瀑まつり」

層雲峡で冬に雪見露天風呂とともに楽しみたいのが、氷でできた建造物が立ち並ぶ冬季イベント「層雲峡温泉氷瀑まつり」。毎年1月から3月までの約2ヵ月間、冬の層雲峡温泉街を盛り上げます。

氷瀑まつりは、冬季に温泉街が閑散期となる状況を打破するべく、温泉街の人たちが一体となって1976年にスタートしました。第一回目は「樹氷祭り」という名称で、北海タイムズ(当時)の記者を通じて紹介を受けた恵庭市出身の彫刻家・竹中敏洋氏(シャクシャイン像製作で知られる)と一緒に開催のアイデアを練ったそう。第二回目から現在の名称に変わり、数年後に手狭になったことから現在の石狩川河畔に会場を移しました。

製作はホテル・商店街の観光協会メンバー13名ほどで担当。製作期間は約2ヵ月半。前年の11月上旬、1万平方メートルという広大な敷地に足場を組むことから始まり、12月以降ホースで水を噴きかけて凍らせながら、30基の氷の建造物を作り上げていきます。

この水かけ作業風景を見学・体験できる「氷瀑製作見学体験」は、丸太の骨組みに水をかけて少しずつ氷が凍っていく様子を見学・体感できるプログラムで、層雲峡の提携ホテルに宿泊したお客さまには500円で体験可能です。「お友達を連れて再訪し、ここは自分が作ったんだよと自慢できますよ」。

▼このような氷瀑製作作業を見学・体験できる

▼夜になると幻想的な光景が楽しめる氷瀑まつり(写真提供:上川町)

第42回氷瀑まつりのみどころと楽しみ方

2017年(第42回)のテーマは荒々しさをイメージした「ワイルド・アイス・ワールド」。メイン氷像はタイのお寺をデザインした高さ13メートルの展望台で、中はトンネルになっており、見上げるとつららがシャンデリアのように見え、夜には七色の光で氷瀑を彩ります。

計37回の花火打ち上げ、ゆるキャラ大集合といった催し物のほか、「極寒証明書」がもらえたり、女性はレンタルドレス(有料)に着替えて氷のお姫様に変身することが可能だそう。

昨年、約10年ぶりに復活した「アイスクライミング体験」もおすすめ。期間中土日のみ11:00~15:00までの間で30分程度で体験できます。通常こうしたアクティビティには道具をそろえるだけで10万円はかかりますが、アイスクライミング体験は用具レンタル一式込みでわずか2000円で体験可能。

▼氷瀑まつりならではの「アイスクライミング体験」(写真提供:上川町)

▼氷瀑まつりでは大雪つりぼりで釣れるニジマスが食べられる(写真提供:上川町)

層雲峡温泉氷瀑まつり
2017年01月25日 (水)~2017年03月20日 (月)10:00~22:00
お問い合わせ:層雲峡観光協会(01658-2-1811)

氷瀑まつり開催中はお得な送迎バスも運行中!

氷瀑まつり期間中は札幌⇔層雲峡間、旭川⇔層雲峡間でお得な送迎バスが運行!
この機会に冬の上川町に興味をもった方はぜひチェックしてくださいね。

札幌⇔層雲峡間

(1)層雲峡温泉氷瀑湯めぐりライナー
層雲閣グランドホテル・ホテル大雪・層雲峡観光ホテル・ホテル雲井・ホテルノーザンロッジ・民宿とだてに宿泊するお客様が対象。
片道1,000円(往復2,000円)でご利用いただけます。

(2)ゆったり号
層雲峡朝陽亭・朝陽リゾートホテルに宿泊するお客様が対象。無料でご利用いただけます。

乗車特典として
・氷瀑まつり会場にてHotドリンクチケット
・対象宿泊施設の湯めぐりパスポート
・層雲峡オリジナルタオル
もついてきます!

【運行時期】2017年1月25日(水)~3月20日(月)
【お問合せ】(一般社団法人)層雲峡観光協会 
TEL:01658-2-1811
URL:http://www.sounkyo.net/

旭川⇔層雲峡間

層雲峡氷瀑あったか温泉号
旭川空港、旭川駅前から層雲峡の周遊無料バスです。層雲閣グランドホテル・ホテル大雪・層雲峡観光ホテル・層雲峡朝陽亭・朝陽リゾートホテル・ホテル雲井・ホテルノーザンロッジ・民宿とだて に宿泊するお客様が対象。翌日は流星・銀河の滝に寄るプチ観光付きで、無料でご利用いただけます。

【運行時期】2017年1月25日(水)~3月20日(月)
【お問合せ】(一般社団法人)層雲峡観光協会 
TEL:01658-2-1811 
URL:http://www.sounkyo.net/

▼流星の滝、銀河の滝

日本一のラーメンであたたまろう!

「上川町はラーメン店が多いんです。上川町民は出前もとるし、食べ歩きもします。上川町のラーメンは日本一なんですよ」と安土さん。紅葉、初冠雪、氷瀑まつりと日本一が多い上川町ですが、もう一つの日本一があったとは!

上川町には「上川町ラーメン日本一の会」があり、町内にはラーメン日本一を示す看板も掲げられています。確かに街を歩けばラーメンを出すお店が多いような……。しかし日本一の根拠って何なんでしょうか。

この会が発足したのは30年前の1986年12月3日。今も会長を務めるゴードーしばやま店主の柴山昌春さんが、峠を行きかうトラック運転手が上川町のラーメンはおいしいとよく言ってくれることに気づきました。そこで、ラーメンで町おこししようと、ラーメンを中心に提供している飲食店15軒で会を立ち上げました。

当時300人に1軒のラーメン店というのが全国平均でしたが、上川町は60~70人に1軒と、人口に対するラーメン店の比率では群を抜いていました。「歩いて10秒くらいでほかのラーメン店に行ける」ほどの過密ぶりは、旭川保健所も注目。日本一の過密度であった喜多方ラーメンを含めどこも日本一を名乗っていなかったことから、真の日本一を目指すという意味合いも込めて「ラーメン日本一の会」を立ち上げたといいます。

当初は5か条があったとされますが、今や特に決まりがないという上川ラーメン。また、本来ライバルであるはずの同業者同士が仲良いのも発足当初からの特徴です。メンマやラードなど材料を近隣のラーメン店で貸し借りするのは日常の風景だそう。冬が厳しいとはいえ、人の温かさは日本一なのかもしれません。

そんな上川ラーメンの中で、安土さんがいま特におすすめしたいというのが、国道沿いの「お食事処さつき」です。店主の伊藤頼さんはラーメン日本一の会に3~4年前に加入した数少ない若手。上川ラーメンに新風を巻き起こそうとしており、彼が生み出す新メニューには定評があります。


その一つが、見た目は醤油ラーメンのようなのに塩ラーメンという「黒塩ラーメン」。塩ラーメンに発酵熟成した東鷹栖産「彦一黒にんにく」を融合させた黒い塩ラーメン。あっさりしつつも甘味が押し出されパンチのきいた塩ラーメンは同店人気の一品です。

▼黒塩ラーメンと、東鷹栖産「彦一黒にんにく」

▼きれいな水は上川ラーメンのおいしさに不可欠

ラーメンがおいしいのは大雪山系からのきれいな水のおかげでもあります。地下水をくみ上げてスープを作り上げますが、カルシウム豊富で、透明感のあるスープになるのはこの地ならでは。ぜひ日本一を謳う上川ラーメンを味わってみてください。

お食事処さつき
北海道上川郡上川町旭町25
TEL:01658-2-4115
営業時間:11:00~15:00、17:30~19:00、火曜日定休

グルメといえば「ビアグリルキャニオン」や「か夢かむ」もおすすめ!

上川町のグルメはラーメンだけではありません。安土さんは「ビアグリルキャニオン」と「ぐるめ工房か夢かむ」をおすすめしてくれました。

層雲峡温泉街の「ビアグリルキャニオン」では「渓谷味豚と野菜のグリル」がおすすめ。渓谷味豚とは、上川町特産餅米を飼料に使った、臭みがなく柔らかいのが特徴のお肉。渓谷味豚のロース肉と季節の野菜をシンプルに焼き上げ、バルサミコソースとほんのり醤油風味の白ワインソースで仕上げた逸品です。

▼ビアグリルキャニオンの「渓谷味豚と野菜のグリル」(商品写真提供:同店)

ビアグリルキャニオン
北海道上川郡上川町層雲峡温泉
TEL:01658-5-3361
営業時間:11:30~15:30、17:30~20:00(LO)、11~4月は水曜定休、他不定休(氷瀑まつり期間中は無休)

市街地にある「ぐるめ工房か夢かむ」では、町内産食材を使った焼きたて自家製パンが人気。常時10種類以上が店頭に並び、中でも亀の形をしたミニメロンパンが特におすすめだそう。また、「しっとりプリン」もお手頃価格でおいしいと上川女子に大好評。安土さんも「お土産に喜ばれる」と太鼓判を押します。

▼ぐるめ工房か夢かむのミニメロンパン(写真提供:上川町)としっとりプリン

ぐるめ工房か夢かむ
北海道上川郡上川町北町
TEL:01658-2-2900
営業時間:9:00~18:00、月曜定休
※年末年始の営業について
2016年内の営業は12月31日正午まで。新年は1月8日から通常営業となります。

冬はさまざまな施設がクローズしてしまいますが、上川町に行かないと味わえない本気の北海道の冬が体験できます。今年の冬は、氷瀑まつりで冬らしい冬を堪能し、冷えた体を雪見露天風呂で温め、日本一のラーメンを味わって町民の温かさに触れてみるのはいかがでしょうか。

▼みなさんのお越しを歓迎します!

上川町
http://www.town.hokkaido-kamikawa.lg.jp/