チーズ王国北海道

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 酪農王国北海道は、牛乳、乳製品の生産量が日本一です。その中でも、今回はチーズの生産に注目します。国内生産量の9割を占めるチーズ王国なのです。

 2004年のナチュラルチーズ生産量は10709tで、全国全体で12146tですので、全国のほぼ9割を生産していることになります。大手乳業メーカーがチーズを生産し、小さなチーズ工場、牧場のチーズ工房なども道内各地に点在します。道内では60か所以上のチーズ工場・工房があります。

日本のチーズの歴史

 日本で初めて本格的なチーズが製造されたのは北海道とされています。試作段階で終わったのですが、明治時代初めの1875年が国内初の本格チーズ製造です。現在の七飯町の七重農業試験場で試作され、エドウイン・ダンがアドバイスしたといわれています。2年前にアメリカから牛が導入されていました。

 その後、トラピスト修道院がオランダのホルスタインを輸入し酪農を開始しました。そして1900年ごろにここでチーズ製造がスタートしました。昭和に入り、1928年に北海道酪農販売組合連合会がチーズを試作しました。翌年にブリックチーズを製造、びんタイプで発売しました。

 これがのちの雪印乳業です。この会社はさらに1933年に安平町遠浅地区に日本初の本格チーズ専門工場が設立し、本格的なチーズ製造をスタートさせました。1935年に円盤形状6個入りのプロセスチーズが考案・発売されましたが、これは現在も同じ形を保っています。

 明治乳業もプロセスチーズ製造を始めました。一時は雪印はゴーダチーズ、明治はチェダーチーズを柱にしていましたが、戦後は洋食化が進み、プロセスチーズが一般家庭にも広まりました。

チーズ工場とチーズ工房の現在

 現在、道内でも十勝地方は大手乳業メーカーの大規模チーズ工場が立地していてチーズ王国の中のチーズ王国といえます。国内生産量の約半分で、道内生産量の半分以上を占めることになります。

 芽室町には国内最大級の明治乳業十勝工場、音更町にはよつ葉乳業十勝主管工場、大樹町には雪印入場の大樹ナチュラルチーズ専門工場があり、大手3社が十勝に工場を構えています。

 チーズにおける国内最大の生産規模を誇るのは中標津町の雪印乳業中標津工場です。森永乳業も別海町に工場を開設しています。モッツァレラチーズで国内最大手なのは日高町の北海道日高乳業です。

 一方、小規模な酪農家のチーズ工房は1970年代に始まりました。共和町のクレイルは、個人工房として国内初のカマンベールチーズを製造したことで知られています。西村社長は北海道ナチュラルチーズの元祖の一人です。

 せたな町のこんどうチーズ牧場の牧場長は、デンマークで日本人初のマイスター商号を取得した人物。芦別市の横市フロマージュ舎は独学ながら、個人工房初の認定工場に指定されました。以上の3つのチーズ個人工房は、北海道の、そして日本のナチュラルチーズ最初期の先駆者たちです。