突然ですが、千歳市の名物って、何だかご存じですか? 新千歳空港? 支笏湖? 水族館?
もちろんそれらも千歳市の名物と呼ぶに相応しいものですが、実は千歳って卵がすごいんです。北海道全域で飼育されている成鶏は約500万羽、そのうち150万羽以上が千歳市で飼育されています。つまり、シェアは全道の約3分の1。北海道一の鶏卵生産量を誇っているのです。
そんな千歳と卵の関係に迫るべく、今回は地元出身で2018ミス・ユニバースジャパン北海道代表の豊澤瞳さんに案内役をお願いしました。
千歳の2大養鶏会社を訪問
案内役の豊澤瞳さん、実は「St Flair DNA栄養学スクール(R)」の認定アドバイザーでもあり、まずは卵について熱く語ってくれました。
「体型維持や健康のためには、中性脂肪の値って気になりますよね。中性脂肪を分解する時、アドレナリンが分解のスイッチを押すんですが、アドレナリンが出にくい人は成長ホルモンが押してくれます。その成長ホルモンを出すために有効な栄養素が、卵に多く含まれるアルギニンとリジンなんです」
▼「卵の持つ栄養素パワーを知ってください!」と豊澤さん
なるほど、卵はおいしくて健康にいい、実に優秀な食材というわけですね。
そこで千歳の卵についてもっと知るべく、まず訪れたのは「ホクリヨウ」。千歳に農場のある大手養鶏会社です。
▼ホクリヨウの中山さん(右)と高平さん(中央)
工場も見せてもらいましたが、中に入ることはできません。というのも、一般的に食中毒が発生すると、まず最初に疑われるのが卵。そのため、菌の侵入には過敏なほどに気を遣っているのです。
ホクリヨウではいくつもの農場を所有していますが、社員が1日に2つ以上の農場に行くことが禁止されています。万が一問題が起きた場合、原因を速やかに特定するためです。
▼ホクリヨウの卵には謎の暗号が
ところでホクリヨウの卵には、賞味期限とは別に、1つ1つに謎の数字が印字されています。これは、トレーサビリティシステムを導入している証。
▼謎の暗号は安心・安全の証!
トレーサビリティとは、生産から消費段階までの流通を追跡可能な状態のこと。ホクリヨウの卵は、すべてどこから来てどこへ行ったのか、この謎の数字によって明らかにできるのです。
次に訪れたのは、ホクリヨウと同じく千歳の大手養鶏会社「トーチク」です。
▼写真左手前から橋本和聡さん、石川了さん、松川英浩さん
やはりホクリヨウ同様に、トーチクでも菌を排除するための徹底した管理が行われています。その取り組みのひとつが、インライン工場というもの。農場から工場までがすべてベルトコンベアでつながっていて、外気に触れることがありません。しかも鶏が卵を産んでから、24時間以内でパッケージされます。
▼新鮮なうちに届けられるトーチクの卵
また、トーチクの赤い卵「こくまろ卵」は濃厚な黄身とまろやかさで人気ですが、殻の硬さが全国トップだということを知っていましたか?
▼トーチクのこくまろ卵
一般に赤い卵は白い卵より強度がないと言われていますが、こくまろ卵は白に負けないくらいの強度。いかにも産地直送といった感じのパッケージ方法も、殻が硬いからこそ可能なのです。
千歳の卵をもっと知ってもらうために
▼こくまろ卵を使ったお菓子とは?
トーチクのこくまろ卵が広く知られるきっかけになった、あるお菓子があります。地元千歳の和洋菓子パンの専門店、もりもとの「たまごまんじゅう」です。
▼千歳うまれのたまごまんじゅう
2011年に千歳の卵を使ったたまごまんじゅうを考案。黄身をたっぷり加えた白餡を薄皮で包み、豊かな卵の風味が感じられるお菓子に仕上げました。
▼どこか懐かしく、優しい味わい
また、千歳の卵をPRし、地域貢献を目指して2014年に誕生したご当地グルメ「千歳バーガー」にも、もりもとは参加しています。
▼千歳うまれのとんたまバーガー(税込480円)
千歳バーガーの認定条件は、千歳の卵を使用していること。もりもとの開発した千歳バーガーは、卵はもちろん、豚肉も小麦粉も千歳産のものを使用。パン人気も高いもりもとだけに、バンズはふっくら、和風たまねぎソースの絡んだパテもジューシー。そして何より、全体を包み込む卵の優しい味が印象に残ります。もりもと本店にて購入可能です。
▼千歳市にあるもりもと本店(写真提供:もりもと)
それにしても、なぜ千歳でこれほど卵が生産されているのでしょう。いちばんの理由に挙げられるのは、やはり水の良さ。そして雪が少ないことや気候の良さも、養鶏に適しているようです。
最後に、ホクリヨウとトーチクで教えてもらった、卵のちょっとしたうんちくを。ゆで卵の殻がなかなか剥けないのは、卵が新鮮な証拠。古くなるとガスが抜けて殻と卵に隙間ができ、ゆで卵にすると殻が剥けやすくなるのだそう。ちなみに卵を保存する時は、火を通すより生のままがベスト。卵白にある抗菌作用が、加熱することで失われてしまうからです。
▼卵は生のまま保存して
そして、卵の味がよりストレートに分かる卵料理は、目玉焼きなのだそう。ひとつのフライパンに数種類の卵を割り、同じ条件で目玉焼きを作ると、食べ比べができるそうです。卵が好きな人は、試してみてはいかがでしょうか。その時はぜひ、千歳産の卵でね。
取材協力
豊澤瞳(とよさわひとみ)
1990年11月16日、千歳市生まれ。中学よりバレーボールをはじめ、虻田高校では南北海道大会準優勝を果たす。北海道代表として出場した2018ミスユニバース日本大会では、第3位に輝く。スポーツ専門学校の教員を経て、現在は美容学校の講師や栄養指導のカウンセリングなど、地元千歳に貢献するべく多忙な日々を送っている。