北洋銀行がお届けするこの街紹介。今回は旭川市の大雪通支店が地元の魅力をたっぷりとご紹介します。支店の最寄り駅となるのが、JR宗谷本線の高架駅「旭川四条駅」。旭川駅の隣にあるこの駅を中心とした線路沿い約850m区間(1条通~7条通付近)は一時期衰退していましたが、近年、新店のオープンや世代交代、PRキャラクターの採用などにより、活気を取り戻してきました。今回はそんな旭川四条駅高架下商店街の魅力に迫ります。
交通の要衝として栄えた駅前商店街はいま……
旭川四条駅はかつて、東川町や東旭川に至る旭川電気軌道と相互乗り換えできる国鉄の仮乗降場でした。そのため、人々が飲食に立ち寄ったり年中お祭りが行われるほどの賑わいがみられ、現在の3・6街(旭川中心部の歓楽街)に匹敵する夜の街でもありました。当時「17丁目オール商店街」と呼ばれた駅前商店街は、最盛期には300~400店舗が商店街を構成していました。その一つが「クスリのツルハ」さんで、1号店は今も駅前で営業しています。
しかし、自動車の発達や沿線住民の要請により1973年に電気軌道が廃止されると商店街は衰退の一途をたどり、組合も解散。最盛期の10分の1にあたる30店舗・事業所が営業している程度になりました。
この情況をなんとかしたいと立ち上がったのが、商店街近くのカフェ店店長、二木真澄さん。2013年、二次元アイドル「最上奏音」でPRするモカプロジェクトを立ち上げ、商店街の活性化を図ってきました。それと前後して、商店街には若い人たちが経営する新店もオープン。今回はその中から注目してほしいお店を幾つかご紹介します。
1.のっぽな「どさっと ウインナーコーヒー」と「高架下のカレー」に驚き!喫茶店「さっと」
まずは、5条通にある喫茶店「さっと」をご紹介します。見た目はレトロな純喫茶ですが、若い経営者とスタッフが切り盛りしています。オーナーの和田覚さんは富良野出身。2013年11月に高架下の雰囲気が気に入りお店をオープンしました。お店の名前は、さっと入れるお店にしたいとの思いが込められています。24:00まで営業しているため、帰宅途中に一人でふらっと立ち寄るサラリーマンも多いといいます。
店内は昭和風。和田さんは、「オシャレに進むお店が多い中、あえて競争相手の少ない昭和の雰囲気に戻そうとした」と語ります。居心地の良い店内では時間を忘れて長居してしまいそうな感覚になります。
▼衝撃的な「どさっと ウインナーコーヒー」
同店の看板メニューの一つがコーヒーにまるでソフトクリームのように生クリームを乗せた「どさっと ウインナーコーヒー」。コーヒーカップの上に生クリームが山のように乗せられて運ばれてきます。生クリームは当初普通の量でしたが、「もっと増やしてほしい」というお客さんの要望に応えていったところ、スマートフォンの高さに匹敵するようになったそうです。
コーヒーの熱気で生クリームが溶けてしまうため高く巻くのは大変だそうで、運ぶときに倒れてしまったりすることも。担当スタッフによって生クリームの部分の形が違うので、その違いも楽しんでほしいと和田さんは笑います。なお、「どさっと ウインナーコーヒー」にはお好みでホットチョコレートが付くので、かけながらいただきます。甘党にはたまらないメニューです。
▼隠し味はコーヒーという「高架下のカレー」
そしてもう一つの看板メニューが「高架下のカレー」。意外にもルーカレーを提供するお店が少ない旭川において、おいしいと評判のカレーです。開発に数ヵ月かけたというルーは、富良野産野菜を出汁に、隠し味にはコーヒーを使用。作った後に1日寝かせたルーは濃厚で、あっという間に完食してしまうほどのおいしさです。お試しあれ。
<喫茶「さっと」>
所在地:旭川市5条通17丁目 オール商店街8号館1F
TEL:0166-24-7213
営業時間:10:00~24:00、不定休
Twitter @coffee_dosatto
2.パンダがいっぱい!美人美容師のパンダ愛を感じる「パンダ美容室センター」
商店街の4条には「パンダ美容室センター」があります。名前の通りお店の中も外もパンダがいっぱいの美容室なんです。店長で美容師の遠藤奈々さんは、同じく美容師の母親からお店を引き継いで10年。オープンから数えると18年になります。
▼パンダ大好きと話す「パンダ美容室センター」の遠藤奈々さん
上野動物園でパンダと運命的な出会いをしたという遠藤さん。それ以来、パンダグッズを集めるようになり、家に置ききれなくなったグッズをお店に飾るようにしたそうです。店内外には大小さまざまなパンダのぬいぐるみやイラストがあり、その数は50点ほど。お店の前には大きなぬいぐるみ(店舗オーナーのパンごろう)とパンダ柄のベンチが置かれており、記念撮影していく人も。シャッターにもパンダが描かれているため、閉店しても記念撮影できちゃいます。
そんなパンダ美容室センターは、赤ちゃんから90代の方まで幅広いお客さんが来店します。駅からすぐの場所に立地していることもあり、愛別町や比布町からJRに乗ってやってくるお客さんもいるのだとか。
「街並みは寂れた感じがしますが、地域の方と仲が良く、作った野菜や漬物を差し入れてくれたりします。人がとても温かい大好きな場所です!」と商店街の魅力を語ります。商店街の名物美容室としてこれからも長く続けてほしいですね。
<パンダ美容室センター>
所在地:北海道旭川市4条通17丁目4099番地
TEL:0166-26-6565
営業時間:9:00~17:00、日月定休
3.サボ(行先札)・駅名板などが所狭しと!鉄道グッズ専門店「ぽっぽや」
旭川四条駅前の一等地に2010年にオープンしたのが、道内では数少ない鉄道雑貨専門店「ぽっぽや」です。オーナーの安田威さんは、高架駅前という立地が駅からつながっている感覚を覚え、この場所にお店をオープンすることにしたと語ります。
▼オーナーの安田威さん
店内にはサボ、駅名板、ヘッドマーク、ブレーキハンドル、駅の乗り場案内板、タブレット、照明器具、ポイント操作機器、記念切符、鉄道模型まで幅広く、所狭しと並べられています。JR旭川運転所(旧国鉄旭川機関区)が管轄してきたのは道内で最も広いという道北エリア。そのため、店内でみられる鉄道用品は主に道北のものが多いそうです。旭川駅が「あさひかわ」になる前の「あさひがわ」という駅名板も注目です。
▼店内には多種多様な鉄道雑貨が並ぶ
▼蒸気機関車の前方につける「C55-25」は貴重な品
▼かつて旭川駅は「あさひかわ」ではなく「あさひがわ」だった
旭川は昔から鉄道基地があり、鉄道関係者が多く住む街でもあります。元鉄道マンは国鉄時代から大切に保管してきた鉄道用品をお店に提供。一方、鉄道愛好家はそうした鉄道雑貨を買い求めます。このように「ぽっぽや」は両者をつなぐ役目を果たしてきました。
「旭川の中心から外れたほうが街の顔が見られる」と語る安田さん。アメ横にも似た高架下商店街の雰囲気がとても気に入っている様子でした。昭和を感じる店内で、若い頃を懐かしんでみるのはいかがでしょうか。
<鉄道雑貨専門店ぽっぽや>
所在地:北海道旭川市4条通17丁目4099番地
TEL:0166-74-6604
営業時間:10:00~18:00、水・木曜定休(臨時休業あり)
ホームページ:http://www.tetsudouya.jp
4.旭川四条商店街の拠点「サウンドビレッジカフェ」
最後にご紹介するのは「サウンドビレッジカフェ」です。旭川四条商店街の組合が解散した今、商店街を盛り上げる拠点的存在になっています。
ライブハウススタッフが独立し、改装して始めたというサウンドビレッジ。2010年、聴覚+視覚+味覚の三本柱を揃えたいとのオーナーの想いに賛同した二木さんがライブハウスの1階をカフェとしてオープンしました。
▼サウンドビレッジカフェ店長の二木真澄さん
カフェオレは好きでもブラックコーヒーの苦みが苦手という人向けに、飲みやすいコーヒーを出すのが特徴で、「ここのブラックなら飲める」と好評です。人気メニューは、ふわっと香りが口に広がる「音村屋ブレンド」と、エスプレッソとチョコレートシロップ、スチームドミルクを使った「カフェモカ」。そのほか牛乳アレルギーの人でも飲めるよう豆乳を使ったカフェオレ・ラテを提供しています。フードメニューはカレー、トースト、パスタ、ベルギーワッフルなど。ランチセットも用意しています。
冒頭で触れたモカプロジェクトは、二木さんが中心となって2013年4月に活動を開始。商店街の各店主の代わりにバーチャルアイドル「最上奏音」を起用して旭川を発信しようと、ラッピングカー製作、イラスト展開催、商品のイメージキャラクターなど幅広く活動しています。
<サウンドビレッジカフェ>
所在地:北海道旭川市3条通18丁目
TEL:0166-33-9199
営業時間:11:00~18:00、日祝定休(臨時休業あり)
今回は旭川四条駅高架下商店街の魅力をご紹介しました。ほかにも、ドーナツ屋、アクセサリーショップ、古着屋、調剤薬局、食堂、理美容店などさまざまなお店があり、見て歩くだけでもワクワクする商店街です。昭和の雰囲気が漂う「ノスタルジック」な高架下に新しい風が入り変わりつつある通りを散策してみるのはいかがですか?
北洋銀行大雪通支店(タイセツドオリシテン)
所在地:旭川市四条通18-547
TEL:0166-31-6281