ヤツメウナギをご存じでしょうか。ウナギと名は付くもののウナギとは無関係、でも見た目はやっぱりウナギに似ています。
そんなヤツメウナギ漁は、かつて石狩川を代表する漁業として栄え、江別の特産物として「ヤツメウナギ祭り」まで開催されるほどの人気でした。今、ヤツメウナギはどうなっているのか? 現状を探ると共に、気になるその味も確かめるべく、江別へと足を運んできました。
ヤツメウナギはなぜ消えたのか?
▼今や「幻の魚」とも言われる希少種
ヤツメウナギは養殖が不可能。すなわち、市場に出回っているものはすべて天然ものです。しかも近年は漁獲量も年々減っており、今や「幻の魚」と言われるほど、希少価値の高い魚となっています。ちなみにヤツメウナギという名前は、目の後ろに7つのエラ孔があり、目が8つあるように見えることから付けられました。
▼ちょっと怖いヤツメウナギの顔
ヤツメウナギ漁が盛んになり始めたのは、昭和初期の頃。一時は江別の特産物として人気を誇り、海がないにも関わらず、江別漁業組合までできたほどでした(現在は解散)。また、ヤツメウナギは栄養価が高く、特に目にいいと言われるビタミンAが突出して多く含まれているため、栄養ドリンクとして発売されたり、製薬会社や目薬の会社が買い求めたりしたこともあったのだそう。
▼多種類の豊富な栄養素を含む(「炭火焼き肉 翔」より)
しかし漁獲量は減少の一途を辿り、今ではヤツメウナギ漁を行っている漁師さんも数名しかいないのが現状です。なぜそうなったのか、確かなところは不明ですが、やはり環境の悪化や水害などが原因だと考えられています。
ヤツメウナギを食べられるのはこの2店
ビタミンAをはじめ、鉄分やタンパク質も豊富、さらにはカルシウムやDHAなど、現代人に必要なあらゆる栄養素を一度に摂取できるヤツメウナギ。どんな味がするのか、気になりますよね。現在、ヤツメウナギが食べられるのは、江別で2店舗のみ。さっそく、お邪魔してみましょう。
炭火焼き肉 翔
まずは「炭火焼き肉 翔」です。60年ほど前に居酒屋として開店した当初から、ヤツメウナギ料理を出していたそうですが、最初の20年ほどはなかなか人気が出なかったのだとか。独特なくさみのあるヤツメウナギは調理方法が難しく、それでも長年の経験でクセを抑えられるようになり、すると徐々にお客さんから注文が入るようになりました。
▼店内の生簀にはたくさんのヤツメウナギが
冷凍はしないため、11月~3月頃のヤツメウナギ漁のシーズンが終了し、生簀にもいなくなれば、お店での提供も終了です。
▼七輪炭火焼
▼お刺身
おすすめは、七輪炭火焼とお刺身が両方楽しめる2000円のセットです。炭火焼で香ばしく味わうも良し、お刺身でコリコリ食感を堪能するも良し。やはりヤツメウナギの魅力を追求するなら、このセットは欠かせません。
寿司 仕出し料理 やま六鮨
次にご紹介するのは「やま六鮨」です。昭和初期に雑穀屋としてスタートし、現在はお寿司屋さん。3代目のご主人が切り盛りしています。
▼スッキリと清潔感あふれる店内
ヤツメウナギはシーズン中に2度ほど、約2~300匹ずつ、漁師さんから直接仕入れているのだとか。活けのまま急速冷凍し、それがなくなれば提供終了です。
▼八つ目重
人気の八つ目重は、お吸い物が付いて2000円。独特のくさみを抜くために、最初は苦労したそう。ようやく行き着いたタレは、少しずつ調整を繰り返し、継ぎ足して使っています。また、焼きすぎると固くなるヤツメウナギですが、焼き加減は絶妙。ウナギより弾力があり、食べ応え抜群です。
▼握り
また、手軽にヤツメウナギを味わえるとあって、握りも人気です。1貫300円で、こちらもプリプリとした食感を楽しめます。
いかがでしたか。顔をまじまじと見るとちょっとグロテスクにも感じるヤツメウナギですが、ちょっと味わってみたくなったでしょうか。ウナギとはひと味違う食感は、ぜひ試してほしいところ。何より豊富な栄養素が含まれているのも、大きな魅力です。個人的な感想ですが、特に目にいいと言われているヤツメウナギ、食べた後は、本当に目がスッキリした感覚になったことも追記しておきます。