道内各地の特産品や地場産業の話題をお伝えする連載「北洋銀行のこの街紹介」。今回は、江別市からお届けします。
江別といえばレンガの街、というのは北海道民にはよく知られている事実。2004年には北海道遺産に選ばれており、江別の街を歩けば、レンガ造りの建物がたくさん。江別とレンガの関係、その歴史を紐解いていきましょう。
北海道開拓を支えたレンガ
▼日本工業規格のレンガ(21cm×10cm×6cm)
北海道におけるレンガの歴史は古く、1856(安政3)年には現在の函館市で製造されていたという記録が残っています。1877(明治10)年頃には札幌市にも民営のレンガ工場ができ、やがて旭川市にも広がっていきました。江別で最初にレンガ工場ができたのは、1891(明治24)年のこと。
▼初期は「登り窯」と呼ばれる窯で製造(写真提供:江別市セラミックアートセンター)
当時の北海道はまさに開拓の時代とあって、建築用材としてレンガは大量生産されていきます。最盛期の1950(昭和25)年の江別には、野幌駅を中心に実に15社もの工場が操業していたというから驚きです。
▼昭和に入るとほとんどが輪環窯に(写真提供:江別市セラミックアートセンター)
時代の変化に負けない、江別のレンガの秘密
しかし、戦後はレンガ需要の減少に伴い、工場もどんどん閉鎖されていきます。現在では、道内の主要な生産地は江別市の野幌のみ。本社及び工場を北海道内に有する会社となれば3社だけになりましたが、今でもレンガ生産量日本一を誇っています。
▼3社のうちのひとつ、米澤煉瓦株式会社
それにしても、どうして野幌のレンガ製造は失われずに残ったのでしょうか。1939(昭和14)年創業の米澤煉瓦株式会社さんに教えていただきました。
「やはり原料となる、良質な粘土が採取できたことが大きな理由でしょうね。さらには野幌駅は夕張鉄道の最終駅ですから、夕張の炭鉱から燃料となる石炭を手に入れやすかったことも考えられます」
現在、米澤煉瓦株式会社では200種類ものレンガを作ることができるのだとか。たとえば札幌市内なら、北3条広場に敷き詰められたレンガはすべてこの会社で作られたもの。広場を歩く時には、ちょっと思い出してみてくださいね。
レンガにまつわるあれこれを探索!
さて、レンガの街江別には、レンガにまつわるさまざまなものがたくさんあります! まずは、食べられる“レンガ”からどうぞ!
野幌銘菓 煉化もち
あんこの入った、ひと口サイズのかわいいお餅です。
所在地:北海道江別市野幌町8-4
電話:011-385-9689
野幌銘菓 レンガ物語
小麦粉とそば粉を混ぜた生地に、ゴマ白あんの優しい風味がクセになります。
所在地:北海道江別市野幌町28番地の2
電話:011-383-4156
北のレンガぱん
なんと、レンガを模したパンもあります。サイズも規格通り、質感もレンガっぽい仕上げ。食べると黒糖のほのかな甘みが感じられます。
所在地:北海道江別市2条5丁目9-2 みらいビル1F
電話:011-382-3034
【関連記事】レンガに餅、和菓子、そしてパンに?江別のユニークなレンガたち
また、江別市を訪れたなら、セラミックアートセンターは外せません。今回紹介したレンガの歴史のほか、さまざまな種類のレンガを見ることもでき、さらに身近に感じられるはずです。
▼レンガの美しい風合いをぜひ体感して
さらにレンガの街をもっと探索するなら、こんな場所もおすすめです。
▼北海道立図書館(江別市文京台東町41)
▼酪農学園前バス待合所(江別市文京台緑町569番地41)
▼ガラス工芸館(江別市野幌代々木町53番地)
▼江別市コミュニティーセンター(江別市3条5丁目11-1)
もちろん、これは江別市にあるレンガ造りの建物の、ほんの一部。他にもたくさんあるので、ぜひ探してみてください。こうした建物を巡り、歴史を感じながら観光するのも、趣深くていいものですよ。
取材協力
北洋銀行江別中央支店(エベツチュウオウ)
所在地:北海道江別市5条6丁目9
電話:011-382-3311