年齢にして120歳以上の貴重な小型蒸気機関車が、ホタルで有名な沼田町の「ほたるの里」で鉄道ファンを楽しませてきた。その名は「クラウス15号」。道道867号線沿いにあるため、ひときわ目を引く。
「明治昭和炭鉱」と表示されたSL車庫からレールが延びており、天気が良ければ屋外にSL「クラウス15号蒸気機関車」(全長7.9m×幅2.54m×全高3.62m)が展示されている。ステップを上がり、機関室の様子も見ることができる。車庫の中には黄色の貨車移動機「アント」もあり、これで車庫外へ押し出すのだが、これも今となっては貴重な機械という。
経験豊富なクラウス15号の歴史
「クラウス15号」は国内に現存する小型蒸気機関車の中では最古である。それゆれ、JR北海道指定「準鉄道記念物」(2010年)、沼田町指定文化財(1970年4月)となってきた。最終的には沼田町で運用されたのだが、もともと1889年11月、ドイツ・ミュンヘンのクラウス機関車製造所製で、九州鉄道で輸入し花形機関車として活躍。1907年に国鉄が買収し、1925年に東京横浜電鉄渋谷~桜木町間の建設用として活躍した。
1931年以降は沼田町で活躍する。譲渡された留萠鉄道(恵比島~昭和間の私鉄)明治鉱業昭和鉱業所貨物専用線で石炭貨物入れ替え用機関車として運用。機関車展示場所の上流にあたる。1967年12月をもって現役引退し、1969年の閉山に伴い、譲り受けた沼田町が貴重な資料として現代に至るまで手入れをして保存してきた。1989年以降は沼田町市街地のふるさと資料館で展示され、2010年以降はクラウス15号の地元といえる旧沿線である現在地に移転した。
1889年生まれなので、120年以上昔の機関車であるが、ボディもピカピカで手入れが行き届いており、今にも走りだしそうだ。この小柄な車体で、石炭を積んだ貨車を何台も牽引してきたのだから驚きだ。巡り巡って沼田町で現役を引退したクラウス15号に会いに行ってはいかがだろうか。炭鉱と鉄道の歴史を垣間見ることのできる貴重な車両なのだから。
「ほたるの里」はホタルだけじゃない
「クラウス15号」が静態保存されている「ほたるの里」は、道内でも数少ないホタルを観察できる場所として知られている。「ホタル観賞ドーム」では7月中旬~下旬にかけてゲンジボタル観賞がピークを迎える。ピーク時には約3000匹のホタルが舞い、遅くて8月上旬まで観賞可能だ。ホタルの生態を学べる「ほたる学習館」や、炭鉱のジオラマやパネル展示を行う「炭鉱資料室」、「化石学習館」といった、ホタル以外の施設も集結しており、「ほろしん温泉ほたる館」や「オートキャンプ場」も含めれば、家族連れで一泊して楽しむのに十分な場所である。
クラウス15号機関車
沼田町字幌新377番地
夏季、入場無料