直径は2.5cm、糖度は15度!厚真産の巨大ハスカップをご存じ?

巨大なハスカップの品種を生産する農家がある!と聞きやってきたのは苫小牧市に隣接する厚真町。ここに噂のハスカップを栽培する「ハスカップファーム山口農園」はある。ハスカップの実の直径は一般的なハスカップの二倍の2.5cm程と大粒、糖度は15度になるものもあるというから驚きだ。実際に食べてみると確かに甘みを感じ、酸味の強いハスカップのイメージは覆されたかのようだった。

これらのハスカップは「あつまみらい」「ゆうしげ」という品種。いずれも大粒で、糖度の高さが特徴だ。「あつまみらい」はさわやかな酸味がありハスカップらしい。甘酸っぱいという表現がぴったりで、「ヒゲ」が端についている。一方の「ゆうしげ」も大粒で、とりわけ甘みが強調されている品種である。これら二品種はどのようにして誕生したのだろうか。

左が「あつまみらい」、右が「ゆうしげ」

きっかけは、『不味いのは売れない』

ハスカップファーム山口農園の山口善紀さんによると、そもそもの始まりは、山口さんの母・美紀子さんが、自分の農地に自生ハスカップを移植し栽培を始めたことだった。昭和50年代当時ハスカップは、苦みや渋みのあるものも出回っていた。『これではハスカップは売れなくなる』と危惧した美紀子さんは、小さかった息子たち(善紀さんと弟)にハスカップの実を次から次へと味見させて、苦い実の木を見つけていった。子供は苦みに敏感なので、それが良かったという。美味しい実をつける木の選別が終わると、今度は大粒のものを選別し、種をまくなどして増やしていった。

こうして選別に選別を繰り返し30年がかりで誕生したオリジナル品種「あつまみらい」と「ゆうしげ」は、2009年12月21日、農林水産省に新品種として登録された。ハスカップとしては「ゆうふつ」に次いで国内第2号・第3号で、19年ぶりの品種登録であった。

ブランド化を目指す厚真産ハスカップ

現在、厚真町は、栽培面積22ヘクタール以上・4万本以上という、ハスカップ栽培面積日本一の生産地となっている。1982年に設立された「JAとまこまい広域農協 厚真町ハスカップ部会」の94軒の農家のうち、半数の約50軒がすでに「あつまみらい」や「ゆうしげ」を栽培しており、栽培農家は年々増えているという。出荷基準は、一般的なハスカップが糖度10前後に対して、当該品種は糖度12度以上。中には糖度14~15度のものもあり、生産量の増大が期待されている。

ハスカップは日本では四品種登録されているが、そのうち「あつまみらい」と「ゆうしげ」の二品種は、厚真町でのみ栽培できる地域限定品種と決めているのも特筆すべき点である。厚真町としても、苗木購入費の助成を行うなど支援を行っている。まだ流通も農協など一部での試験販売にとどまっているが、厚真産ハスカップのブランド化を目指し、栽培面積を拡大し安定供給を行えるようにしていきたいと意気込んでいる。

是非一度、厚真町の巨大ハスカップ「あつまみらい」と「ゆうしげ」を食べ比べていただきたい。ハスカップのイメージが180度くらい変わること間違いなしだ。

▼取材協力:ハスカップファーム山口農園
6月~7月にはハスカップ狩りが可能。紹介した品種を通販で購入可能。
http://hasukappu.com