余市町の奇岩「ローソク岩」がローソクになる奇跡の瞬間を見逃すな!

小樽市と江差町を結んで延びる国道229号線は、日本海に沿った海岸道路です。その国道229号線を車で走って余市町に入ると、奇妙な岩が見えてきます。海の中から、天に向かってひょろりと立っているような、細長い岩。それが「ローソク岩」です。アイヌの伝説にもいくつかの逸話が残されているローソク岩について、あれこれ調べてみました。

崩落の危機を経て現在に至る

▼東側から見たローソク岩

豊浜町の沖合約500メートルの海上に立つローソク岩。その高さは、実に45メートルを越えるというから驚きです。ローソク岩がいつからその場に立っているのか、詳しいことは分かっていません。しかし、アイヌの伝説によれば昔々、神様しかいなかった時代からあったと言い伝えられているようです。

▼その根元には小さな鳥居のようなものも

岩質は輝石安山岩質のハイアロクラスタイト(溶岩が水中で冷やされたもの)で、もろい性質です。1928(昭和3)年の現存する写真では今の倍の太さだったローソク岩ですが、1940(昭和15)年の積丹半島沖地震で縦真っ二つに亀裂が生じ、翌1941(昭和16)年7月に再び起きた地震で亀裂の片側が倒壊しました。

▼西側から見たローソク岩

半分の姿になりながらも、なんとか持ちこたえたローソク岩。観光資源として注目されるようになったのは、1958(昭和33)年に国道が開通し、地元の人以外の目にもつくようになってからのことです。

ローソク岩と呼ばれる所以

▼大海原から突き出す、まさに奇岩

さて、アイヌ民族の間では神聖なものとされていましたが、実際にローソク岩の名で呼び始めたのは後から来た和人たちだということです。では、なぜローソク岩と呼ばれるようになったのでしょうか。

▼この細さ、この大きさで立っているのが不思議

もちろん、この縦に伸びる細長い形状がローソクに似ているから、というのが大きな理由です。さらに岩の上部先端をよく見てみると、なんだか炎のように見えなくもありません。

▼風に揺らめくローソクの炎のよう

しかし、それだけではないのです。本当に先端に火が点いたように見える瞬間があるのです。まずはその写真をご覧いただきましょう。

▼ローソクに火が灯った!(写真提供:余市観光協会)

そう、火の正体は朝日です。太陽がローソク岩の上部をかすめ、まるでローソクに火が点いたように見える、奇跡の瞬間です。

この写真を撮るには、いくつか条件があります。場所は、国道229号の滝の間トンネルと豊浜トンネルの間にある、湯内漁港の浜辺。時期は、夏至の前(5月15日~23日、夏至の38日前~30日前)もしくは夏至の後(7月21日~29日、夏至の30日後~38日後)。ちなみに浜辺からローソク岩までの距離は、およそ1100メートルあります。

▼浜辺からは意外と遠い

カメラが趣味だという人は、ぜひ挑戦してみてください。神秘的な写真を撮影できたら、ローソク岩に一層のロマンを感じられるかもしれませんよ。

取材協力

余市町経済部商工観光課
所在地:北海道余市郡余市町朝日町26番地
電話:0135-21-2125
公式サイト
余市観光協会
所在地:北海道余市郡余市町黒川町8丁目4番地
電話:0135-22-4115
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