室蘭工業大学公認の「ジンギスカン鍋クッキー」が美味しいと評判です。同大ものづくり基盤センター長でもある清水一道教授が企画・製作したオリジナルのアルミ金型を使い、市内の菓子店「ナニナニ製菓」がジンギスカン鍋の形をしたクッキーを製造。生地には北海道産小麦をブレンドしたドルチェ薄力粉を使うなど、インパクトに頼らない確かな味でファンを増やしています。製造を行っている「ナニナニ製菓」でシェフパテシェを務める庭山なをさんに話を伺いました。
室工大オリジナルジンギスカン鍋がモチーフ
▼菓子製造を担う庭山なをさん
「ナニナニ製菓」は、庭山貴行さん・なをさん夫婦が2013年に室蘭市のシャンシャン共和国商店街にオープンしました。アイヌ語で「そのまま」を意味する「ナニナニ」を店名に掲げ、西胆振の食材をメインに無農薬、オーガニックなど素材の味をできるだけ“そのまま”生かして、お子様から高齢者まで安心して味わえる焼菓子とパンを提供しています。
2016年に室工大の清水教授の依頼を受けて共同開発した「鐡の素クッキー」が日本ギフト大賞 2017を受賞するなど、高い評価を受けていました。そのシリーズ第2弾として「ジンギスカン鍋クッキー」は、2018年12月に販売されました。
▼室工大オリジナルジンギスカン鍋は同大生協で販売
ジンギスカン鍋クッキーは、北海道の形をした室工大オリジナルジンギスカン鍋がモデルとなっています。清水教授から「これでクッキーが焼けるかわからないが、使ってみて」と型を受け取ったのが始まりで、「遊びのような形から始めたため、量産の予定は考えていなかった」といいます。
立体的クッキーを作る難しさ
▼型を使ってクッキーを作るのは難しい
クッキーは、清水教授が企画・製造したアルミ製の金型を使って立体的に作ります。渡島半島にあたる部分が薄く、金型から取り出す際に欠けてしまうこともしばしば。「慣れるまでは、3分の1の確率で失敗していた」と言います。生地を柔らかくするなど、製品化に向けて試行錯誤が繰り返されました。
▼Sサイズ300円(税抜き)、Mサイズ600円(同)
▼金型はアルミニウム板を削って作られている
鉄の質感を出すために、食用竹炭パウダーを使用するとともに、黒ごまを炒ってすり潰し、それらしい風合いに仕上げました。「胡麻には鉄分が多く含まれており、名実ともに鐡のクッキーです」と胸を張ります。サイズはSサイズとMサイズの2つがレギュラーで、LサイズとLLサイズは特注品です。大きなサイズは、これまで3度ほど注文を受けたそうです。
▼スペシャルバージョン926円(税抜き)
よりジンギスカンらしさを演出するため、市内のアイシングクッキー作家・金谷美花さん(sora.café)に依頼して作ってもらった、ラム肉と玉ねぎをモチーフにしたアイシングクッキーがトッピングされたバージョンはMサイズのみです。
人と人がクッキーでつながる
▼パッケージデザインを手がけた朝路真弓さん
ジンギスカン鍋クッキーを始め、室工大生公認クッキーは、さまざまな人たちの協力を得て企画・販売されています。パッケージのデザインは、鐡の素クッキーに引き続き、庭山夫婦と親しい室蘭市在住のイラストレーター・朝路真弓さんが手掛けています。「アイヌの衣装をモチーフにクッキーを引き立てるデザインを考えた。二つの商品が並んでも違和感がないよう、鐡の素クッキーと同じ赤をベースにした」と言います。
「そのまま」のおいしさを室蘭で
▼一日にSサイズ36個、Mサイズ15個ほどを製造
室蘭以外からも問い合わせがあるものの、現在の設備では大量生産が難しいことや、衝撃に弱いデリケートな性質なため、パッケージに工夫が必要との理由から、ナニナニ製菓、室工大生協、東室蘭駅の北海道四季彩館の市内3か所と、新日本海フェリーの各売店のみで発売されています。
ユニークな見た目ばかりが話題になりますが、クッキーとしても最高の味です。室蘭まで足を延ばす価値が十分にありますよ。
※一部で道の駅みたらでも販売している情報が流れていますが、2019年4月では販売未定です。
所在地:室蘭市中島町1-38-5
電話番号:0143-83-6854
営業時間:毎週木曜日~土曜日 11時〜18時