ピザが大好きという人は多いと思いますが、宅配ピザにしろイタリア料理店にしろ、ピザを食べるとなると少しお値段が張るというのも事実。お財布の中身なんて気にせず、もっと気軽に食べられるピザがあればうれしいと思いませんか。実はそんなお店が、北広島にあるのです。細部にまで行きわたるオーナーのこだわりと、ちょっと珍しい石窯メンテナンスの様子を覗いてみましょう。
ドイツ生活で親しんだピザを日本でも
▼飯料さんがオーナーを務める「石窯焼グラッチェ」
ことのはじまりは、ドイツでした。仕事で7年ほどドイツに滞在していたオーナーの飯料(はんりょう)さん、街角でとある光景に出会いました。人々が、ワンコイン程度の値段で売られているピザを気軽に立ったまま食べていたのです。
そんなピザにすっかり魅了された飯料さんは、帰国して日本でも探し求めます。しかし、日本ではピザは値段が高いイメージ。ヨーロッパとの違いを改めて感じたのでした。
▼日本にないのなら、作ってしまえ!
ここで諦めないのが、飯料さんのバイタリティ溢れるところ。なんと北広島市の自宅敷地内に石窯を作ってしまったのです。フィットネスインストラクターや製薬会社勤務など、さまざまな職を経験しながら、趣味でピザを焼く日々が5年ほど続きました。そしてとうとう、何百枚もの試行錯誤の末、ピザ作りが趣味の域を越える日が訪れます。2016年、テイクアウトのヨーロッパスタイルピザ専門店「石窯焼グラッチェ」をオープンさせたのです。
▼店内からも石窯でピザを焼く様子が見える
メニューはほぼ1000円以下。ドイツで出会った、あの手軽な値段で食べられるピザを実現させました。もちろん、素材や味にもこだわっています。チーズはすべて本場ヨーロッパのもの、トマトソースに使うのは北海道月形産のミニトマト、生地にも同じミニトマトを練り込み、水は使っていません。注文を受けてから生地を伸ばし、1枚ずつ石窯で焼き上げます。
▼女性に人気の「生ハムサラダ」(税込1000円)
大きさは直径約25cm。大人の男性でも、そこそこお腹が膨れる量です。
▼地元北広島産はちみつをかける「4種のチーズ」(税込800円)
テイクアウトの簡易包装は無料ですが、お土産用に箱(100円)も用意できます。また、店内にはちょっとしたイートインスペースもあります。
▼子どもも食べやすいようバジルをソースに混ぜ込んだ「マルゲリータ」(税込600円)
いかがですか? どのピザも写真を見ただけで、耳部分のカリッサクッとした食感が伝わてきませんか? しかも石窯で高温で焼き上げるため、生地の中央部分はもっちりしていて食べ応えがあります。どれもこれも唸るほどおいしくて、それでいてリーズナブルで、全メニュー制覇したくなるほどです。
ヒビが入った石窯をメンテナンス
▼電気ではなく薪を使って焼くのも飯料さんのこだわり
お店の名前にもなっている通り、ピザ作りに石窯は欠かせません。石窯には、熱伝導のいい溶岩岩石の札幌軟石が使われています。その石窯にヒビが入ってきたためメンテナンスをするということで、その様子も取材させてもらいました。
▼下の黒い台にヒビが入っている
まずは石窯を解体していく作業からです。
▼飯料さん(左)と職人さん
どんどん解体が進んでいきます
▼写真いちばん左は飯料さんのお父上
ヒビが入った部分の石を新しいものと交換します。
▼現場で細かなサイズ調整を行う
新しい石が準備できたら、再び組み立てます。
▼3人がかりで結構な大仕事に
ヒビもなくなり、石窯が新しく生まれ変わりました。
▼メンテナンス完了!
人の手で積み上げられて出来上がっていく石窯を見て、改めて「石窯焼グラッチェ」のピザの良さを再確認しました。日本でも気軽にピザを食べてもらいたいというオーナー飯料さんの情熱が、そこに必要なパーツをひとつひとつ積み上げ、おいしいピザを完成させていったという事実。だからこそ北広島で、本場ヨーロッパの楽しみを味わえる今があるというわけで、これはやはり全メニュー制覇を目指すしかないですね。